「著作者の死後50年まで」とする現在の著作権に対し、日米の権利者団体17団体が20年の延長を求めている。この問題を考える有識者らでつくる「著作
権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」が3月12日、慶應義塾大学三田キャンパスで公開トークイベントを開いた(慶大DMC機構、コンテンツ政策研究
会が共催)。
賛成派・慎重派の双方の立場から4人のパネリストを招き、「なぜ今、著作権の延長が問題になっているのか」「著作権延長はクリエイターのインセンティブになりうるのか」「現代のクリエイターを守るにはどのような制度が必要か」などについて、討論した。
<パネリスト>
- 佐野眞一氏(ノンフィクション作家)
- 瀬尾太一氏(写真家、有限責任中間法人日本写真著作権協会常務理事)
- 林紘一郎氏(情報セキュリティ大学院大学副学長・教授)
- 三田誠広氏(作家、社団法人日本文藝家協会副理事長)
<コーディネーター>
- 津田大介氏(IT・音楽ジャーナリスト)
延長賛成派の瀬尾氏は「欧米諸国は『死後70年』に延長済み。日本発のコンテンツの海外展開を考えると、日本の著作権も国際ルールに統一すべき」、同じく賛成派の三田氏は「著作権が切れて自由に著作物を利用できるようになると、文学作品を勝手に書き換えた作品が出回るかもしれない。著作物の”人格権”を守るために、できるだけ長いほうがいい」と訴えた。
一方、慎重派の佐野氏は「著作権を延長する理由として、クリエイターの創作意欲が増すと言われているが、物書きの立場からすると、本当にそんなことがあるのかと思う」と延長を求める声に疑問を呈した。林氏は「一律に著作権を延長するのではなく、自分の作品の延長を望む人がお金を払って定期的に更新する仕組みがよいのではないか」と説明した。
フォーラムでは今回のトークイベントの模様を動画配信している(http://thinkcopyright.org/resume_talk01.html)ほか、今後も開催していく計画。次回は4月12日。
「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」ホームページ
http://thinkcopyright.org/
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