2008年11月28日金曜日

企業のホームページをブログで――SEOにも効果

グリーンツリーの森田健太郎代表取締役
 ブログのプラットホームを利用して、ホームページを構築している企業が増えている。プログラミングの知識がなくても修正が簡単にでき、コストがあまりかからないのが人気の秘密のようだ。さらに、ブログの特徴を生かせば、検索エンジン最適化(SEO)効果があるとも言われている。



 ビジネスに利用するブログ(ビジネスブログ)やイントラ(社内)ブログの導入や、SEO対策コンサルなどを手掛けるグリーンツリー(東京・渋谷)の森田健太郎代表取締役=写真=に、ビジネスブログのSEO効果について聞いた。






 ――どんな企業が導入しているのか


 「中小企業や小規模の工務店で、ブログのプラットホームを使ってホームページを構築する事例が増えている。大企業でも、事業部単位でサイトをつくるときに活用されている」


 「従来の企業ホームページは、HTMLの記述を外注しているケースが多く、簡単な修正でも、手間と費用がかかるのが欠点だった。ブログプラットホームを使うことにより、導入企業の担当者が自分で修正できるようになったことが一番のメリット。当社の製品は、多くのデザインされたテンプレートを用意してHTMLが分からない人でも簡単にホームページを作れるようにしている。SOHO向けと中小企業向けの製品があり、工務店、病院などのユーザーが多い」


 ――「ブログはSEO効果が高い」とよく言われるが


 「ブログだからSEO効果があるというのは、正確に言うと誤りだ。企業のホームページをブログプラットホームで作っても、ブログのメリットを享受できる構造にしないと、SEO効果はない。企業秘密なので、詳しくは述べられないが、上位表示のポイントは(1)プログラムの構造がきれい(2)サイトが大きい(3)外部からのリンクが多い――などだ」


 「サイトが大きいという点に注目すると、記事の数とSEO効果は比例する。日記ブログが検索結果の上位に表示されやすいのは、一つのブログ記事の投稿で複数のページが生成されるため、サイトが大きくなるからだ。当社のテンプレートはこの複数のページが生成されるところを重視している。中小企業などが、ホームページを毎日更新して記事を増やすのは難しいので、SEO効果を求めるならば、「構造的に数を多く見せる」工夫が必要となる。例えば、一見1ページに見えるフロントページでも、複数のページの集合体を表示するような構造にすればよい」


 ――イントラブログを導入する利点は


 「イントラブログは、社内の情報共有ツールに効果がある。画像以外にも、パワーポイント、ワードなどのドキュメントを添付することもできるし、検索しやすくなる効果もある。最近、提案しているのは、軽いナレッジ・マネージメントとしての利用。管理者がアイデアレベルでの投稿を促すことで、記事数を増やす。良質な情報にはアクセスが集まることを利用し、アクセスランキングを情報として使っていけば、ナレッジの集大成となるのではないか」


■関連リンク
グリーンツリー http://www.greentree.jp/


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 日経メディアラボでは、「企業として、個人として、ブログとどう付き合っていくか」をテーマにレポートをまとめる予定です。ここでは取材結果の一部を紹介していきます。


2008年11月26日水曜日

D2C藤田社長、個人ブログでも自社の情報発信





ディーツーコミュニケーションズの藤田明久社長
 企業がブログと付き合う事例の一つとして、企業のトップが「社長ブログ」を開設して情報を発信する企業が多くなってきた。自社ホームページの中のコンテンツの1つとして社長ブログを掲載するのが一般的といえるが、携帯サイト向け広告のディーツーコミュニケーションズ(D2C、
東京・港)の藤田明久社長=写真=
は、個人的に開設したブログも自社の情報発信に活用している。藤田社長に自社ホームページと個人ブログの使い分けなどを聞いた。





 ――07年9月に開設したきっかけは


 「取引先の社長の多くがブログを開設している中、社内外からの勧めで、遅ればせながら開始した。会社のメッセージは、D2Cのホームページがあるので、そちらで発信している。しかし、社内イベントなどオフィシャルなサイトでは発信できない内容もある。そのようなものを社長の目を通して伝えるべき人に伝えるのが目的だ。内容としては、私が考える世界最先端の分野であるモバイルマーケティングの意義や、D2Cは何を目指しているかなど、事実以上のことを伝えたい」


 ――ブログの内容は社業に特化している


 「個人ブログの位置づけとしているが、D2C社長のブログであることは明示しているので、趣味や家族のことは書かない。あくまでもオンタイムの話題だけを取り上げる。それでもネタには事欠かない。個人ブログと位置づけたのは、いつやめてもいいように、また情報更新頻度の2つのプレッシャーから逃れるためでもある」


 「個人ブログなので、広報のチェックはない。あくまでもオフィシャルな顔は企業のホームページ。だから、当社のホームページから社長ブログへのリンクもない。ドメインもD2C関連のものではなく、一般向けのブログ開設サービスを利用し、費用は自費で支払っている」


 「発信対象は、取引先、メディア、社員、学生を想定している。ニュースリリースは出していないが、メディアに伝えたいというネタも含まれる。当社のユーザ向けサービスを説明するケースもあり、モバイル好きの人も対象に、B2C要素もある。テーマによって、特定の対象者にメッセージをこめている」


人の顔をなるべく写真で紹介――検索フレーズから得たヒント


 ――書くときに意識していることは


 「アクセス解析は、ほぼ毎回ページビュー、ユニークユーザーを見ており、突然増える場合は、流入サイト、検索フレーズをチェックしている。検索フレーズを見ることにより、固有名詞の検索が多いことに気づいた」


 「モバイル広告大賞受賞者を訪問して紹介した時や、講演のパネルディスカッションを紹介した時のように、お会いした方々の固有名詞を入れることを意識するようになった」


 「自分を含めて、社員がメディアに記事などで登場した場合は、積極的に紹介している。キャプチャ画像や転載のルールとしては、見出し以外の中身を読めないようにすること。メディアから削除依頼を受ければ、すぐに削除するが、今までにそのようなことはない」


 ――社長ブログの効果を感じることは


 「当然だが、当社に関心のある方々に、随分見られていると感じている。ビジネスチャンスにつながることもあるし、リクルーティングにも一定の効果がある。社内の雰囲気などを材料に、社長目線で伝えたことがよかったようだ。社員向けにも、コミュニケーションのネタになるなど、読んでくれている感触はある。社員が社業について理解を厚くするきっかけになればと思っている」


 「自社ホームページへの流入元を見ると、社長ブログからのアクセスが2位となっている(広報調べ)。社長ブログから自社ホームページへのリンクは相当意識している。例えば社長ブログで紹介するサービスの詳細は、自社ホームページの該当ページにリンクする方が読者にとってスマートだと考えている」


■関連リンク


「24時間30cm以内に ディーツー コミュニケーションズ(D2C)社長のブログ」
http://akihisa.air-nifty.com/


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 日経メディアラボでは、「企業として、個人として、ブログとどう付き合っていくか」をテーマにレポートをまとめる予定です。ここでは取材結果の一部を紹介していきます。


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