2005年8月13日土曜日

はてな総選挙、愛好者から「待った」





情報サービスのはてな(東京・渋谷、近藤淳也社長)が始めた選挙関連の情報を扱うインターネットサービス「総選挙はてな」が波紋を広げている。11日に始まった同サービスは各政党を株式になぞらえて取引をする「ゲーム」。株式購入数や取引価格に応じた時価総額によって「選挙後の議席数を予測する」と説明している。ただ、人気投票の公表を禁じた公職選挙法に抵触する恐れがあるのではとの疑問がユーザー側から投げかけられ、同社は対応に苦慮している。広報担当者は「顧問弁護士と協議して15日には対応を決める」としている。














同社は「総選挙はてな」の開始前に公選法に抵触する可能性について特に確認はしておらず、総務省などにも問い合わせはしていないという。国民の関心が高い総選挙が有力なコンテンツ(情報の内容)になると判断したようだが、はてなの愛好者が公選法をめぐる問題を憂慮して「待った」をかけた格好だ。総務省は「当該サービスについて内容を把握しておらず、コメントはできない」(選挙課)としている。





今回の総選挙はブログ(日記風の簡易ホームページ)愛好者の関心も高く、政治を題材にしたブログを書く人が増えている。総務省選挙課によれば、ホームページは「法定外の文書図画」に当たるため選挙運動には使用できず、個人的に自分のホームページに書き込んだ内容であっても、選挙運動とみなされれば公選法に抵触するという。韓国ではネットを使った「落選運動」が影響力を持った事例があるが、日本ではネットを使って政治について語り合う場合、選挙運動にならない範囲に配慮する必要がありそうだ。









2005年8月10日水曜日

メディア懇談会「新しいメディアづくりを考える」

nikkei001 日経メディアラボは7月28日、「新しいメディアづくりを考える」と題したメディア懇談会を開いた。企業と生活者をつなぐメディアのあり方をめぐっては、インターネットを起点にした情報発信が企業戦略の軸になるとの見方で一致したものの、企業のブログ(日記風の簡易型サイト)活用については見方が分かれた。生活スタイルや嗜好が近い生活者同士のコミュニティーを形成する効果があるとの指摘があった一方で、広告メディアとして活用するためには情報の信頼性をどう担保するかが課題になるとの意見も出た。









講師を務めた博報堂DYメディアパートナーズの中村博メディア環境研究所長、三越の金沢春康ネットワーク企画部ゼネラルマネジャーが企業の情報発信などに関する問題を提起し、これを受けてブログを含むネットを使った企業のメディア戦略などについて議論した。中村氏は企業と生活者のコミュニケーションが双方向型になり、個人の情報発信量が飛躍的に増大するため、企業に批判的な情報が発信されるケースも増えると指摘。金沢氏は顧客と双方向につながるメディアとしてブログを活用している実例を紹介しながら「ブログでコミュニティーをおこし、百貨店の再成長を仕掛けたい」と語った。





参加者からはブログによる仮想空間のコミュニティーを活用して「仮想」と「現実」の相乗効果を追求すべきだとの意見が出た。金沢氏は「ブログはいろいろなトライアル(試行)の一つ。ネットを起点にして、いかに企業のブランド価値を高めるかが重要だ」と強調した。中村氏は批判的な情報が自社ブログを通じて発信される可能性があるため「ブログが広告メディアになるのは難しい」との見方を示した。





新しいメディアの活用方法に関連して中村氏は携帯電話がカギを握ると強調。従来のマスメディアと携帯電話を連動させるキャンペーン手法などを紹介した。金沢氏は顧客とのコミュニケーションのために店舗を「メディア」として活用できると説明。富裕層を囲い込むための「口コミ」によるマーケティングを本格化させる考えを示した。













メディア懇談会(詳報)

メディア懇談会「新しいメディアづくりを考える」の主なやり取りは以下の通り。









P1030210  【問題提起1】 中村氏「デジタル化で生活者に変化」



メディア環境研究所はネット社会の変化に伴うメディア環境の変化に関する考え方を発信している。メディアが提供する情報の形はどうなるのか、メディアはどんな新しい使い方が可能かを提案したい。活動コンセプトは「メディアおこし」、「コンテンツおこし」だ。広告メディアとして認知されていないものでも、企業と生活者のコミュニケーションの場をメディアととらえるとき、どんな使い方があるのかを考える。広告は企業にとってマーケティング活動の一要素であり、生活者とのコミュニケーション手段だ。企業が自らの戦略に基づいてコントロールできることが重要で、予算を管理できることは大きな要素だ。生活者にとって広告は生活情報であり、企業の商品やサービスを知る重要な手段だ。マスメディアに接することで自然に情報を入手できる。これがマスメディアと広告と生活者のビジネスモデルだが、この先どこまでやっていけるのかを考えたい。



日本の家庭を中心にデジタル化の進展を予測する年表を作ると、2008年か09年にはデジタル機器が半分の世帯に普及するようだ。北京五輪の時期にメディアのデジタル環境は一般化する。来年のサッカーワールドカップでデジタル機器の普及に弾みがつき、08年か09年にはデジタル化が一気に進む。これに伴い生活者の情報接触や購買行動は大きく変化するだろう。



すでにその兆しがあり、デジタルビデオレコーダーが登場してテレビの視聴スタイルが変化した。いわゆるタイムシフト視聴、CMスキップだ。野村総合研究所が「CMスキップによる広告費の損失は540億円」というセンセーショナルな発表した。540億円というのは乱暴な計算だが、CMスキップという視聴行動は間違いなく進む。メディア環境研究所が調査してみると、デジタルビデオレコーダーの購入者は半年で非常に上手くCMをスキップするようになる。「この番組はこれだけCMが入る機会があるから3回(スキップ機能の)ボタン押せばいい」と心得ており、それは見事なものだ。



購買行動の変化で顕著なのは、マス広告に刺激されて商品に関心を抱き、店頭でその商品について調べた後、ネットで買うという行動だ。ネットでの商品購入は当初、書籍や旅行、株などが主だったが、最近は家電やゴルフクラブなどにも広がっている。また、携帯電話は情報伝達だけでなく、決済や販売促進のツールとしても使われている。携帯電話にクーポン券を送付すれば、携帯電話はプロモーションのための「メディア」になる。購買の直近に情報を送ることもできるので、携帯電話にクーポン券を送るプロモーションはかなり一般化するだろう。マスメディアと携帯電話を連動させる新たなキャンペーン手法も生まれる。情報提供と購買が連動するメディアである携帯電話をどう使うかが非常に重要だ。



広告メディアの将来を考えたとき、企業と生活者を結ぶコミュニケーションは決してなくなることはなく、広告のビジネスモデルも不変だろう。ただ、生活者の情報収集行動と商品の購買行動は劇的な変化を遂げる。ネットによる検索型の情報収集はもっと一般化する。現在も広告主サイト、価格サイト、商品情報サイトなどが登場しており、こうしたサイトからの情報収集が購買行動に影響を与える。



マーケティングコミュニケーションの環境は一方通行から双方向型を含めた形になる。生活者の情報接触行動の基本は受け身だろうが、個人の情報発信量は飛躍的に増加する。企業にとって都合の良い情報提供型のコミュニケーションだけでは生活者との真のコミュニケーションはできなくなる。ネットによって生活者が情報発信手段を持つ。これは重要なテーマだ。企業にとってのマイナス情報もあっという間に流布してしまう。そういう中で企業はどういう情報戦略をとればいいのか。これも広告会社の大きな仕事になる。



企業と広告会社は広報と宣伝広告の一体化がマーケティングコミュニケーションの基本になるということを考える必要がある。広告主の多くは、広報と宣伝・プロモーションの部門が別組織になっており、我々の観察によると両者は余り仲が良くない。これからはネットでどんな情報が流れるかわからないので、広報と宣伝・プロモーションを一体化して進める体制が重要になる。



従来型のキャンペーン告知などの分野はなくならないだろうが、ネットへの誘引が必須になる。そしてあらゆる局面で携帯電話をどう使うかがカギを握る。どのようにプロモーション活動に携帯電話を活用するかだ。今、ネットは広告メディアの一部だが、やがてネットが企業から発信される情報のすべての起点になる。ネットで情報収集しながら、全てのコントロールタワーをネット側においておかないと、どこからマイナス情報が拡大するかわからない。マスメディアのビジネスはそう簡単には崩れないが、ネットを起点にモノを考えて、広報、商品情報、プロモーション情報など企業の情報戦略の根っこにネットを置くことが重要だ。



【問題提起2】 金沢氏「ブログで〝コトおこし〟」



mr 三越は超オールドエコノミーの呉服屋出身。前身の越後屋は江戸で延宝元年(1673年)に商売を始めた。百年ほど前に経営危機に陥り、創業家から切り離されることになった。三井越後屋から三越になり、1904年に三越は呉服商の将来像として「デパートメントストア宣言」をした。百年前の宣言と21世紀に向けたデパートメントを考えたとき、ブログに着手しようと考えた。呉服屋にデパートメントの概念を導入した時代は洋服部や靴部などをつくり、モノのカテゴリーでデパートを拡大してきた。昨年、百周年を記念した日本橋の新館を開業するときにも、三越だけの限定品を集めようという議論があったが、もはやモノで競争する限界を感じていた。切り口をモノからコトに変える必要があると考えた。



コトで顧客を束ねていくのがこれからの百貨店。ブログで形成するコミュニティーを成長戦略の中核に位置づけている。例えば、米国では消防士の協会が年1回、ブラックタイ着用のダンスパーティーを開く。「今年はどんなタキシードを着ていこうかな」と楽しみにしながら、毎年、消防士が夫婦で服を新調する。日本で、ただフォーマル衣料を売り込んでも、顧客は着ていく場がないという。あくまでモノは道具に過ぎず、生活を豊かにするコトを作らなければモノは売れない。だからパーティーが好きな人、アウトドアを好む人というようにライフスタイルごとに人を束ねていく必要がある。百年前は不可能だったが、今はIT(情報技術)を活用すれば可能だ。ITを使い顧客を生活スタイルごとに束ねていくのが21世紀の百貨店だとの仮説を立てた。



まず、日本橋三越の新館に人が集まれるサロンを作った。ネットではブログによる情報発信をして、バーチャルでも同じライフスタイルの人が情報を共有できる場を作ろうと計画した。昨年10月からリアルのサロンで料理教室や情報交換できるパーティーを開き、その様子をブログで伝えて、参加を呼びかけている。集まった人はその情報をリアルとバーチャルの両方で共有できる。中村所長は「メディアおこし」について話したが、我々は「コトおこし」をしようとしている。顧客に感動してもらい、結果としてモノが売れるようにしたい。



コミュニティーサロンで展開するブログは大きく分けて「感動百貨店日記」、顧客同士の情報発信ができる「倶楽部日記」、それぞれの個人ページの3つがある。会員は480人。まず参加者は自分のページで情報発信をしてもらう。ショップのページでは(三越側の)25人がブログ書いている。本店の売り場でのモノの動きなどを書いて情報を出している。顧客と交流できるように、ショップのブログ担当者に対しては2カ月に1回は講習をして「コミュニティーおこし」の仕掛けをしている。



ブログを展開しながらわかったことは、店舗は「メディア」として価値があるということだ。サイトから店舗に来て、そしてまたサイトに戻るサイクルがある。例えば食のページには菜食主義の料理の先生がいる。三越で料理教室を開き、その先生を囲んでツアーやパーティーも考えている。写真家の先生を中心にした「写真倶楽部」でもブログを通じた交流がある。ブログには写真を貼ることが可能なので、写真を展示してもらっている。リアルではパーティーや写真の即売会を開き、写真によるコミュニティーをつくろうとしている。こうした「コトおこし」を中心に百貨店の再成長を仕掛けたい。



さらに一例を挙げれば、シニアの富裕層は百貨店にとって重要な顧客だ。最近、この顧客層によるフラダンスの発表会を三越で開いてもらった。こちらは実費でワインなどの接待をして、ムームーを着た60代の主婦層がフラダンスを楽しんだ。その中には影響力がある人がいて、いろいろな経営者の奥さんを知っている人がいる。こういう人が起点になって「お茶会を三越でやりましょう」と連鎖的に人がつながっていく。広告業界でいうインフルエンサーに「口コミ」によるバイラルマーケティングの手法で人を紹介してもらいながら三越のファンを作る仕掛けをしている。



ブログで若い人を中心にコミュニティーを作る一方、リアルのサロンでは富裕層のコミュニティーもつかみたい。同窓会などのコミュニティー運営を支援し、自己実現を支援して場の提供もする。「アソシエイト」と呼ばれる影響力のある人にキーパーソンになってもらい、周りの人をどんどん呼んできてもらう。この手法はマスマーケティングではない。富裕層には「これはいいですよ」と売り込んでも、なかなか商品を買ってもらえない。しかし、友人の口から「三越で扱っているあの商品はいいみたいよ」と言ってもらうと買ってもらえるようになる。



こうしたことはリアルを補完する形でブログでも可能だろう。ブログは導入から1年足らずで、効果については何ともいえない段階だ。あくまでリアルが中心で、それを補完する情報交流の場としてブログを使っている。三越は売り上げが8年連続で減少しているが、次の成長を実現するためのトライアルをしているところだ。



【討論】



参加者(金融情報会社) 今後、リタイアが本格化する「団塊の世代」へのアプローチを考えるとき、携帯電話やネット、ブログといったIT活用が本当に有効なのか。



中村氏 私は「団塊の世代」だが、高校の同級生との連絡はほとんど電子メールだ。10年後には高齢者はかなりネットが使えるという層になるだろう。両親が孫の顔をなかなか見ることができないというので、ブログを立ち上げて子供の写真を掲載している人もいる。両親は孫の写真を見るためにパソコンを覚えたそうだ。これかも高齢者のITリテラシーは高くなる。ただ、予測が難しいのは携帯電話の使われ方だ。2010年のメディアを考えるときに、1995年に2000年を予測した本などを調べてみたが、最も予想がはずれていたのは携帯電話だった。95年にカメラが携帯電話に付くと予測した人はいない。買い物ができると予測した人もいない。メディア環境研究所の調査では、15-19歳の女性が最も長く接触しているメディアは1番がテレビで、2番は携帯電話だ。1日平均77分接触している。しかし、これが20代になるとガクッと減る。社会人になったからなのか、この5年間で携帯電話が根付いたからなのかわからない。



参加者(携帯電話向け広告会社) 三越の場合、「アソシエイト」になりうる人の特徴は?



金沢氏 想定しているのは富裕層の主婦。多趣味でいろいろな会合に顔を出している人だ。ここに働きかけて会合ごと三越に持ってきてもらうことを企画している。都内のあちらこちらで、富裕層の奥さんが交流する会合は開かれている。例えば日本画家のある先生を囲んで日本画を楽しむ会が料亭や骨董品店、フランス料理店などで開かれる。そういう会合ごと三越に連れてきてもらい、担当者を付けて、お世話していく。会合の幹事役を引き受けた人は自分が中心になって会をまとめて、メンバーへの連絡やパーティーのメニューを決めるといったことに張り切っているので、我々がサポートしていく。



参加者(携帯電話向け広告会社) こうした取り組みにデジタル技術を活用するのか。



金沢氏 そこは(ブログのようにオープンではなく)クローズド。今は表に出ていない部分だ。ネットの方は料理教室の先生中心に集まる動きや写真家の先生を囲む会の動きがある。しかし、(口コミの)バイラルでつなぐ手法はハイエンドな層を囲い込むトライアルをしている。これはブログの話とは切り分けている。





司会(日経メディアラボ所長) 販売員がブログで応答しているということは、販売員のキャラクターも商品になっているのでは。そういう販売員をどれだけ育てられるかがポイントだろう。



金沢氏 ブログサイトにそういう魅力的な販売員がいないのは問題だ。ブログ担当者向けに研修を実施しているが、なかなか上手くいっていない。ただ、ブログに取り組みながらSEO(検索エンジン最適化)についてはわかってきた。検索サイトの画面に載る何万件もの記事のうち、1本目に掲載されるためのポイントがある。ブランド名や商品の使い方を含んだタイトルを使うことなどを徹底している。



参加者(電機メーカー) 三越のブログサイトは販売員の顔が見えてこない。もっと売り場にいる担当者の顔が見えるようにして「この人に化粧品の相談に行ってみよう」という気持ちにさせるやり方にしたほうがよい。実際に来店した人の体験がわかるようなトップページになれば、リアルの店舗との相乗効果も大きくなる。



金沢氏 ブログサイトは発展途上だ。例えば、検索サイトから当社のブログサイトに来る人がいるのに、何階の売り場に商品があるということを書いていない場合がある。トップページからではなく、(検索サイト経由で)横から入ってきているのに、それを徹底できていない。優秀な「スーパー販売員」のような人は忙しくてブログを毎日書く時間もない。こうした現状のなかでサイトの内容もレベルアップしようとしているところだ。



参加者(検索サイト運営会社) バーチャルな場によるつながりがリアルの動きになる効果は出ているのか



金沢氏 オフ会で初めて日本橋の三越に来店したという人がいた。ブログによって形成したコミュニティーをマーケティングの場として使いこなしたいが、まだ「持ち駒」としては貧弱だ。





中村氏 ブログが広告メディアになるのは、なかなか難しい。口コミツールとしては強力な影響力を持ち、マーケティングツールとして、コミュニティーをつくるのにも有効だ。ただ、ツールとして使うとき、プラスに作用するかは疑問だ。企業が広告で良いことをいっても、誰かがブログにマイナスのことを書き込むと広告の情報は消されてしまう。ブログに広告を配信してお金をもらっている人はいる。人が集まれば広告メディアになるのだろうが、広告メディアの一番のポイントは信頼性があるかだ。広告主は安心できなければ、そのメディアを使わない。ネットはコントロールできないのが前提であり、その最たる例がブログだ。これから本当に問われるのは書き手のメディアリテラシーだろう。ブログは気になる存在だが、広告のビジネスにはならないだろう。



司会 新聞社がブログを使うとき、信頼性の問題、誹謗中傷を書き込まれる問題にどう対処するのか。



参加者(新聞社) 2月からブログサイトを展開している。ニュースに対するコメントにスパム(迷惑メール)のようなものが集中したことがあり、これを削除するのに往生した。一般の人がライターになって運営しているコンテンツは上手くいっている。イレギュラーな書き込みがあってもコミュニティー参加者が排除していく。企業としてはブログサイトによるビジネスモデルを作っていく必要があるので、何かやりませんかという話をあちこちにするのだが「ブログはマイナスの影響が恐い」という反応は確かにある。ただ、新聞社の看板の中でブログ展開して、新聞の記事体広告のようなものができないかという話も出ている。(誹謗中傷などの)マイナスの書き込みに対応するのは運営者の毅然たる判断と行動だ。



司会 パソコン通信のシグオペレーター(シグオペ)を務めた経験では、場の雰囲気をメンバー間で共有していれば、変な書き込みがあっても、無視するなどして対処すれば最後はそういう連中はいなくなる。中核となる人たちのコミュニティーがしっかりして、良いファンがついていれば恐がることはないと思う。



参加者(新聞社) 三越のようにブログを使って企業と生活者がつながると、生活者と企業をつなぐメディアとしての広告の役割を脅かすのか。



中村氏 脅威かもしれないが、ブログを使って1対1でつながるだけでは済まない話だ。広告活動は需要を掘り起こすことが非常に重要だ。ターゲットを絞り込んだ広告についての議論があるが、むしろ、投網で情報を(マスに向けて)流せるものの方が有効だ。企業の情報発信はネットが起点になるが、情報提供の仕方としてはマスメディアの比重はそれほど減らない。ブログが出てきて、コミュニティーを作ることはマーケティングとしてありうるが、基本としては(マス広告で)知ってもらわないとだめだろう。新聞社のブログについては、新聞の持つメディアの信頼性がブログの中で生きるのではないか。メディアの信頼性、企業の信頼性はどこからできるのか。もうごまかしは効かないわけで、良い商品を正しく伝えることしか勝ち残る手はない。



金沢氏 ブログはいろいろトライアルしているうちの一つだ。企業からの情報発信がネットを起点にするという話が出たが、マーケティング推進体制のなかで企業の情報発信をネットに集約して、いかにブランド価値を高めるかが重要だ。eビジネスを所管する部署として一番コストをかけているのもこの部分だ。もう1回、サイトを使ってブランド価値を考え直す。そのためにサイトの運営体制を全面的に見直しているところだ。



司会 かつてのサイレントマジョリティーは、いまやネットでいろいろなことを言う。その人たちと企業は付き合っていかないといけないのは厳しい時代だ。しかし、片方ではチャンスでもある。





中村氏 企業のブランド構築は顧客とどう向き合うかだ。その結果がブランドだ。そこはマーケティングリサーチャーが決めることではなく、経営者が決めることだ。














































































2005年8月4日木曜日

アップルCEO「ポッドキャストは日本で大ヒットする」

nikkei002 米アップルコンピュータのスティーブ・ジョブス最高経営責任者(CEO)は4日、東京都内で開催した音楽配信サービス「iチューンズ・ミュージックストア」の告知イベントで、同サービスを応用したインターネット配信型のラジオ放送「ポッドキャスティング」が日本でも急速に普及するとの見通しを示した。ジョブス氏はポッドキャストを導入しているエフエムインターウェーブ(東京・港)の「インターFM」、日経ラジオ社の「ラジオNIKKEI」を紹介しながら、「ポッドキャストは大ヒットするだろう」と強調した。









ジョブス氏は「ポッドキャスティングによって誰でもラジオ番組を作ることができる。すでに1万もの番組があり、ラジオNIKKEIなどを聞くことができる。日本でも、これから大きな動きになるだろう」と述べた。ポッドキャストは「音声版ブログ」とも呼ばれ、米国では急速に普及している。番組を収録した音声ファイルをパソコンに取り込み、携帯音楽再生機「iPod(アイポッド)」などで聞くことができる。





4日に開始した「iチューンズ・ミュージックストア」は100万曲の音楽ファイルをそろえた。1曲あたりの価格は150円から。iチューンズのみで購入できる楽曲も用意したという。ジョブス氏はユーザーが選んだ曲目リストを公開して、人気投票できる「iMix(アイミックス)」などのサービスも紹介。告知イベント後には会場内に設けたiチューンズのデモ展示コーナーも視察した。









2005年8月3日水曜日

米ヤフー、ソーシャルメディアにも注目--ヤフーメディアは人材強化を急ぐ

米ヤフーは、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの「ソーシャルメディア」の事業を強化するため、Elizabeth Osder氏を8月1日からソーシャルメディア担当のシニアディレクターとして採用した。ソーシャルメディアは指揮系統ではヤフーニュースの傘下となる。同社は05年3月29日に、ブログとSNSを組み合わせた新サービス「ヤフー360」のベータ版を開始し、この分野に力を入れ始めていた。



Osder氏は、1995年からニューヨークタイムズに4年間在籍、黎明期のネットビジネスを経験し、採用時は南カリフォルニア大学の客員教授を勤めていた。また、94年には、日経メディアラボのサイトでも特集した「EPIC2014」の作者が在籍したポインター研究所でも学び、99年にはオンライン・ニュース・アソシエーション(ONA)を設立、今でもボードメンバーに名を連ねている。ONAはオンライン媒体にニュースを提供しているジャーナリストを主体とした業界団体。


ヤフーメディアのScott Mooreバイスプレジデントは「ソーシャルメディアはブロードバンド、ユーザビリティーと並んで今年の3大重要課題」としており、Osder氏の採用は同社のソーシャルメディアに対する期待の現れとしている。ヤフー360、Flickrなどのユーザー向け情報発信ツールを組み合わせて、ユーザーが良質のコンテンツを発信できる環境を整えることが、Osder氏の最初の課題となる。


ヤフーのコンテンツ部門であるヤフーメディアは4月に組織が発足、シリコンバレーからハリウッドに近いサンタモニカにオフィスを移したばかり。Mooreバイスプレジデントも5月にMSNから移籍した。ヤフーメディアはニュース、ファイナンス、ゲーム、スポーツ、エンタテインメント、ミュージックなどのコンテンツを扱っている。


ヤフーメディアの人材獲得は目を引いており、04年11月には、ABC
Entertainment
の会長だったLloyd Braun氏をヤフーメディアの責任者として採用。同月、ダウ・ジョーンズのウォールストリートジャーナル・オンラインの「産み、育ての親」として有名なNeil Buddeをヤフーニュースのエグゼクティブ・プロデューサーとして東海岸から呼びよせた。05年7月にはCBSでオンラインを担当していたDavid Katz氏も採用している。Katz氏はCBSのウェブサイトCBS.comを人気サイトとしたことが評価され、スポーツとエンタテインメントの責任者となった。


米国ではネット企業の成長に伴い、新聞やテレビなどからの中堅・大物の移籍が相次いでおり、今後も既存メディアの大物人材の引き抜きには注目したいところだ。


<参考>
PaidContent.org: August 01, 2005


2005年7月30日土曜日

地デジのIP配信は「全国で」――情報通信審議会

singikai インターネットプロトコル(IP)技術を使った地上デジタル放送のテレビ番組配信が具体化に向けて動き出した。情報通信審議会(総務相の諮問機関)が29日の総会=写真=でネット技術を使った「IPマルチキャスト」と呼ばれる方式による番組の再送信を2006年に始めるとの方針を盛り込んだ答申をまとめた。日本民間放送連盟はIP技術による再送信について「難視聴世帯向けの補完」という位置づけに限定するように主張しているが、答申は「IPインフラ活用の可能性を全国に開いてこそ、投資効果が高まり条件不利地域におけるインフラ整備も加速される」との見方を明記した。









情報通信審議会の答申は06年にSD(標準)放送の番組配信を開始し、08年にはHD(高品位)放送を全国で始めることを提案。これと並行して07年に衛星による番組の再送信も始める目標を掲げている。総務省はテレビ放送がアナログからデジタルへの全面移行する11年7月24日を「Xデー」と名付け、新聞広告などを通じた告知活動を強化している。ただ、移行期間が6年間に限定されているため、同審議会はIP技術を使った光ファイバー網による伝送、衛星による再送信など「あらゆる手段を検討することが必要」(臨時委員の村井純・慶応義塾大教授)と強調している。





IPマルチキャストは著作権法上の「有線放送」なのか「自動公衆送信」なのか不明確な部分もある。答申は著作権法上の取り扱いについて政府が早急に検討することを求めた。技術面では、IP技術はケーブルや衛星などの伝送媒体でも活用可能だと指摘。「衛星やケーブルなど他のメディアとの技術の共用化の可能性を検討する場を設置し、06年中をメドに結論を得る」としている。










2005年7月27日水曜日

企業ブログ、顧客とつながる「共同体」を形成(上)

ブログ(日記風の簡易型ホームページ)がコミュニケーションを変える。情報を共有するコミュニティー(共同体)を容易に形成できるブログの普及により、企業と顧客、顧客と顧客のコミュニケーションが活性化。企業はインターネットに顧客中心の共同体を形成し、その一員として顧客と向き合うコミュニケーションの形態を模索する。マスメディアもマスに対する一方的だったコミュニケーションのあり方を根本的に問い直す局面を迎えた。









P5220640 「家計簿も日記もつけていない私がブログは2カ月続いています」。東京都練馬区でフラワーアレンジメントのアトリエを運営する関口千恵子さんは5月に三越が日本橋本店(東京・中央)で開いた「写真倶楽部」のオフ会=写真=に参加し、こう胸を張った。写真倶楽部とは、写真家のシヲバラタク氏が三越のブログサイト「三越コミュニティサロン」に執筆するブログを核としたネットのコミュニティーだ。





ネットのコミュニティー参加者が実際に会うオフ会の会場は本店7階の「コミュニティサロン」。この日は写真愛好家の女性ら50人以上が参加し、シヲバラ氏を囲んでワインパーティーを楽しんだ。参加者は関口さんのようにブログを読むだけでなく、三越のブログサイトにコラム風の文章を執筆する人も少なくない。





三越コミュニティサロンは百貨店業界としては初のブログサイトだ。ブログ活用の責任者であるネットワーク企画部の金沢春康ゼネラルマネジャーは「モノが売れないと嘆くばかりではなく、顧客が商品を欲しくなるオケージョン(機会)を作り、結果としてモノが売れるというサイクルを確立したかった」と説明する。ブログを導入して顧客中心のネットワークを形成し、リアル店舗の「コミュニティサロン」も使いながら共同体を運営することで顧客を囲い込む戦略だ。





ただ、業界初の試みは社内では風当たりが強かった。「店舗面積当たりの販売効率を高めることを重視してきた社風のなかで、直接、利益を生まないコミュニティサロンを新館の中に確保するのは苦労した」と日本橋本店の上野仁e―ビジネス推進室長は打ち明ける。昨秋の新館開業は三越が呉服商から百貨店に転換して百周年の記念事業だったが、三越全体としては2005年2月期の営業利益は7%減の152億円にとどまり、新館効果は限定的だった。国内の販売不振に加え、従業員の早期退職に伴う損失なども計上したため、連結最終損益は40億円の赤字だった。





従業員千人の早期退職、横浜店や大阪店などの閉鎖といった厳しいリストラを続ける中で、三越はブログを使った顧客との対話という小さな改革を進める。オフ会に参加した関口さんは「ブランド品は専門ショップで買うことが多かったが、今は三越の店頭を見てから、商品を選ぶようになった」と話す。三越のブログに「食コラム」を執筆する料理研究家のいとうゆきさんも「ブログのオフ会で集まるメンバーとの旅行を考えているが、そのときは三越トラベルセンターを使う」とエールを送る。





三越はこれまでも前払い方式で買い物券などを受け取れる会員組織「三越友の会」を運営するなど顧客の囲い込みには手を打ってきたが、特典目当ての会員を増やすだけではコミュニティーは形成できなかった。コミュニケーションが自然に沸き起こる共同体を育みながら、顧客による「応援団」を増殖させる作戦が実を結ぶのか、老舗百貨店の挑戦は続く。





新聞業界で初めて本格的にブログを自社のニュースサイトに導入したのは神奈川新聞社だった。新聞記事をネットで紹介する新聞社の典型的なニュースサイト「神奈川新聞ウェブ」に見切りをつけ、2月にブログを採用したコミュニティーサイト「カナロコ」を立ち上げた。現在、会員数は4千人。横浜ベイスターズを応援するブログ「ベイスターズフィーバー」を中心にファンのコミュニティーの形成が進んでいるという。





サイトの全面更新から2カ月後の4月には、神奈川新聞社の記者が取材したニュースについても、閲覧者がコメントを書き込める機能、ブログ間で相互リンクを簡単に張れるトラックバック機能というブログ本来の仕組みを導入した。地域のごみ問題、神奈川県のゲーム規制問題など編集部で選んだ記事に関しては閲覧者同士が意見を交換できる仕組みを整えた。「カナロコ」の責任者である松澤雄一デジタルメディア局長は整理部長などを歴任し、新聞編集の経験が長いが、ブログの導入を機に発想を転換し「古いジャーナリズムは捨てよう。高みから読者に教えてあげましょうという姿勢はやめよう」という意識で「カナロコ」を運営していると強調する。





ニュースの重要性は「カナロコ」編集部側が判断せず、コメントやトラックバックなどを通じて読者にそれを問いかけるという発想だ。ただ、神奈川新聞社は「カナロコ」から把握できる読者のニュースへの関心度などの情報を新聞の紙面に反映させる体制にはなっていない。読者にこびる紙面づくりはしないという考え方もあるのだろう。新聞社の電子メディア事業としては、広告収入を増やせるのか、課金制を導入できるのかといった判断が定まっておらず、明確な収益モデルが確立できていないといった課題も残っている。





新聞社が提供するニュースを話の種にコミュニケーションする共同体は新聞社にとって財産となり得る。ニュースというコンテンツ(情報の内容)が売り物である以上、その共同体は「ロイヤルカスタマー」の集合場所になるからだ。「ネットは新聞を殺すのか」などの著者で、ブログ記者でもある時事通信社の湯川鶴章編集委員は「仮に神奈川新聞社への誹謗(ひぼう)中傷がコミュニティーサイトに書き込まれても、ブログで勝ち取ったファンが反論して守ってくれるだろう。大手の新聞社では真似できない試みではないか」と指摘する。





顧客と向き合う百貨店、読者と向き合う新聞社――。古い歴史を持つこの両業種は実は同じ問題に直面しており、その中で三越と神奈川新聞社がブログを活用してコミュニティーを形成させる戦略に打って出たと言える。モノは街に溢れかえり、日本橋の三越に来店しなくとも、消費者は欲しい商品は買える。情報やニュースもネットに溢れかえっており、読者は特定の新聞社のサイトでニュースを閲覧する特別な動機を持たない。こうした現状に対して解決の糸口を見出そうとする試みが、ブログによる共同体を基盤にしたコミュニケーションだった。













































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