2006年9月28日木曜日

「竹中懇」の舞台裏を明かす元秘書官

Mrkishi_1「懇談会を始めたのは、今だから言うと私の怨念みたいなものでした」――。小泉内閣時代に竹中平蔵総務相の政策秘書官を務め、26日付で国家公務員を退職した岸博幸・慶應義塾大学助教授=写真=が27日、インターネットの新潮流をテーマにした討論会に出席し、総務相の私的懇談会だった「通信・放送の在り方に関する懇談会」の舞台裏を明かした。



















岸氏はネットビジネス支援のデジタルガレージが東京都内で開いた「ザ・ニュー・コンテキスト・コンファレンス2006」に出席。2001年に竹中経済財政・IT担当相の補佐官になり、5年にわたり竹中氏を支えた経緯を振り返りながら「5年前にIT戦略本部で通信と放送の融合問題を出したが、民放を中心に強い反対があり、途中で終わってしまった。そのリターンマッチとしてやった」と述べ、通信と放送の融合が5年来の懸案だったと強調した。





岸氏は6月にまとまった懇談会の最終報告書を実質的に執筆し、通信と放送の融合をにらんだ改革議論のシナリオを裏方で練ってきた総務相の政策ブレーンだった。最終報告書の内容については「対NTTは大変厳しく、対NHKも厳しい。ただ、対民放はすごく甘い内容になっている。民放の皆さんはもっとビジネスを展開してください。自由にやってくれという要素が入っている」と指摘。「放送業界が自分の世界から思い切って(外に)出て行くきっかけを作るつもりで報告書を出した」と述べ、放送局のネット事業に期待感を示した。





岸氏は「今回も民放からは強い反対と根回しがあった。(最終報告書は)100点満点ではなかった」と自己採点。さらに「大臣に民放各社のトップと水面下で議論してもらったが、上(経営者)の皆さんはどういう方向に行かざるを得ないのかをわかっていた。ただ、なぜか業界団体の民放連は強く反対する不思議な構図があったので、緩める部分は緩めてあげた」と述べ、放送業界に対しては譲歩したことを認めた。





最終報告書をまとめた後も、政府・与党が通信・放送分野の改革で合意するまでには調整が難航。NTTの組織形態などをめぐっては自民党側に妥協する面も目立った。岸氏は霞ヶ関を去った立場から「しょうもないのは自民党だ。族議員が残っていて、一生懸命に反対した」と恨み節を漏らしながらも「(安倍内閣の)菅義偉総務相は(小泉内閣で)総務副大臣としてやってきたので、方向性は確実に引き継がれる」と力説した。





岸氏が20年間務めた霞ヶ関を離れ、公の場で「竹中懇」について語るのは初めて。今後については「ケンカを仕掛けるのが仕事になる。相手は自民党かも知れない」などと周辺に語っており、慶大助教授の傍ら、民間主導で政策提言などもしていく考えのようだ。



























2006年9月26日火曜日

ブラックベリー、来春にも日本語対応に

Bb_2 カナダの携帯情報端末(PDA)大手、リサーチ・イン・モーション(RIM)は25日、2007年春をメドに、多機能携帯電話端末「ブラックベリー」=写真=の日本語版サービスを開始する方針を明らかにした。RIMはNTTドコモと組み、ブラックベリーを企業内システムに接続して、外出先で業務をこなせるサービスを26日に開始する。英語版のみのため、現在は国内の外資系企業からの受注が中心だが、日本語に対応することで日本市場の開拓を本格化する。

























Rim_1 RIMのマイク・ラザリディス社長兼共同最高経営責任者=写真=は25日の記者会見で、日本語版サービスの開始時期について「来年の第2四半期に対応する」と表明した。NTTドコモの星沢秀郎取締役も「RIM社が日本語化の対応を検討しているので、もっと(両社が)ウィン・ウィンの関係になり、パソコンや携帯電話を超える日が近くなるように緊密に連携したい」と述べ、ビジネス用途のPDA市場開拓に期待感を示した。現段階では英語版のみのため販売目標を確定できないという。





NTTドコモはブラックベリーを調達し、法人向けにRIMブランドで販売。25日時点で、すでに1400回線分を受注済みとしている。法人向けサービスに加え、個人のビジネス用途を想定したサービスも検討する。日本で販売する「ブラックベリー8707h」の価格は約6万円。1台当たり月額5985円で、企業のグループウエアとブラックベリーを連携させた法人向けサービスを提供する。





ブラックベリーは日本国内ではNTTドコモの「FOMA(フォーマ)」に接続して、携帯電話としても使える。PDAとしては、電子メールの閲覧・作成、スケジュール管理、インターネット、表計算やワープロのファイル閲覧などの機能を備えている。英語版のサービスでもネットのホームページ閲覧などで、日本語のフォントを表示することは可能だ。













2006年9月15日金曜日

ミクシィ社長、EC参入に意欲 コンテンツ販売も

東京証券取引所マザーズに14日、新規上場したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手のミクシィが電子商取引事業への参入を検討している。SNSサイト「ミクシィ」は570万人分の会員登録を確保し、会員同士が日記やメールなどを使って活発にコミュニケーションしているため、「SNSはデジタルコンテンツの販売も親和性が高い」(笠原健治社長)と見ている。音楽や映像などのコンテンツ(情報の内容)のほか、ネット上での自分の分身となるキャラクター(アバター)を販売することも視野に入れている。



















Kasa_3 笠原社長=写真=は同日、上場後の記者会見で、SNSサイト「ミクシィ」を活用した新事業について「EC(電子商取引)的な展開もあり得る。BtoC(企業の一般消費者向け販売・サービス)で、企業からの出品により商品を提供してもらうほか、CtoC(個人間取引)の収益もある」と述べ、EC分野進出に意欲を示した。会員同士によるネットを活用したオークションなどを想定しているという。株式上場で調達した資金を活用して、新サービスを立ち上げるために必要なM&A(企業の合併・買収)も検討するとしている。





ミクシィ株は同日、個人投資家を中心とした人気から買い気配のまま取引が成立せず、最終気配は公募価格の2倍を超える315万円になった。















2006年9月14日木曜日

「オーマイニュース」というメディアづくり

韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」日本版が創刊して2週間が過ぎた。韓国で成功した市民参加型メディアの日本上陸という話題性も手伝い、市民や消費者が情報発信する時代のメディアづくりに関する議論が活発になっている。ネットでブログ(日記風の簡易型ホームページ)を執筆するブロガーの間でも「オーマイニュース」をめぐり賛否両論が沸き立っている。














「要は誰が、ではなく何を書いたか、だ」。駒沢大学の山口浩グローバル・メディア・スタディーズ学部助教授は実名で執筆しているブログで、オーマイニュースが市民記者によるニュースを売り物にしていることについて、読み手の視点を欠いていると批判する。ブログなどの更新情報を受け取るRSSリーダーの利用者は「マスメディア、市民メディア、ブログといった帰属の別が関係なくなっている」と指摘。読み手側は市民記者が書いたということに大きな価値を感じてはおらず、記事の内容次第で評価が決まると見ている。



韓国でオーマイニュースが登場した6年前はブログが普及する以前で、市民が意見表明する機会や情報発信する手段は少なかった。その後、世界的にブログが普及し、CGM(消費者作成メディア)という言葉も定着してきた。市民参加型ネット新聞の日本での草分け的存在である「JANJAN」のある編集者は「ブログがでてきたので、(市民は)自分で自分の意見を言えるようになった。米グーグルの検索サービスを使えば、いろいろな人に見てもらえる。(ネット新聞は)何をしたらいいのかと悩む」と打ち明ける。



人気ブログ「ガ島通信」執筆者の藤代裕之さんはオーマイニュースと著名ブロガーの対話集会を呼びかけた。早稲田大学で2日に開催したシンポジウムでは自ら司会を務め、その後、参加者へのアンケート結果をブログで報告している。参加者の中には「市民記者登録を決心した」という人もいたが、「この程度の内容ならブログでいくらでも読める」、「先行者(JANJAN)から全く学んでいないのは致命的」と批判的な意見も多かった。



一般読者を対象とした新聞記事よりも専門的な内容を扱ったブログが多数存在し、JANJANなどの類似サイトもある状況で、オーマイニュースの日本での「立ち位置」は定まりにくい。これに対し、オーマイニュースの鳥越俊太郎編集長は早大でのシンポジウムで、市民による日常生活の体験談を積み上げれば、既存のメディアと違う視点からの問題提起ができると強調した。例えば、病院で点滴を打ってもらったときの経験から、点滴のミスで被害にあった当事者が次々と体験談を投稿していけば「日本の医療現場がどうなっているのかを検証できる」と市民記者の活躍に期待を寄せている。



一方、既存メディアで働くブロガーの見方は趣が異なる。時事通信社の湯川鶴章編集委員はブログの中で、オーマイニュースの呉連鎬社長から日本での事業展開について相談を受けたことを明らかにしている。「JANJAN」やライブドアの先行事例を分析して、「否定的な見解を述べておいた」と書いているが、むしろ、ソフトバンクがオーマイニュースに出資したことに着目し、ソフトバンクやヤフーがオーマイニュース日本版を集客力のあるニュースサイトを育てる可能性があるのかを呉連鎬社長の姿勢などから見極めようとしていた。



ブログ「竹橋発」を執筆する毎日新聞社の磯野彰彦編集局次長は早大でのシンポジウムに出席し、「タレ込み情報がオーマイニュース側に流れて、抜かれたら困る」と警戒感を隠さなかった。既存メディアに所属する湯川氏や磯野氏は事業と編集の両面からオーマイニュースが競合相手になり得るのかが気になる様子だった。



批判的な意見や警戒感が渦巻くなかで、ブロガーからは「市民記者に自分の住む地域の課題を中心に取材してもらうことから始めたらどうだろうか」(ブログ「talleyrandの備忘録」)との提案もあり、オーマイニュースに期待する声も出ている。例えば、市町村の議会での委員会質疑、地域で開催されるシンポジウムなど既存メディアが記者を配置する手間をかけられない所で、どんな発言があり、何が起きたのかをきめ細かく伝えていけば、既存メディアとの違いも打ち出せる。



消費者や市民がネットなどで情報発信できる時代に、ことさら市民記者が書いたことを強調することに意味はないのかも知れない。「読みたい記事がない」(駒沢大の山口助教授)と感じている読み手の不満に応えるメディアづくりは、既存メディアも市民参加型メディアにも共通の課題になるだろう。



▼「talleyrandの備忘録」


オーマイニュース考 


http://blog.goo.ne.jp/talleyrand_2006/e/7b72987ee2c084e72504125398859847



▼「H-Yamaguchi.net 


オーマイニュースについて(1):現状分析 


http://www.h-yamaguchi.net/2006/09/1_77cc.html#more



▼「ガ島通信」


[イベント]ブロガー×オーマイシンポジウム「アンケート」概要報告


http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20060904/1157375900



▼「湯川鶴章のIT潮流」


日本版オーマイニュースの狙いは打倒権威主義


http://it.blog-jiji.com/0001/2006/02/post_0730.html




































「フォーチュン」編集長を招きメディア懇談会

Eric 日経メディアラボは12日、米経済誌「フォーチュン」のエリック・プーリー編集長=写真=を招き、東京都内でメディア懇談会を開催した。プーリー編集長は1月にインターネットの読者向けサイトを刷新し、「フォーチュン」の記事を経済情報サイト「CNNマネー・ドット・コム」に掲載することで、850万人の読者(ユニークユーザー数)を確保できたと強調。「プレミアムのコンテンツ(情報の内容)として、有力企業500社について詳細に分析した情報を有償で提供することもあり得る」と述べ、広告収入の基盤固めに加えて記事の購読収入確保にも意欲を示した。














同誌は有料の記事をネットで閲読してもらう既存のオンライン事業を全面的に見直した。米タイム・ワーナーが傘下にある「フォーチュン」など4誌とニュース専門局CNNの経済情報を統合した経済情報サイト「CNNマネー・ドット・コム」を1月にスタート。「フォーチュン」も新サイトから無料で記事を読めるようにした。35人の専属記者を新サイトに投入し、ニュース速報にも対応できる編集体制を整えた。



無料の電子媒体で即時に「フォーチュン」ブランドの経済ニュースを読んでもらい、分析記事は紙媒体で購読してもらう流れを作り、無料サイトと有料の紙媒体を組み合わせた戦略を打ち出している。紙媒体と電子媒体をセットにして広告主に売り込む広告営業体制も強化し、「プリントとオンラインをパッケージにしてプラスになった」としている。



プーリー編集長は雑誌が電子媒体への移行期を迎えているとの認識を示した上で、「(電子メディアが主流になる)『新世界』に突入するときに、オンライン雑誌に悲観的な人もいる。オンラインではプリントほど売り上げ規模が大きくならないとの見方があるが、利益率は確保できるので、楽観的だ」と強調した。








2006年9月3日日曜日

「オーマイ」編集長、ブロガーに参加を呼びかけ

Ohmy_1 韓国のインターネット新聞大手、オーマイニュースとソフトバンクが共同出資で設立したオーマイニュース・インターナショナル(東京・港)は2日、東京都内でブロガー(ブログ執筆者)との対話集会を開催した。日本版「オーマイニュース」の鳥越俊太郎編集長=写真=は「コメントを書き込むだけでなく、市民記者と登録して原稿を書いてください」とブロガーに参加を呼びかけた。市民記者の登録者は2日時点で1600人。同社は年内に市民記者を5000人にしたい考えだ。








早稲田大学(東京・新宿)で開催した「ブロガー×オーマイニュース『市民メディアの可能性』」にはブロガーら約100人が参加した。鳥越編集長は「鳥越の名前なら(インタビューなどに)でてきてくれる人もいる。言ってみれば、立ち上げまでの広告塔の存在だ」と述べ、8月に創刊したばかりの「オーマイニュース」のPR役をこなした。ブログを執筆しているタレントの真鍋かをりさん、療養中の王貞治ソフトバンク監督らのインタビューを予定しているという。



鳥越編集長はネット掲示板「2ちゃんねる」を「ゴミため」と揶揄(やゆ)したことで批判が集まったことについて、「インタビューでは『一部の』書き込みについて、言ったつもりだった。『2ちゃんねる』の全体を見たことはない」などと弁明。「本意が伝わっていないとすれば、謝ります」と述べた。掲示板愛好者らの批判が集まったことで、結果的に「オーマイニュース」はアクセス数が伸びたもよう。オーマイニュースは「9月に400万ページビューを稼がないと翌月の広告が入らないが、これはクリアしている」(平野日出木編集次長)としており、広告収入を確保できる程度にアクセス数は伸びていると説明している。



フォロワー