2006年6月20日火曜日

「栄村TV」のJANIS、地デジのIP送信に意欲

インターネット接続サービスを手掛ける長野県協同電算(JANIS、長野市)は地上デジタル放送のハイビジョン(HD)番組をインターネットプロトコル(IP)で、ADSL(非対称デジタル加入者線)によって難視聴世帯に伝送する構想をまとめた。ワンセグ放送で採用されている画像圧縮技術「H.264」を活用。伝送するデータ量を抑えることで、高速大容量通信が可能な光ファイバーの敷設が困難な地域でも、既存のADSLでHD映像を視聴できるようにする。





























Janis JANISの佐藤千明ネットワーク部長=写真=は19日、日経BP社の専門誌「日経ニューメディア」主催のセミナーで、地上デジタル放送のIPマルチキャスト構想を推進する方針を表明。「放送局側で(番組の)ソースを『H.264』の映像にエンコード(符号化)する協力態勢を得たい」と述べ、テレビ局の協力を求める考えを示した。画像圧縮技術「MPEG2」の映像を地上デジタル放送で受信して、さらに「H.264」で圧縮すると画質が劣化すると見ており、放送局側に「H.264」の映像提供を求めていく。





同社は長野県栄村で地上アナログ放送のIP送信実験を手掛けている。地元の民放が再送信に同意していないため、実験を事業化できないが、2006年度内には実験対象を栄村秋山地区の全戸(160戸)に広げる方針だ。地上デジタル放送のIP再送信構想はアナログ放送の実験で蓄積したノウハウを活用することになるが、地元テレビ局の協力が得られるかなど不透明な部分も多い。





地上デジタル放送の普及をめぐって、日本民間放送連盟は放送波が届かない地域への補完としてIP配信を活用することを容認。著作権問題では、文化審議会法制問題小委がIPマルチキャスト放送の同時再送信を著作権上、有線放送と同じ扱いにする方針を示したため、佐藤部長は「アナログ放送のIPマルチキャスト再送信問題は事実上決着した。このまま粛々と(実験を)続ける」と強調している。





NTTは2010年までに固定電話加入者の半数となる3000万世帯・事業所を光回線にする計画を打ち出している。JANISは秋山地区のような採算性の低い地域に光ファイバーが敷設され、地上デジタル放送のIP再送信が実現する可能性は高くないと見ており、既存技術のADSLを活用したIP再送信の事業化を目指す構えだ。





















2006年6月15日木曜日

IP放送や番組のネット配信 産官学で意見交換

Furu 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは13日に開催した「クリエイティブ産業政策フォーラム」で、放送番組のインターネット配信などをめぐって産学官による意見交換をした。竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」に参加した古川享(元マイクロソフト日本法人会長)慶大教授=写真=は「懇談会の議論では、放送業界が時代の変化への抵抗勢力であり続けるのか、自ら先取りして改革推進者になるのかが問われた」と述べた。



















光ファイバーなどのブロードバンド(高速大容量)通信網を活用して、インターネットプロトコル(IP)方式で放送番組を伝送する「IPマルチキャスト放送」について、古川教授は「地上波デジタル放送の再送信に偏ってしまった」と懇談会の議論を振り返った。神奈川県の逗子・葉山地域を対象としたコミュニティーFM局の「湘南ビーチFM」が番組のネット配信を推進している例などを挙げ、「(ネットの活用は)FM放送を遠隔地で聞きたいというときに発生している今日の問題だ」と指摘した。





これに対して官庁側は「ネット配信ならIPマルチキャストよりも簡単だが、レコードを全部ハードディスクに溜め込んで、非営利・無料でどんどんネットで流すことになると、音源はどうなるのかと権利者は恐れている」(文化庁)と説明。一方、著作権手続きの簡素化を地上波放送の同時再送信に限定したIPマルチキャスト放送をめぐっては、事業者から「自主放送」の具体的な計画は聞いていないと強調した。産業界からは「同時再送信以外の新しいビジネスが欧米ではどんどん生まれているのに、(日本は)その可能性の芽を摘んでいる状態になっている」などと不満の声もあがった。











2006年6月1日木曜日

韓国オーマイニュースが「旅行業」構想

Ohmy 韓国のインターネット新聞最大手、オーマイニュース(ソウル市)の呉連鎬(オ・ヨンホ)代表=写真=は31日、東京都内の講演で、旅行業に進出する構想を明らかにした。8月に「オーマイニュース日本版」のサイトを開設し、ネットで記事を投稿する「市民記者」を日本に組織するのを機に、日韓両国の市民記者による交流や相互訪問を促進させる考えを表明。そのうえで「『オーマイニュース』ブランドの旅行業を考えたい」と述べた。





毎日新聞社と駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部が主催したシンポジウムで講演した。日本版サイトの展開をめぐっては、4万人の市民記者を集める目標を掲げ、「3年以内に影響力のあるメディアにしたい」と強調。「日韓の市民記者が交流すれば、(市民記者同士が)両国を旅行する機会が生まれる。さらに旅行記を(ネット新聞の)記事にしてもらうこともできる」との見通しを示した。



オーマイニュースは広告収入が売上高の7割を占める。現在は記事と広告の区別を明確にしているが、今後は生活関連の情報を拡充し、広告収入を増やす方針だ。具体的には、サイト内に生活関連情報のガイド役を登場させ、記事に関連した広告を掲載するなどの手法を検討しているという。呉連鎬代表は市民記者らが文章を書くことに強い関心を持っていると指摘。パソコン用のプレゼンテーション資料や文書を作成するノウハウを教えるビジネスマン向けの教育事業などにも意欲を示した。



個人のSNS運営者を新規開拓 サンロフト

システム開発のサンロフト(静岡県焼津市、松田敏孝社長)は6月1日、インターネットで会員組織を運営できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の運用システムを個人向けに提供する事業を正式に開始する。携帯電話から操作できる機能、サイトの更新情報を伝える規格の「RSS」による情報の受発信機能などを順次、追加していく。2月に試験サービスを始め、すでに1500人の利用者を獲得。今回の機能強化により、利用者を12月末までに1万人にしたい考えだ。

















サンロフトの新サービス「ナノティー」は同窓会、PTA、共通の趣味を持つ仲間同士などの200以上のコミュニティーにSNSの運用システムを無料で提供している。ナノティーの利用者はSNSのオーナーとして会員を募集し、会員同士の意見交換、会員が実際に集まるイベントの開催などを通じてコミュニティーを運営できる。SNSのサイトは50種類のデザインを選べるほか、会員の募集形式も招待制や自由参加などを選択できる。





同社はナノティーのシステムを活用するSNSを年内に1000サイトにする目標を掲げている。法人の利用については有料サービスを別途用意する。無料サービスで個人の利用者を増やしながら、法人の顧客を開拓できると見ており、本業である企業の情報システム受注につなげる考えだ。

















フォロワー