90年代前半、バーチャル・リアリティー(VR)が社会的に大きく注目された時期、NHK技研も日本国内の研究拠点のひとつとして多くの成果を発表していた。関連の研究は現在も続いている。
そのひとつが、触覚(手触り感)や力覚(手ごたえ)を機械的に再現する仕組みの研究だ。今回の技研公開でも、ポスター展示コーナーで映像によって紹介されていた。
91年に米MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発された力覚再現装置「Phantom(ファントム)」は、長年この研究を進める上で中心的な役割を果たしてきた。これは指先に装着し、そこに力の強弱を伝えることで、何かに触れている感覚を擬似的に味わえるというもの。技研では1年ほど前から、この装置を複数の指先に同時に装着して、物体に触る感覚をどこまでリアルに再現できるかを研究している。ファントムの複数連結実験は、ほかの研究所では例がないという。
NHKでは、この技術を視覚障害者にも分かりやすく情報を伝えていくために役立てていく考えだ。また、デジタル放送になってメニュー画面の操作などが増えていることから、その支援にも応用できるのではないかと期待を寄せている。
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