三井不動産子会社の三井不動産レジデンシャル(東京・中央)は、オートロックマンション向けに、入居者の各戸の玄関まで新聞を配達できるようにした新しいセキュリティーシステムを開発した。新システムを担当する都市開発事業部開発室主任の久松壮氏に、新聞配達と防犯性を両立させるための工夫や、開発の背景を聞いた。
――どんなシステムなのか
新聞配達員があらかじめ配布されたICカードと暗証番号を使い、マンションの集合玄関の鍵を開ける。このとき、集合玄関に設置した監視カメラが自動的に高画質モードに切り替わり録画を開始。さらに、スピーカーから「監視モードに切り替えます」というアナウンスが流れ、集合玄関の近くにいる住民に配達員が入ったことを知らせる。
「ICカードと暗証番号があっても、朝5時~7時しか入れない」といった時間制限を設定することもできる。万が一、配達員がICカードを紛失してしまった場合は、システムを操作すれば、すぐにカードを無効にできる。
鍵製造最大手の美和ロック(東京・港)、綜合警備保障と連携しながら開発した。来訪者が部屋番号を入力するための数字ボタンを暗証番号入力に対応させるのに苦労したが、従来のセキュリティーシステムに備わっている設備を有効活用することで導入コストを抑えた。新築で導入する場合は、従来のシステムとほとんど変わらない。
――開発の背景は
当社がマンション販売後に実施する入居者アンケートでは、必ず「新聞は読みたいけれど、集合ポストまで取りに行くのは…」といった意見が出てくる。管理人が24時間常駐するような大規模マンションでは、管理人が新聞配達員を確認して入館を許可する事例が生まれているが、数十戸程度の規模のマンションでは難しい。24時間常駐にすると、入居者の費用負担が重すぎるからだ。
24時間常駐ではないオートロックマンションのなかには、各戸への配達を実現するために事前に集合玄関の鍵を新聞配達員に渡しておいたり、早朝の一定時間にオートロックを解除したりするところもあるが、セキュリティーの面では問題が残る。当社の物件は、2つのオートロックを解除しないと各戸の玄関まで行けない「ダブルオートロック」などのセキュリティー機能が売り物の一つ。セキュリティーを考えながら各戸への新聞配達ができれば、これも売り物できる。
――今後の展開は
まず6月中旬から販売を始めた「パークホームズ目黒中町」(東京・目黒)で導入し、首都圏の新築物件から展開していく予定だ。既存の物件にシステムを販売する可能性も検討している。実際に既存マンションの管理組合から問い合わせが来ており、大規模修繕工事のタイミングに導入可能だと思う。今回のシステムの外販は考えていないが、同業他社にも同様の動きが広がるのではないかと考えている。
■関連リンク
ニュースリリース(PDFファイル)
三井不動産レジデンシャル http://www.mfr.co.jp/