2009年12月16日水曜日

「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」サイト開設――購読料は月1980円

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 米の経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を日本語で提供する新サイト「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」(WSJ日本版)が12月15日、開設された。英語版「WSJ.com」の掲載記事1日200本超のうち同30本程度を選び、日本語に翻訳して配信する。購読料は月1980円(長期契約割引あり)。
(写真は会見で新サイトを説明する小野由美子WSJ日本版編集長)



 米ダウ・ジョーンズとSBIホールディングスが共同出資で2009年6月に設立したウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン(東京・千代田、北尾吉孝代表取締役)が運営する。配信記事は英語の原文もあわせて配信する。携帯電話向けサービスは無く「次のステップとして考えていく」(小野編集長)。


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 都内で開いた会見で、北尾代表取締役=写真=は「日本の新聞には分析力が足りない。WSJ日本版では、日本の新聞とは違った切り口の記事や、日本の新聞があまり取り上げない中国、インドの情報を提供できる」とアピールした。売り上げ目標などについては、「もう少し感触をみてから決めたいが、3年以内に黒字化することがSBIグループの決まりになっている」と話した。


・ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 http://japan.WSJ.com/


(関連記事)
マードック氏来日、「新聞社サイト有料化の必要性」を改めて強調
サーチナ、ダウ・ジョーンズと新投資情報サービス――証券会社向けなど開拓
WSJ、「日本向けサイトも読者への課金モデルで」――世界ICTサミット


2009年12月8日火曜日

産経、無料の経済情報サイト「SankeiBiz」

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 産経新聞社のデジタル部門、産経デジタル(東京・千代田)は12月7日、新しい経済情報サイト「SankeiBiz(サンケイビズ)」を開設した。経済紙「フジサンケイビジネスアイ」の公式サイトを全面刷新。「ビジネスアイ」だけでなく「産経新聞」「夕刊フジ」などの経済関連記事やネッ
ト独自記事も提供する。「現時点では有料化を考えていない」(産経デジタルの土井達士メディア部長)として、当面は無料広告モデルで運営する。(写真は「SankeiBiz」のトップページの例)



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従来の「ビジネスアイ」のサイトでは、平日1日あたり平均80本の記事を掲載していたが、新サイトでは同150―200本と倍増させる。専任のウェブ編集デスクを配置し、産経新聞社の別府育郎編集長=写真=が新サイトの編集長を兼任する。「MSN産経ニュースが掲げた『紙よりも詳しく』という方針は、SankeiBizでも実践していく」(別府氏)


 トップページ上部には、企業の緊急会見の予定などをリアルタイムに配信する速報コーナー「ビジネスライブ」を設置。「(他社の)既存の速報サービスは金融業界向けで高価だが、ビジネスライブは無料でだれでも見られる」(産経デジタルの高橋俊一メディア部次長)点を売り物にする。


 携帯電話向けには、以前から「ビジネスアイ」の記事を有料配信しており(月315円)、SankeiBiz独自の携帯サービスはない。


・SankeiBiz http://www.sankeibiz.jp/



2009年12月2日水曜日

杉並TV、5時間のネット生放送を実施

Suginami  東京・杉並区を拠点に、映像制作を通じた住民視点の情報発信を続けている「杉並TV」は12月5日、5時間にわたりインターネットで生放送を行う。JR荻窪駅に近い「教会通り商店街」に特設スタジオを開き、商店主らによるトークやインタビューなどを中心に番組を構成する。





 杉並TVは、熊本県内のテレビ局に勤務していた岸本晃氏が90年代後半に開始し全国に広がった「住民ディレクター活動」に呼応して誕生。2005年から本格的な活動を開始した。住民ディレクター活動では、映像コンテンツそのものよりも、その制作課程において地域内の人々がコミュニケーションを深め、地域の課題解決や街づくりに貢献していくことを重視する。


 5日は11時30分から、杉並TVのホームページ(http://suginami-tv.jp)で映像をパソコン向けに配信する。ブラウザーがあれば無料で視聴可能で、特別なソフトウエアなどは不要。


2009年11月10日火曜日

慶大、メディア企業などと新聞・雑誌デジタル配信研究――放送波を利用

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 慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科は11月9日、メディア企業や電機メーカーなど15企業・団体と共同で「All Media In
One(AMIO)フォーラム」(代表・中村伊知哉慶大教授=写真)を設立した。放送波を使って新聞・雑誌のコンテンツを配信する新サービスの実現を目指
し、提言やサービス・技術の仕様などをまとめる。
・AMIOフォーラム http://amio.jp/



 フォーラムに参加する企業・団体は以下の通り(50音順)。


・アール・エム・ジェイ
京セラ丸善システムインテグレーション
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科
・産経デジタル
・シャープ
・ソニー
・東芝
日本雑誌協会
・日本放送協会
・ニッポン放送
ネクストウェーブ
・フジテレビジョン
・扶桑社
・日立製作所
マルチメディア放送
・リクルート


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 フォーラムではネクストウェーブ(東京・港)が総務省の「ユビキタス特区事業」(平成21年度ICT経済・地域活性化基盤確立事業)として実施する配信事業や、日本雑誌協会が2010年1月~2月に予定している配信サービスの実証実験と連携。デジタル放送の電波を使った紙メディアのデジタル配信のサービスイメージをまとめる予定。
 (写真は11月9日の設立総会でネクストウェーブが説明した配信サービスのイメージ)


2009年11月7日土曜日

ウェブページ訪問者の閲覧行動を解析「UserHeat」(東京Camp2009)

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 ユーザーローカル(東京・新宿)が出展した「UserHeat(ユーザーヒート)」は、ウェブページを訪れた人の閲覧行動を解析するサービス。9月30
日から無料で提供している。多くの訪問者からよくクリックされた場所や(写真は解析結果の例。よくクリックされた場所が光っている)、熟読された場所、
訪問者のマウスの動きをそれぞれ表示できる。



 サービスを導入する際には専用サイト(http://userheat.com/)でメールアドレスや導入サイトのURLなどを登録し、解析用HTMLタグを解析したいサイトに埋め込む。「500~1000アクセス程度のデータが集まれば十分な解析精度を得られる」(同社)という。


・「UserHeat」
http://userheat.com/
・ユーザーローカル
http://www.userlocal.jp/

 

「東京Camp2009」記事一覧


ドラッグ&ドロップで書籍をiPhone用コンテンツに加工「食べレコ」(東京Camp2009)

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 出版社が手持ちの書籍コンテンツを手軽にiPhone用に加工できるのが、ハンズエイド(東京都町田市)のCMS(コンテンツマネジメントシステム)「食べレコ」。まずグルメガイド本などを出している出版社の需要を開拓する。(写真はiPhone用コンテンツに加工した例(手前)と作成画面。クリックで拡大)



 導入企業は書籍の制作に使った写真やイラスト、文章などのデジタルデータを活用。パソコン画面の中に表示されたiPhone画面見本の中に写真データなどをドラッグ&ドロップしてページをつくる。


 出版物のページそのものを配信するのではなく、iPhoneの画面サイズに合ったレイアウトにできるほか、画面上で指を動かしてページをめくったりレストランの住所と地図を連動させたりといった具合にiPhoneの使い勝手を生かしたコンテンツをつくれる。


・「食べレコ」
http://tabereco.hands-aid.jp/
・ハンズエイド
http://www.hands-aid.jp/


 



「東京Camp2009」記事一覧


百数十種類の動画を1つの画面で再生「fabric video」(東京Camp2009)

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 電気通信大学の笠井裕之准教授が出展した「fabric video(ファブリック・ビデオ)」は、多くの異なる動画コンテンツを縮小して、1つの画面でまとめて再生する技術。デモではブラウザーを使って百数十種類の動画を表示していた=写真(クリックすると拡大します)。



 どの動画も動いていて、利用者がカーソルを動かすことで任意の縮小動画を拡大したり音声を切り替えたりできる。 多くの縮小動画をそれぞれ配信するのではなく、1つに合体した動画に変換するため、スムーズに配信・表示できるという。


 膨大な数の動画が集まる動画投稿サイトの一機能として盛り込んだり、多くの撮影カメラを使うスポーツ中継・音楽ライブ中継の新しい見せ方としてなどの需要を見込んでいる。


・笠井研究室
http://klab.appnet.is.uec.ac.jp/


 



「東京Camp2009」記事一覧


 


「東京Camp2009」開催――ベンチャー企業が最新IT技術を展示

091106top  日本経済新聞社の「日経デジタルコア」とブログメディア「テッククランチジャパン」によるIT関連の技術展示会「東京Camp2009」が11月6日、東京・大手町のスペースニオ(日本経済新聞社2階)開かれた。ベンチャー企業や大学研究者ら31団体が参加し、それぞれの最新技術・サービスをアピールした。(写真は会場入口の様子)



(↓個別の展示内容はこちらをご覧ください)



・百数十種類の動画を1つの画面で再生「fabric video」



・ドラッグ&ドロップで書籍をiPhone用コンテンツに加工「食べレコ」



・ウェブページ訪問者の閲覧行動を解析「UserHeat」



 



■関連リンク
・テッククランチジャパンの特設ページ
http://tokyocamp.net/
・日経デジタルコア
http://nikkeidigitalcore.jp/



2009年11月6日金曜日

楽天、「Edy」運営企業を子会社化

 楽天は11月5日、電子マネー「Edy(エディ)」を運営するビットワレット(東京・品川)を連結子会社にすると発表した。12月末に実施する第三者割当増資を引き受け(約30億円)、株式の過半数を取得。楽天から取締役を派遣する。



・楽天のプレスリリース
http://corp.rakuten.co.jp/newsrelease/2009/1105.html



 楽天は2007年12月からビットワレットと業務提携しており、携帯電話の「おさいふケータイ」でEdyを使うと楽天のポイントがたまる携帯アプリを提供中。子会社化を契機に「楽天会員に対しEdy利用可能箇所約16万箇所でのEdy利用を一層促すとともに、Edyのネット上での利用機会の増大のための施策や、楽天のサービスとの更なる連携にも取組む」(プレスリリース)としている。


2009年10月30日金曜日

読売、有料の医療情報サイト「yomiDr.」を開設

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 読売新聞社は10月29日、医療情報サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」を開設した。病気や医療機関、医師などの情報を提供する。主要なコンテン
ツは有料制になっており、利用者は同社の会員制サイト「yorimo(ヨリモ)」の会員IDとクレジットカード番号の登録が必要になる。利用料は月420
円、読売新聞の購読者は月210円になる。(写真はトップページのイメージ図)



 全国の病院検索コーナーと病気別の情報検索コーナーが有料制。医療・健康関連のニュースなどを無料で提供する。新聞購読の有無によって会員種別を区別している「yorimo」の会員IDを活用する。


 有名人や医師らに執筆を依頼したブログコーナーも設けた。ブログの各記事に利用者がコメントを投稿できるが、編集担当者がチェックしたうえで掲載する仕組み。編集方針として、掲載しない基準10項目を列挙している。項目は以下の通り。


・当ブログとの関係が認められない場合
・特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
・第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
・企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
・選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
・特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
・事実に反した情報を公開している場合
・公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
・メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
・その他、編集スタッフが不適切と判断した場合


■関連リンク
yomiDr.
http://yomidr.jp/
読売新聞社、医療記事をまとめた情報サイト、全国約3000病院の情報も収録(asahi.com)
http://www.asahi.com/digital/bcnnews/BCN200910290011.html
読売新聞が新医療サイト「ヨミドクター」開設(livedoorニュース)
http://research.news.livedoor.com/r/35627


9月7日のプレスリリース(@Press)
http://www.atpress.ne.jp/view/12086
読売新聞、医療サイト「ヨミドクター」開設へ、有料制を導入(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090907/336738/


2009年10月16日金曜日

カカクコム、グルメサイト「食べログ」を書籍化

 カカク091015コムは、自社のグルメサイト「食べログ」のコンテンツを活用した書籍づくりを始めた。第一弾として10月16日に京阪神のレストランガイド「食べログ京都・大阪・神戸2010」を10月16日に発売した。



 食べログは利用者が投稿した飲食店の評価(5段階)とクチコミ投稿でつくるサイト。2005年3月のサイト開設時から2009年7月末までの投稿を集計し、評価が高い店の情報を掲載した。食べログのサイトに投稿されたクチコミは書籍には使わない。出版元はゲイン(名古屋市)。


■関連サイト
・「食べログ」の書籍紹介ページ http://r.tabelog.com/campaign/book/kansai2010.html
・ミシュランが見落とした大衆食(日経WagaMaga) http://waga.nikkei.co.jp/play/gourmet.aspx?i=MMWAd4001014102009


2009年10月6日火曜日

マードック氏来日、「新聞社サイト有料化の必要性」を改めて強調

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 米ニューズ・コーポレーション会長兼最高経営責任者(CEO)のルパート・マードック氏が来日し、10月5日に傘下のダウ・ジョーンズが開いたイベント「世界経済カンファレンス」(東京・帝国ホテル)に出席した。



 今後のメディア動向について「(ネットの時代に)新聞には以前のように広告が戻らない。信頼できる情報を継続して提供することがメディアの役目だが、ニュースづくりにはおカネがかかる。読者からのアクセス料が必要だ」と、新聞社サイトの有料化が必要とする従来からの主張を改めて強調した。


 世界の景気動向について議論するイベントだったが、会場参加者からの質問に答える形でメディア業界についてコメントした。来日はダウ・ジョーンズなどが2009年内に開設するウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の日本向けサイトのPRなどが目的。


■関連リンク
WSJ、「日本向けサイトも読者への課金モデルで」――世界ICTサミット
http://nikkeimedialab.jp/blog/2009/06/wsjict-ce4f.html


「景気の持続性に疑問」…マードック氏講演(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091006-OYT1T00219.htm
「米国株式市場はフラットな展開に」-米ニューズ社のマードック氏(サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1005&f=business_1005_144.shtml
「米新聞ネット版有料化へ」…ニューズ社マードック会長(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20091001-OYT8T00489.htm


2009年9月4日金曜日

ネット広告の成功モデル探る・アドテック、日本で初の開催

Adtech  ネット広告など、マーケティング分野でのIT活用について専門家が話し合う会議「ad:tech(アドテック) tokyo」(主催:米アドテック・エクスポジションLLC)が、9月2日・3日の2日間、都内ホテルで行われた。この会議は1997年から欧米、アジアの各都市で実施されており、日本では初めての開催。



 3日の基調講演では、CNNインターナショナルのニック・レン副社長(=写真上)が同社のネットサービスを解説した。CNNは、今年1月のオバマ大統領就任式をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェースブック内で動画中継した。これは多くの米国民が、この歴史的な出来事に『参加』したがっていると感じたからだという。中継はリアルタイムで130万人が視聴し、動画再生の総数は2690万回に上った。配信は無料で、スターバックスがオリジナルのCM映像を流したが、レン副社長は「オバマ大統領はネットコミュニティーを活用し、草の根型で成功を収めた。ネット広告を出す企業にとっても、よいメッセージとなったのでは」と、この試みが広告面でも成功を収めたことを強調した。


Immersive  併設の展示会では、ネット広告関連のサービスやソフトウエアを提供する企業が最新の製品を紹介した。仮想空間構築ソフトを販売する3Di(東京・渋谷、小池聡社長)は、バナー広告内部に仮想空間を表示する新技術「イマーシブ(没入型)・バナー」(=写真下)を出品。ショールームや住宅展示場などを再現した仮想空間をウェブ閲覧者が自ら操作し、積極的に広告情報を入手する仕組みを目指すという。


 アドテックはこの後、年内にロンドン、ニューヨーク、シンガポール、北京での開催を予定している。


■関連リンク


アドテック東京のウェブサイト


http://www.ad-tech.com/tokyo/japanese/adtech_tokyo.aspx


2009年8月29日土曜日

ITベンチャー、アイデアと技術競う・TechCrunchが都内でイベント

Techcrunch  IT最新情報を紹介し人気を集めているブログ形式のニュースサイト「TechCrunch」の日本語版を運営するDESIGN IT!(日本支店:東京・新宿、篠原稔和代表)は8月28日、ITベンチャーが独自の技術を紹介するイベント「TechCrunch Japan 東京Camp」を東京・北青山のTEPIA(機械産業記念事業財団)で開催した。



 ソフトウエア開発のホットリンク(東京・千代田、内山幸樹社長)は、東京大学工学部総合研究機構と共同で取り組んでいる衆議院総選挙の結果予測「クチコミ@総選挙」をデモ展示した。ブログや掲示板の書き込みなどネット上の口コミ情報を収集し、過去の口コミと選挙結果の相関関係から各選挙区の当選者を予測する。内山社長は「ネット上には様々な口コミがあるが、選挙に関してはブログの存在が大きいようだ」と話した。予想の的中率についても手ごたえを感じているという。


 AR(拡張現実)技術を使ったユニークなコミュニケーションを研究している「AR三兄弟」は、Tシャツにプリントしたマーカーをウェブカメラで撮影し、ミニブログTwitterのIDを入力すると、画面上ではTシャツ上のプロフィール写真が何やらつぶやいて見える、という仕組みを紹介。AR三兄弟の川田十夢氏は、「最近はAR技術も進歩し、マーカーを使わないものも出てきた。だがまだARは一般的とは言えない。そのギャップを埋めるために、あえてマーカーを使うことで、どのような面白いことができるかを考えた」と語る。


Sociomedia  DESIGN IT!は、情報システムのユーザーインタフェース設計などを手がける、ソシオメディアのグループ会社。今年4月から、TechCrunch日本語版を運営している。イベント前の会見で、両社の代表を兼ねる篠原氏(=写真)は「今後、米国TechCrunch本社との連携を強化していくとともに、日本オリジナルのコンテンツを掲載するなど、日本から情報を発信していくことにも力を入れていきたい」と抱負を述べた。




■関連リンク


東京Camp公式サイト


TechCrunch Japan


2009年8月27日木曜日

ネット時代の「マニュアル」あり方探る・TC協会がシンポ

Tcwg1  情報機器の操作マニュアルなど、機能的な文章や図表、ドキュメントの制作にかかわる専門家や研究者で組織しているテクニカルコミュケーター協会(TC協会)は、8月25日・26日の2日間、東京・新宿の工学院大学でシンポジウムを開催した。



 無印良品や、NTTドコモの「らくらくホン」を手がけたグラフィックデザイナーの原研哉氏の基調講演に始まり、執筆やデザインなどに関する実践的なノウハウ、関連する技術動向などを伝えるセミナーや、各種の研究発表など、40を超える多彩な分科会が行われた。


Tcwg2_2   TC協会でWebマニュアルのあり方を議論している「Webコミュニケーション調査・研究ワーキンググループ(WG)」の発表では、クラウド・コンピューティングやアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」のように電子ペーパーを搭載した端末の登場など、インフラや機器の変化がマニュアルの制作にどのような影響を与えるかについての調査結果を報告した。WGリーダーを務める職業能力開発総合大学校の大野邦夫教授(=写真)は発表の中で「デジタル情報は、読んだり考えたりするものから、感性に訴えるようなものになってきた」と分析。いわゆるコンシェルジェ的な、有用な情報をプッシュ型で提供する情報サービスの広がりや、近づいてくる人をカメラで認識するデジタルサイネージの登場など、コミュニケーションの形が多様化しているのに伴い、Webマニュアルは今後さらに柔軟な発想で考える必要があることを訴えた。


■関連リンク


テクニカルコミュニケーター協会


http://www.jtca.org/


2009年8月23日日曜日

重み増す地域メディアの役割と意義・米子で合宿討論会

20090822_4  慶應義塾大学地域情報化研究コンソーシアムは8月21日、22日の2日間、地域メディアの将来について話し合う討論会「地域メディアを再構築しよう!米子合宿」を鳥取県米子市の米子コンベンションセンター・ビッグシップで開催した。全国の新聞社、ケーブルテレビ局など地域メディアの関係者や、このテーマに関心のある研究者ら50人以上が参加し、熱心な議論を繰り広げた。



 最初に、地元・米子市のケーブルテレビ局、中海テレビ放送がその活動について発表した。中海テレビは独自の番組制作に力を入れていることで知られる。一人の社員が取材、撮影、編集まで行うビデオジャーナリスト方式を採用することで、少人数で6チャンネルにも及ぶ独自番組の放送を支えている。


20090821  単に事実を報道したり、問題提起をしたりするだけでなく、地域の課題解決に積極的にかかわっていく姿勢を重視しているのも中海テレビの大きな特徴のひとつ。交通事故が連続して起きている地域に関する報道では、警察による事故原因の調査検討や、地元の対策協議会、そこから役所への陳情などをたんねんに追い、紹介することで、事故撲滅への動きを支え続けた。その結果、この地域での交通事故発生はゼロになったという。また、鳥取と島根の県境にある汽水湖、中海の浄化プロジェクトでは、企業や地元住民グループなどによる清掃活動を毎回テレビ番組で紹介するなど、放送とボランティア活動を融合させた試みを行い成果を挙げている。中海テレビの高橋孝之専務(=写真)は「今後は、実際に起きている問題ではなく、これから起こりうる課題を発見し、解決するような放送をしたい」と力強く語った。


 続いて、最新のネット技術を駆使している事例として、佐賀新聞社の牛島清豪デジタル戦略チームリーダー、紀伊民報社マルチメディア事業部の上仲輝幸係長が各社の取り組みを紹介した。佐賀新聞は、新聞社としていち早くSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を導入したことで知られているが、その後も積極的に新しいサービスに乗り出している。今年は動画共有サイトのYoutubeに公式チャンネルを開設し、ニュース番組の放映を始めたほか、ミニブログのツイッターにも公式アカウントを設置した。一方の紀伊民報は、ニュースサイトである「AGARA」、地元の店舗を紹介し、クーポン券なども発行するエリアガイドの「Kii Life(キーライフ)」、そしてSNSの「みかん」を連動させることで、効果的な情報発信と他の新聞社にはないビジネスモデルを実現している。


 2人の講演を受けたディスカッションでは、兵庫県で地域SNS「ひょこむ」を運営しているインフォミームの和崎宏社長が「我々のようなコミュニティー側から見ると、新聞社など地域のメディアはパートナーになりたい存在。自社ですべてを手がけるのもいいが、もっと外と連携することも必要ではないか」と意見を述べた。


 2日目のセッションでは、「シビック・ジャーナリズムの挑戦」の著書、河北新報社の寺島英弥編集局次長兼生活文化部長が、地域メディアに求められるジャーナリズムのあり方について事例をまじえて講演した。寺島氏は「マスに対して情報を発信してきたマスメディアだが、そこで働く記者はいつの間にかマスに守られた存在になろうとしている」と指摘。その上で「そうした『内なるマス』から自らを解放し、一人ひとりが取材を通じて得た様々な声を地域社会につなげていく『つなぎ手』とならなくてはいけない」と主張した。


 最後に、発表者のほか、地域SNSを研究している国際大学GLOCOMの庄司昌彦主任研究員、全体の司会を務めた「ガ島通信」ブロガー・藤代裕之氏と坪田知己日経メディアラボ所長らが総括討論を行った。この模様は中海テレビが番組化し、10月に放送を予定している。


■関連リンク


地域情報化研究コンソーシアム


2009年8月11日火曜日

あらたにす、自民・民主党首討論をネットで生中継――8月12日午後4時半から

あらたにす
 日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞社の共同サイト「あらたにす」(http://allatanys.jp/)=写真=を運営する日経・朝日・読売インターネット事業組合は、8月12日に開かれる自民・民主党首討論の模様をネットで生中継する。中継時間は午後4時半~6時。中継終了後にも動画を見ることができる。



 党首討論は経済界、労働界、特定非営利活動法人(NPO法人)などから有識者約200人が参加する「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」の主催。


◇ ◇ ◇


 党首討論はドワンゴ子会社、ニワンゴ(東京・中央)も動画サイト「ニコニコ生放送」で生中継する予定。


■関連リンク
プレスリリース原文(あらたにす)
http://allatanys.jp/pdf/20090807press.pdf
新しい日本をつくる国民会議-21世紀臨調オフィシャルホームページ
http://www.secj.jp/
8/12 麻生VS鳩山 党首討論生中継!(ニコニコニュース)
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2009/08/004019.html


2009年8月5日水曜日

Interop「再生」へ、村井純教授ら意欲示す

09080401  デジタルサイネージ事業などを手がけるナノオプト・メディア(名古屋市中区)は4日、インターネット関連技術の展示会「Interop Tokyo」の営業権を取得したと発表した。イベント企画・運営のCMPテクノロジージャパン(東京・千代田区、クリストファー・イブ社長)から譲り受けた。



 ナノオプト・メディアの社長は、インターネット総合研究所の藤原洋所長。これまで実行委員としてInteropの企画に携わってきた。藤原氏は会見で「Interopの特色は、会場内で行うネットワーク相互接続実験『ShowNet』に代表されるように、各メーカーが新製品を持ち寄り、実際につながるかどうかをユーザーも交えて検証する、という目的があること。近年は商業性が重視されがちだったが、この本来の意義を見つめ直したい。そこから新たなビジネスモデルも生まれる」と述べた。


09080402  藤原氏と同様、長く実行委員としてInteropを支え続け、次回から実行委員長に就任する慶應義塾大学の村井純教授も会見に出席した。「Interop Reborn(再生)」と題してスピーチし、「Interopは、市場に受け入れられる製品のあり方を各社とユーザーが議論する、いわば『マーケット・スタンダード』を模索する展示会。日本の市場はガラパゴスとも言われるが、日本のユーザーの『使いこなし力』やクオリティーに対する高い要求こそ、世界の市場に受け入れられるマーケット・スタンダードを作り出せるはず」と意気込みを示した。


 来年のInterop Tokyoは6月9日から11日まで、千葉の幕張メッセで開催される。


■関連リンク
Interop Tokyo
http://www.interop.jp/


朝日が携帯CGM、”自前主義”捨て短期間で新サービス立ち上げ

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 朝日新聞社は携帯電話向けのCGM(消費者発信メディア)、「参考ピープル」を7月30日から始めた。まず先着1000人を対象にベータ版として運営
し、9月1日から正式サービスに移行する。
(写真は会見風景。左から芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役CEO、朝日新聞社の洲巻圭介プロデューサー、手嶋屋の手嶋守代表取締役)



 ベンチャー企業の芸者東京エンターテインメント(東京・文京)、手嶋屋(東京・新宿)と組み、両社の技術を活用することで、少人数・短期間で新サービスを立ち上げた。朝日新聞グループがニュース素材などを提供しない、携帯サービスで無料広告モデル、ベータ版から公
開――など、新聞業界のなかでは異例づくしの新サービスといえる。


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 Twitterのようなミニブログ機能や、ソーシャルブックマーク機能などをあわせたサービス。利用者が参考になるウェブページを自由に登録し、みんなで共有する。携帯でも簡単にウェブページを登録できるよう、参考ピープル内のウェブ検索結果ページからクリック1つで登録作業ができるよう工夫している。


 朝日側の担当者は3人。芸者東京エンターテインメント、手嶋屋と組むことで約1年で新サービスを立ち上げた。今後も少人数で運営していく考え。新聞離れが進む35歳以下の世代に向けてアピールし、3年後に利用者100万人、広告売り上げ2億円を目指している。


(右の写真は画面の例。「参考ピープル」パソコン向けサイトから抜粋)


■関連リンク
「これまでと真逆」――朝日新聞が携帯専用「ソーシャルブクマ+ミニブログ」、「ARis」開発元も協力
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0907/30/news088.html
朝日新聞のモバイルSNS「参考ピープル」の記者発表に行ってきたよ(世界中の1%の人々へ)
http://www.dakiny.com/archives/event/35people_sns/
参考ピープル記者発表解説 (手嶋屋社長BLOG)
http://www.tejimaya.com/archives/3049



「玉石混交の情報から”玉”を集める」――神奈川新聞の「メディアジャム」
http://nikkeimedialab.jp/blog/2007/06/post_c92b.html


2009年7月31日金曜日

ネットレイティングス、口コミ分析サービスを開始

090730  インターネット視聴率調査のネットレイティングス(東京・渋谷)は7月30日、CGM(消費者発信メディア)分析サービスを開始した。ネット上の口コミを分析し、企業にマーケティング情報として提供する。



 サービス名称は「BuzzMetrics(バズメトリクス)」で、米国ではネットレイティングスの親会社にあたるニールセン社が10年前から提供している。ブログや掲示板、Q&Aサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などをモニターし、製品やブランドなどがネットでどのように語られているか分析を行う。すでに、日本語で書かれたブログの190万記事、掲示板の40万メッセージについて解析可能という。


 千葉尚志社長は「CGM分析はすでに国内で数多く立ち上がっており、われわれは後発」としながらも、顧客の要望に応じてアナリストが調査設計からレポートの作成まで行う「アド・ホック型」でサービスできること、ネット視聴率データと統合して分析できることなどの強みがあると述べた。ニールセン社のショーバナ・スリニワサン プロダクトマネージャー(=写真)も、「バズメトリクスは、米調査会社フォレスター・リサーチのリポートでも、同種のサービスに比べ高い評価を受けている」と胸を張った。また日本はブログ閲覧頻度が高いなどCGMが広く普及していることから、このサービスの成長に期待を示した。


 サービスの利用は250万円から。また、顧客自身が操作し、手軽に口コミ状況をモニターできるASPサービス「バズメトリクスダッシュボード」も8月8日から月額30万円で提供開始する。


■関連リンク


ネットレイティングス
http://www.netratings.co.jp/


2009年7月29日水曜日

ドコモ・富士通、水に濡れても壊れない「らくらくホン」発売

Rakuraku   NTTドコモと富士通は、主に高齢者を対象にした携帯電話「らくらくホン」の最新機種を8月7日から販売すると発表した。



 「らくらくホン」シリーズは1999年の発売。見やすい画面や簡単な操作、大きく手ごたえのあるキーなどで人気を博し、今年3月には累計販売台数が1500万台を超えた。その最新版となる「らくらくホン6」では、新たに防水・防じん機能を備えた。生活やレジャーの中で、水や泥がかかっても安心して使えるという。


 富士通が昨年らくらくホン利用者を対象に調査したところ、次に携帯電話を購入する際、期待する点として「水に濡れても壊れない」が1位に上がった。今回の製品はその期待にこたえた格好だが、開発は「決して『らくらく』ではなかった」(富士通・佐相秀幸常務)という。「防水性能を高めようとしてパッキンなどの部品を追加すれば全体が厚くなってしまう。また、らくらくホンの特徴であるキーを押したときの手ごたえと両立させるのも難しかった」と技術的には多くの課題があったことを明かした。


 会見には6年にわたり同製品のイメージキャラクターを務める女優の大竹しのぶさん(=写真中央)も登場。「最近は自分の周りでもらくらくホンをよく見かけるようになった。最新版は汚れても洗い落とせるそうなので、朝、化粧をしながら、あるいは台所で料理をしながら携帯を使えてうれしい」と語った。


 「6」の発売に合わせ、富士通ではらくらくホンの活用術を利用者から募集し、本にまとめて配布する1500万台達成記念キャンペーンを開始する。


■関連リンク


NIKKEI NET IT PLUSの記事


http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfh000028072009


NTTドコモのページ


http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/easy_phone/f10a/index.html


富士通のページ


http://www.fmworld.net/product/phone/f-10a/


2009年7月16日木曜日

サーチナ、ダウ・ジョーンズと新投資情報サービス――証券会社向けなど開拓

090715
 中国関連などの情報サービスを手掛けるサーチナ(東京・中央)は、ダウ・ジョーンズ日本法人、ダウ・ジョーンズ・ジャパン(東京・千代田)と共同で新しいオンライン投資情報サービスを始める。7月15日、都内で開かれた展示会で、サービス画面の一部を公開した。日米中のマーケット情報(株式、為替、商品など)をワンストップで提供する点を売り物に、顧客への情報提供サービスを強化したい証券会社向けの需要などを開拓する。
 (写真はサービス画面の例。クリックで拡大します)




 新サービスの名称は「グローバルマーケットアトラス」。両社は別々に記事を編集して配信するが、利用者は同じサービス画面のなかで「日本株」「中国株」など分野別に両社の記事をまとめて読める仕組み。日米中の企業の株価の動きを同時に比較できるチャート機能も備えた。英語や中国語などで書かれた記事は、速報性を重視して自動翻訳ソフトで素早く日本語化して配信したり、必要に応じて日本の新聞記事のような構成の文章に書き直したりするという。


 サーチナがシステム開発を担当した。サービス画面のデザインは納入先の企業のサイトにあわせて変えることができる。


■関連リンク


4月27日のプレスリリース(業務提携)


http://searchina.ne.jp/pr/disp_press.cgi?y=2009&d=0427&f=net_0427_001.shtml


7月23日のプレスリリース


http://searchina.ne.jp/pr/disp_press.cgi?y=2009&d=0723&f=net_0723_001.shtml



2009年7月15日水曜日

ブライトコーブ、動画配信プラットフォームの日本語版を公開

Brightcove  企業向けに動画のネット配信環境を提供するブライトコーブ(東京・恵比寿、橋本久茂社長)は14日、主力製品である「ブライトコーブ3」の日本語版を正式に公開した。



 ブライトコーブ3は、動画配信の仕組みを作る環境をネット経由で提供するPssS(Platform as a Service)型の製品。複数の動画を同時にアップロードしたり、配信サイトを手軽にデザインできるなどの特徴がある。すでに国内ではメディア企業を中心に30社が導入しており、TBSは無料の見逃し視聴サービスに同社の技術を採用している。


 ブライトコーブは、世界27カ国で約700社のユーザーを抱える。記者会見に臨んだ米国本社のジェレミー・アレイアCEO(=写真)は、「日本はブロードバンドの普及が世界トップクラスで、メディアビジネスの規模も大きい。一方で動画の活用はまだ黎明(れいめい)期にあり、市場としては実に魅力的」と述べ、日本を戦略的に重視する姿勢を示した。


 日本語版の公開を機に、製品の完全版を30日間無料で利用できるキャンペーンを開始した。同社のウェブサイトで申し込みを受け付けている。


■関連リンク
ブライトコーブ
http://www.brightcove.co.jp/


2009年7月9日木曜日

世界50カ国のネット利用者、クチコミの信頼度高まる――ネットレイティングスが公表

090708
 インターネット視聴率調査のネットレイティングス(東京・渋谷)は7月8日、親会社である米ニールセンが実施した情報信頼度調査の結果を公表した。世界
50カ国のネット利用者約2万5000人から回答を得た。=グラフは「宣伝媒体/情報ソース別の信頼度」(プレスリリースから抜粋、クリックで拡大します。出典:Nielsen
Global Online Consumer Survey、2009年4月)



 信頼度が高かったのは「知人による直接の推奨」(回答者全体の90%)、「インターネット上の消費者の意見」(同70%)、「企業(またはブランド)のウェブサイト」(同70%)の順。 米ニールセンは「この2、3年で消費者発信型メディア(CGM)が爆発的に増えたが、消費者が直接の知人やインターネット上の他人からのクチコミに頼る度合いが非常に強まったことを意味している」と分析している。


 2年前の調査と比べると、「知人による直接の推奨」は12ポイント上昇、「インターネット上の消費者の意見」も10ポイント上昇している。反面、「新聞」は2ポイント下落した。


■関連リンク
プレスリリース原文 http://www.netratings.co.jp/New_news/News07082009.htm


2009年7月3日金曜日

予算削減でもモバイル広告には期待・D2Cと日経ネットマーケティング調査

 携帯電話向けネット広告のディーツーコミュニケーションズ(D2C)と日経BP社発行の「日経ネットマーケティング」誌は、携帯電話などを媒体とする「モバイル広告」について、企業がどのように利用しているか共同で調査した。このほど結果が発表され、広告費全般を削減しても、モバイル広告予算は維持したいと考えている企業が多いことが分かった。調査の設計には日経メディアラボが協力し、2009年4月から5月にかけて4126社を対象に実施。444社から有効な回答を得た。



 2008年度の広告費を100としたときの2009年度の広告費は平均で86となり、広告費を抑える傾向が鮮明となっている。そうした中で、モバイル広告予算については77%の企業が2009年度も「変わらない」と答え、「増やす」とした企業も13%あった。


 モバイル向けWEBサイトを常設する企業も増加しており、特に消費者向け製品を扱う企業では半数近い49%が開設している。未開設の場合も27%が今後の開設を予定しているという。


 このようにモバイル広告が期待を集めているのは、実際に活用している企業の38%が「ターゲットを絞り込みやすい」と回答していることからも分かるように、自社製品を効率的に訴求できる媒体、と考えられているからだ。「費用が手ごろ」という声も32%にのぼり、コストパフォーマンスに優れているというイメージもあるようだ。また26%が「クロスメディアに効果的」としており、他のマスメディアへの広告出稿と複合的に利用している実態も明らかとなった。


■関連リンク
ディーツーコミュニケーションズのニュースリリース
http://www.d2c.co.jp/library/d2cnews_09.06.25.pdf


「日経ネットマーケティング」の記事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20090625/198533/?ST=nmg_page


2009年6月13日土曜日

共同通信、電子看板に最新ニュース配信・専門展示会で紹介

Ds03  店舗や交通機関、街頭などに設置するデジタルサイネージ(電子看板)の専門展示会「デジタルサイネージジャパン 2009」(第1回)が10日から12日まで、幕張メッセ(千葉市)で開催された。映像表示や音声システム、コンテンツを配信するためのネットワーク、センサーやタッチパネルと組み合わせた応用事例などを57社・団体が紹介した。主催はデジタルサイネージジャパン実行委員会。



Dsj02  機器やソフトの展示が目立つ中、共同通信社のブースでは、デジタルサイネージ用のコンテンツとしてニュース配信サービスを紹介していた。まだ開発中で、利用料金や最終的なデザインは今後検討を進めるという。「歩いている人に足を止めてもらうため、動きのある形で表示するなど工夫が必要」と担当者は話す。空港での利用を想定し、英文ニュースもメニューに加える考えだ。


 この展示会の実行委員長を務めた中村伊知哉氏(慶應大学大学院メディアデザイン研究科教授)は、会場の雰囲気について「米国のこうしたイベントではディスプレーやネットワークソリューションをそのまま紹介するケースが多いが、ここでは多くの出展社が実際の利用シーンを想定したデモを行っており、より分かりやすいものになった」とコメント。今後、毎年の開催を予定しており「今回の共同通信社のような、サイネージ向けコンテンツの参加が増えていくと、さらに有意義なトレードショーに成長するのではないか」と期待を示した。


■関連サイト
NIKKEI NET IT PLUSの記事
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/entertainment.aspx?n=MMITef000010062009


2009年6月12日金曜日

ネット利用者の9割「複数のサイトで同じID・パスワード併用」――野村総研調べ

090611



 有料か無料かにかかわらず会員登録が必要なサイトは多いが、野村総合研究所がネット利用者1000人を対象にした調査で、回答者の9割が「同じID・パスワードを複数のサイトで併用している」との結果が出た。このうち「1つのID・パスワードに統一している」人も25.8%いた。(グラフはプレスリリース掲載データから作成。クリックで拡大します)





 サイト数は平均13.4のサイトでIDを使ってログインしている一方、記憶可能なID・パスワードの数の平均は3.1組。調査は2009年3月、全
国の16~69歳の男女を対象に実施。1000の有効回答を得た。


・プレスリリース原文
http://www.nri.co.jp/news/2009/090611.html


2009年6月10日水曜日

ヤフー、ラボサイトを開設――実験段階の技術・サービスを”展示”

090610
 ヤフーは6月10日、研究開発中の新しい技術やサービスを公開するサイト「Yahoo!ラボ」を開設した。ウェブ検索した言葉がどの都道府県で多く検索
されたかを地図で一覧表示する「サーチのなかみ - 地域別」=画像=など、10日午前の時点で9つの技術・サービスを公開している。



 グーグルの「Google Labs」、NTTグループの「gooラボ」など、他社の同様のサイト(ラボサイト)と比べると、Yahoo!ラボは新技術・サービスを試した人がその場で評価やコメントを投稿できるのが特長。評価は「総合」「おもしろい」「便利」「新しい」「使いやすい」「人に教えたい」の項目別にそれぞれ5段階で投票する仕組み。


■関連サイト
Yahoo!ラボ
http://labs.yahoo.co.jp/


(参考:他のラボサイト)
Google Labs
http://www.googlelabs.com/
gooラボ
http://labs.goo.ne.jp/
@niftyラボ
http://www.nifty.com/labs/
はてラボ
http://hatelabo.jp/
auone ラボ
http://lab.auone.jp/
ベルメゾン・ラボ(千趣会)
http://www.bellemaison.jp/labs/


WSJ、「日本向けサイトも読者への課金モデルで」――世界ICTサミット

090609a
 米国のメディア大手、ダウ・ジョーンズでアジア事業を担当するクリスティーン・ブレンドル氏(コンシューマー・メディアグループ
マネージング・ディレクター)=写真右=は6月9日、「世界ICTサミット」(日本経済新聞社、総務省の共催)のパネルディスカッションに参加し、「年内に開設するウォール・ストリート・
ジャーナル(WSJ)の日本向けサイト(jp.WSJ.com)は、読者から購読料を得て運営する課金モデルになる」ことを明らかにした。



 ダウ・ジョーンズは5月7日、SBIホールディングスと共同出資の新会社を通じ、2009年中にWSJの日本向けサイトを始めると発表している。2002年に開設した中国語版サイトは広告収入で運営する無料サイト(広告モデル)だが、「中国は例外。魅力的なコンテンツを提供して対価を得る課金モデルが当社の基本戦略」(ブレンドル氏)と話した。


090609b
 また、広告について、「有料会員が増えれば、サイトへの広告単価を高めることもできる」(ブレンドル氏)との考えを示した。(2枚目の写真は会場の様子)


■関連リンク
世界ICTサミット
http://www.nikkei.co.jp/summit/2009/
2009年5月7日のプレスリリース(SBIホールディングス)
http://www.sbigroup.co.jp/news/2009/0507_2434.html
米国の金融情報サイト、WSJが躍進しランキング2位に浮上(メディア・パブ)
http://zen.seesaa.net/article/121127819.html



2009年6月4日木曜日

”4大携帯サイト”の利用動向を比較――ネットエイジアが調査


 携帯電話を使ったインターネット視聴率調査会社、ネットエイジア(東京・港)は6月4日、携帯ネット利用者を対象にした”4大携帯サイト
”(Yahoo!モバイル、mixiモバイル、GREE、モバゲータウン)の利用比較調査の結果をまとめた。それによると、調査した1週間(3月29
日~4月4日)の利用時間ではGREEが平均105.1分で最も長く、モバゲータウン(75.2分)、mixiモバイル(71.1分)を大きく引き離した
��Yahoo!モバイルは45.7分)。



 同社のサイトやプレスリリースによると、10~50代の携帯ネット利用者から、計1092の有効回答を得た。2009年1月18日から同様の調査をほぼ毎週実施しており、自社サイトで結果を公表している。


 「各サイトの中でどの機能を利用したか」という設問では、Yahoo!モバイルが「ウェブ検索」(59.8%)、mixiモバイルが「日記」(82.5%)、GREEとモバゲータウンが「ゲーム」(GREE67.1%、モバゲータウン67.1%)がそれぞれ突出。各サイトの「ニュース」機能を見ると、Yahoo!モバイル(45.7%)とモバゲータウン(46.5%)でそれぞれサイトの中で2番目に利用されている。mixiモバイルでも42.2%(4位)となっており、GREE(9.1%)以外では携帯でニュースを読んでいる人も多い結果になっている。


■関連リンク
調査の詳細(ネットエイジアのサイト)
http://www.mobile-marketing.jp/report_list//
プレスリリース原文(日経プレスリリース)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=221910&lindID=1


2009年6月1日月曜日

マスメディアとCGMの間に独自の世界構築・ニフティ「デイリーポータルZ」の動画コンテンツ

Dpz02  ニフティはこのほど、同社のポータルサイト「@nifty」の人気コンテンツ、「デイリーポータルZ」内の映像コーナー「プープーテレビ」をDVD化し、販売を開始した。このコーナーは1分ほどの映像を担当者が交代で制作し、毎日更新するもので、すでに1年以上継続している。DVDの売れ行きも好調で、担当者は予想以上の反響に驚いているという。ネットでの映像コンテンツの可能性、そしてデイリーポータルZの人気の秘密を探った。



             ◇     ◇


「これ、ひどかったですねえ」
「問題になったやつだね」
「何だよ、コレ」


 男性3人が、映像を見ながらのんびりとトークを繰り広げる。5月29日夜、東京・お台場でニフティが運営しているイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」で行われた、プープーテレビのイベントの一こまだ。


 このコーナーでは月に1度、公開した映像をつなぎ合わせ、制作者による解説を副音声として収録し、総集編を配信している。その副音声収録をイベント化した。来場者は会社帰りの人たちがほとんどで、スーツ姿が目立った。これが第一回目の開催だが、今後は毎月開催する予定だという。


 公開収録後には、来場者も参加しプープーテレビに使う映像の撮影なども実施。夜の10時過ぎまで会場は熱気にあふれた。


             ◇     ◇


 「デイリーポータルZ」は2002年スタート。「糸電話で市外通話」「バナナで釘打って日曜大工」「東京で砂金を採る」など、意表を突いたアイデアを実践し、それを写真と文章でリポートしていくコーナーだ。現在、編集部員6人とライター25人が交替で記事を執筆し毎日更新している。月間ユニークユーザーはおよそ80万で、固定ファンも多い。


 編集部の中心的人物は、ニフティ・サービスビジネス事業本部の林雄司氏。個人サイト「webやぎの目」を1996年から運営し、そこから「死ぬかと思った」などヒット書籍も生みだしている、ネット界の有名人だ。ニフティ社員としてかかわっているデイリーポータルZでもその独特のユーモアセンスは如何なく発揮されているが、こちらは複数の執筆者がそれぞれに個性的な内容を展開している。それでいてどの記事もどことなく「デイリーポータルZらしさ」をかもし出しているのは、やはり林氏の影響力が大きい。ライターとして採用されるのは、投稿などでその手腕を評価された人たちだが、新たにメンバーとして加わって半年ほどは、林氏がじっくりと原稿をチェックし、丁寧にアドバイスを行うという。


 読者の中心は30代前半の男性と20代後半の女性。職場で読んでいる人も多いようで昼休みや夕方4時~5時ぐらいの時間帯は特にアクセスが伸びるという。林氏は「会社の昼休みに一人でお弁当を食べている人にも楽しんでもらえるようなサイトでありたい」と話す。


 このサイト単体で大きな広告収入などがあるわけではないが、ニフティとしては「ネットは楽しい」ことを感じてもらうためのサイト、と位置づけている。ファン層を広げていく起点としても重要だ。


              ◇     ◇


Dpz01_2   そうしたデイリーポータルZの中で、2008年の3月にスタートした動画コーナーが「プープーテレビ」である。天狗のお面をかぶった正義のヒーローの日常を描いたり、IT企業の社長インタビューと言いながらオフィスが海岸の岩場だったり、「これまでのあらすじ」をさんざん紹介しながら本編は2秒しかないテレビドラマだったり、と、珍妙だが笑いがこみ上げてくる1分ほどの映像が毎日掲載される。デイリーポータルZのスタッフのうち、10人が交代で制作している。


 林氏(写真右)と、ライターの一人で、プープーテレビのメーン担当者である大北栄人氏(写真左)に話を聞いた。


――なぜ動画コンテンツを導入したのか。


(林)
デイリーポータルZは基本的にノンフィクションの世界だ。自分でネタを考え、実際に行動し、その結果を記事にしている。にもかかわらず、大北君や後輩社員である石川大樹君は創作記事ばかり書いていた。ある日、2人で作った原稿に「田園調布に宝探しに行く」というのがあった。田園調布でたくさん宝を拾って喜んでいたら、実はきつねに化かされていた、というものだ。ひどいなあ、と思ったが、少し面白かった。すべてノンフィクション、という縛りをかけるのは見直してもいいのではないかと感じた。


だが一方で、これまで積み重ねてきた、デイリーポータルZのスタイルというか「形」はすでに出来上がっている。多くの読者もそれを期待しており、裏切ることはできないとも考えた。そこでフィクション全面解禁ではなく、ここに限ってはフィクションOK、ということで動画をレギュラー化することにした。


――動画に取り組んでみた感想は。


(林)
予想以上に面白かった。あっという間に徹夜してしまうほど。


(大北)
当初は映像制作の経験者が誰もいなかった。文章を書く、というのは誰もが経験していることだが、動画の撮影や編集はそうではない。最初は映像の文法が分からず、大いに戸惑った。


機器やソフトの操作も含めノウハウが全くなく、互いに教えあったりした。三脚を使わないと手ぶれがひどいこと、カメラ付属のマイクでは簡単に雑音を拾ってしまうことなど、初歩的な知識も実践しながら身につけていった。そうしていく中で、映像の文法、例えばこういうカメラの動きをすればこういう意味や雰囲気になる、ということも、少しずつ分かるようになった。


――どのように制作を進めているのか。


(大北)
まず2週に一度企画会議を開き、それぞれが「こういうものをやりたい」とアイデアを出す。たいがい「いいですねえ」で終わるのだが。


(林)
なるべく否定的なことは言わないで、広げるような感じで意見を出し合う。それからアイデアを出した本人がホームビデオで撮影を開始する。基本的に1人の作業だが、他のスタッフが出演するなど協力をすることもある。編集も動画編集ソフト「プレミア(アドビシステムズ)」などを使って1人で行う。音楽も入れているが、音源はフリーの音楽素材集だ。使ったことがない曲はもうないほど使い込んでいる。


――開始から1年が経過して、コンテンツの内容は変わってきたか。


(林)
だんだん、オチが複雑になってきている。例えば、何かの力でメガネが飛んでしまう、というだけで終わっていたものが、メガネがそのあとどうなるのか、というところまで描くようになった。


(大北)
昨年の終わりぐらいは、ひねりすぎてわけがわからなくなってしまったものも目立った。最近はややシンプルなオチに戻りつつあると思う。


分かったのは、やはり長いものはだめだ、ということだ。70秒を超えると長く感じる。


(林)
実は、最初はすべてテレビCMと同じ15秒に収めようと考えていた。しかしやってみたら無理だった。でも1分以内がいい。それ以上は集中力が続かないし、映像の下に時間ゲージが表示されたとき、2分以上あると自分で先に進めようとしてしまう。


(大北)
ネットによくあるものはやめよう、という雰囲気はできつつある。キャラクターのパロディーなど。また、何かをけなして笑わせようとはしない。けなすことは決して面白くないからだ。


(林)
どきつい表現も避けるようにしている。イベントでそういう表現が受けることはあっても、そのノリで動画にしてしまうと、あまり面白くない。イベントとメディアとでは、笑いの形が違うのだと思う。


(大北)
ただ、これをしてはいけない、というルールは、テキストの記事に比べると少ないかもしれない。「プープーテレビ」はあくまでフィクションが土台なので、自由度は高い。


――動画を導入したことで、デイリーポータルZ全体にとってどのような影響があったか。


(林)
デイリーポータルZではよくイベントを行い、読者の方々に参加していただいている。以前は、昔からの熱心なファンの方がほとんどだったが、動画が加わって以降「初めてイベントに来ました」という人が増えてきた。動画には、間口を広げるような効果があるのかもしれない。


それをうまく、読者参加型のコンテンツに結び付けられないかと考えている。デイリーポータルZでは読者投稿にも力を入れているが、投稿の数は伸びているものの、まだ大きな人気を集めるまでには至っていない。多くの人は参加したいという意識があっても、表現をしている時間がないからかもしれない。


Dpz04 ――DVD化を考えたのはなぜか。


(大北)
せっかく素材があるのだから、やってみようということになった。


(林)
DVDをプレスする費用はさほど高くないと聞いて、決断した。メニュー画面を作るなど、新たな作業が必要だったが、それも大北君がやってくれた。


(大北)
メニュー画面づくりは初めてだったが、手探りでなんとかできた。本当はコピー防止機能も入れなくてはいけないと思ったが、そこまでは技術的に無理だった。


――反響は。


(林)
当初予定の200セットが完売し、100セットずつ2回追加製作して、すでに400セットが売れた。


(大北)
実際にDVDにしてテレビで見ると、同じ映像なのにネットで見るのとは印象が異なることが分かった。ネットで見るよりも面白く感じた作品もある。


――1パッケージに、同じDVDが2枚入っている。


(林)
価格は1700円にしたが、本当はもっと安くして、値段で笑ってもらおうと考えていた。DVD自体をプレスするコストは低廉化しているものの、パッケージングなどでそれなりのコストがかかってしまい、それはかなわなかった。そこで、もう1枚入れることを考えた。1枚は自分用、もう1枚は友達にでもあげるなどして楽しんでいただきたい。


――今後の「デイリーポータルZ」「プープーテレビ」について構想は。


(林)
一方的に情報を送る、というサイトにはしたくない。そのためには読者投稿がひとつの課題だと考えている。一人ひとりはさほど手間をかけず投稿できるが、それをまとめて見せると面白いコンテンツになるような仕掛けを作りたい。例えば、全国の読者の方々に、「こたつをしまった」タイミングを投稿してもらい、それを地図上にまとめて桜の開花予想につなげるとか、あるいは同じような仕組みで、深夜3時にまだ仕事をしている人がどのぐらいいるかリアルタイムで分かる地図を作るとか。そういうオモチャ的なものを用意してみたい。


動画についても、携帯やデジカメで撮った静止画をメールで送ると、それが映像の中に自動的に組み入れられてひとつの作品になる、というようなことができないか考えている。


(大北)
テレビで放送されているようなものではなく、その映像を誰が作ったのかが見えるようなものであり続けたいと思う。「作家性」というと大仰かもしれないが、その人のパーソナリティーを出すことで、技術に血が通っている感覚を大事にしたい。


テレビ番組のようにメディアが一方的に流すものとも、その逆方向で動画共有サイトのような個人が作ってネットに公開するものとも異なるという感覚がある。その間の何かなのだろうか。独自の動きを、少しずつ出せるのではないかと思う。


――デイリーポータルZではイベントをひんぱんに開催しているが、どのような効果があるのか。


(林)
僕たちにとっては、読んでいる人の顔が見られる、ということが大きいが、読者の方々にとっても、ほかにどんな人が読んでいるのかが見える、「ああ自分と同じような人が読んでいるのだな」と確認できるのは意外に重要ではないかと思う。


              ◇     ◇


 デイリーポータルZは、いわゆるCGM(消費者発信メディア)ではない。一方で、社員やプロのライターのみによって作られる新聞や雑誌、テレビなどの手法とも異なる。大北氏が指摘するように、動画共有サイトやブログ、SNSといったソーシャルメディアと、マスメディアとの間にある存在だ。


 現在、ソーシャルメディアと、旧来のマスメディアは互いの発展と生き残りをかけ、連携を試みる動きが活発だ。しかしその形はまだ明確ではなく、手探りの状態が続いている。デイリーポータルZには、そのひとつの解、少なくとも大きなヒントが隠されているのかもしれない。


■関連リンク


デイリーポータルZ


プープーテレビ


2009年5月28日木曜日

Twitter、日本でも利用者数が増加――ネットレイティングスが分析

090527
 インターネット視聴率調査会社、ネットレイティングス(東京・渋谷)は5月27日、4月の月間インターネット利用動向調査の結果を発表した。4月の目立った動きとして、「Twitter」が日本でも利用者数を伸ばしていることを指摘している。(画像はプレスリリースから抜粋した日・米・英の利用者数の
伸び率の比較。クリックで拡大します)



 ネットレイティングスの鈴木成典シニアアナリストは「米国や英国では著名人によるTwitterを活用した情報発信が盛んになったことで、利用者数を伸ばしてきています。日本においてはまだ認知度が低く、一部のユーザーがその利便性に気づき始めている段階だと推測されます。今後、米英同様に影響力のある著名人がコミュニケーションツールとしてTwitterを選択し情報発信を行えば、利用者数の急増が予想されます。また、Twitterが広く浸透し、多くの利用者を獲得すれば、コミュニケーションツールとして活用を検討する企業も増えてくるでしょう」とコメントしている。


■関連リンク
プレスリリース原文
http://www.netratings.co.jp/New_news/News05272009.htm
Twitterに日本語版、広告事業を展開(2008年4月)
http://nikkeimedialab.jp/blog/2008/04/twitter-6077.html


2009年5月27日水曜日

ヤフーがテレビ向け動画配信――映画予告編など3000本を無料で

090526  ヤフーは5月26日、テレビ向けに動画をネット配信するサービスを始めると発表した。シャープが6月10日に発売するAQUOS(アクオス)の新製品「DS6ライン」で視聴可能。ヤフーがパソコン向けに配信している映画の予告編など約3000本を情報料無料で配信する。(写真は新サービスのデモ風景。クリックで拡大します)



 シャープは以前からテレビでインターネットを利用するための技術「Exシステム」を独自に開発し、アクオスに搭載。ヤフーも2008年5月からアクオス向けのポータルサイトを開設している。「DS6ライン」からExシステムが動画対応になったのにあわせ、ヤフーも動画サービスを始める。


 ヤフーが「オフィシャルチャンネル Powered by Yahoo!動画」というサイト名でパソコン向けに配信している動画(メディアや企業、政党、その他法人が配信するビデオ)約3000本をテレビ向けにも配信する。


 利用者はテレビリモコンを使って、ヤフーの「動画チャンネル」にアクセスして動画を見る。「おすすめ」「ニュース」「スポーツ」「新着」「人気」などの再生リストを選ぶと自動的に連続再生したり、同じ画面に動画と再生リストを一緒に表示したりできる。今後は映画の予告編を再生中に映画館の上映時間を表示させたり、テレビ放送とテレビ向けネット動画を連携させた広告などにも取り組んでいく考え。


■関連リンク
プレスリリース原文
http://pr.yahoo.co.jp/release/2009/0526a.html
「オフィシャルチャンネル Powered by Yahoo!動画」
http://channel.yahoo.co.jp/
ヤフー、テレビ向けポータルサイトを開設
http://nikkeimedialab.jp/blog/2009/04/post-016f.html




2009年5月26日火曜日

買い物時の情報受発信パターン、8つに分類――博報堂などが分析

 博報堂と博報堂DYメディアパートナーズは5月25日、人々が買い物するときの情報受発信パターンを8つに分類する分析結果を公表した。店員や店頭の情報だけで購入する「店だけ」型が最も多い層である一方、ビールやシャンプーなどの商品で購入後にメーカーのウェブサイトなどを通じて活発に受信行動をする「マス・店+事後確認」型の存在を指摘。「購入の手助けのための情報より、購入後の『絆』作りにつながるようなコンテンツを作るほうがこのパターンには有効」(両社のプレスリリース)としている。



 首都圏と阪神圏に住む20~60代の男女を対象にしたネット調査(2008年11月27日~12月1日に実施)の結果をもとに分析した。8分類は以下の通り。


・「店だけ」型(23.1%)
 店員や店頭など、店周りの情報のみで購入する型
・「クチコミ・店」型(10.1%)
 店からの情報に加え、思い立ち前から購入後までリアルクチコミ情報に頼っている型
・「マス・店」型(12.6%)
 思い立ち前から購入後まで、一貫してマスメディアからの情報受信をメインとする型
・「マス・店+事後確認」型(10.2%)
 マスと店を参考にして購入するが、購入後もメーカーWEBに訪問するなどの受信行動が活発な型
・「WEB・店」型(19.7%)
 店頭情報を参考にしながらも、自らメーカーHPやソーシャルメディアなどWEB情報も検索する型
・「マス・店・クチコミ+発信」型(7.2%)
 店に加え、マスメディアとリアルクチコミから特に情報摂取し、自らもリアルクチコミを発信する型
・「全方位受信+発信」型(8.8%)
 WEBを中心としながらも多くのメディアから情報受信し、自らリアルクチコミやWEBクチコミ発信もする型
・「情報未受信」型(8.2%)
 どのメディアからの情報摂取も活発ではない型


■関連リンク
プレスリリース原文(PDF)
http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2009/20090525.pdf
プレスリリースのHTML版(日経プレスリリース)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=220932&lindID=5


2009年5月22日金曜日

NHKの研究所、最新の放送技術を一般公開

090521_1  NHKの研究機関、NHK放送技術研究所(技研、東京・世田谷)が最新の研究成果を展示・一般公開するイベント「技研公開2009」が5月21日始まった。会場は同研究所で会期は24日まで。入場無料。



 初日の会場では、ハイビジョンの16倍の画素数を持つ「スーパーハイビジョン」の技術を使って札幌の街の映像を衛星生中継する展示や、特殊な眼鏡が不要な「インテグラル立体テレビ」などの展示に来場者が行列をつくっていた。



(↓個別の展示内容はこちらをご覧ください)



・利用者のログイン情報、携帯→テレビに自動引き継ぎ



・「現在/近い将来/未来」――3パターンの通信・放送融合



・見るべき番組を推薦してくれるテレビ「CurioView」



・アナログ跡地利用「マルチメディア放送」実現へ技術検討進む



・丸められる超薄型テレビ・フレキシブル有機ELディスプレー



・視線調査、多人数同時で効率的に



・「手ごたえ」デジタルで再現・VR技術応用



・視聴者参加型のCG番組制作――ゲームパッドでキャラクター操作



・テレビのデータ放送、Javaを使って高機能化



 






■関連リンク
技研公開2009(公式サイト)
http://www.nhk.or.jp/strl/open2009/
NHK、スーパーハイビジョンで多チャンネル中継(IT-PLUS)
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=NN001Y819%2013052009


利用者のログイン情報、携帯→テレビに自動引き継ぎ(技研公開2009)

090521_6 有料動画サービスの利用者が携帯電話でログインすると、テレビで有料動画を見るときにも自動的にログイン状態が引き継がれる技術が、「技研公開
2009」で展示された。例えば、利用者が外出中に携帯で見ていた有料動画の続きを帰宅後に自宅の大画面テレビで見る、といった使い方を想定している。(写真は携帯画面を拡大表示した展示の様子)



 デモ展示では「ブルートゥース」規格の無線通信機能を備えた携帯電話機とテレビ受像機を使い、携帯でログインしたときのユーザー認証情報を携帯からテレビに転送した。「ブルートゥースにこだわっているわけではなく、例えば「おサイフケータイ」などに使われている非接触IC技術「フェリカ」を使った連携も可能」(技研)という。


■技研が作成した仕組み図(クリックで拡大します)


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「現在/近い将来/未来」――3パターンの通信・放送融合(技研公開2009)

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 「技研公開2009」では通信と放送を融合した新技術を3種類、紹介している(写真は展示の一部。クリックで拡大します)。すでに2008年12月から始まっている「NHKオンデマンド」をはじめ、「現在(の技術)」「近い将来(の技術)」「将来(の技術)」と時間軸に分けて展示している。





【現在】NHKオンデマンド


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 インターネット回線をつないだテレビやパソコンを使い、過去に放映した番組を見られる有料サービス(写真はパソコン向けの操作画面)。見逃した番組を10日後まで見られる「見逃し番組」サービスと、過去の名作ドラマなどを1タイトルごとに購入して見る「特選ライブラリー」サービスがある。


【近い将来】放送通信連携IPTVサービス


090521_4 テレビのデジタル放送とインターネットを使ったビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを一体化する技術。例えば、視聴者が連続ドラマを見ているときに、リモコンの「d」ボタンを押すと(テレビ画面の右下に「見逃しサービス・データ放送で実施中!」のマークが表示される=写真)VODの番組選択画面に切り替わり、同じドラマの過去の回や関連番組などをネット経由で視聴できる。視聴者が「NHKオンデマンド」よりも簡単な操作で使えるのがメリットという。



【未来】高度衛星ダウンロード放送


090521_5 視聴者が選んだ番組の動画データをインターネットではなく衛星放送の電波を使って配信するサービス(写真は衛星からダウンロード中のテレビ画面と受信装置)。インターネットを使った動画配信サービスと違い、一度に多くの視聴者に動画を配信できる利点がある。


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