2007年3月30日金曜日

「朝、自宅で新聞を読まない」若者、首都圏で多い

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 首都圏で働く若い男性は毎朝、自宅で新聞を読まず、通勤中に携帯サイトを見て情報収集--。20~34歳の若者層を調査対象にしているM1・F1総研(東京・港)の「M1層のエリア別行動パターン比較調査」で、こんな若手ビジネスマンの実態が浮かび上がった。




 調査は首都圏、関西、名古屋に住む20~34歳の働く男性を対象にインターネットを使って実施(学生やフリーター、無職者は調査対象外)。1500の有効回答をもとに、地域別の違いを分析した。


 起床してから家を出るまでに新聞を読む人の割合は、首都圏で23.4%。名古屋(30.6%)と関西(29.6%)に比べ少なさが目立った。反対に、通勤中に新聞を読む人、通勤中に携帯サイトを見る人は首都圏、関西、名古屋の順で多かった。


 通勤中に新聞を読む人と携帯サイトを見る人の割合を比べると、どの地域でも携帯サイトのほうが上回った。


 M1・F1総研では「首都圏では1日12時間以上働く長時間労働者が多く、平均通勤時間も他の地域より長いため、通勤時間を有効活用する傾向が見られる」と分析している。









 M1・F1総研(http://www.m1f1.jp/)は、「R25」「L25」「Hot
Pepper」の広告などを手掛けるメディア・シェイカーズ(東京・港、電通とリクルートの共同出資会社)が2006年11月から運営している調査機関。
テレビ・広告業界で「M1層」と呼ばれる男性20~34歳、「F1層」と呼ばれる女性20~34歳の意識や実態を調べている。




▽関連資料 (M1・F1総研のホームページ)

http://www.m1f1.jp/m1f1/files/release_topic_070329.pdf


http://www.m1f1.jp/m1f1/files/topic_070329.pdf



 


2007年3月23日金曜日

慶大DMCなど、政府のコンテンツ政策担当者と討論

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 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは3月20日、コンテンツ産業に関連した政策を共同研究する「第8回クリエイティブ産業政策フォーラム」を慶大三田キャンパスで開いた。「総括、日本のコンテンツ政策~政策担当者に聞く」をテーマに、総務省、文化庁、経済産業省、内閣官房の担当者を招き、現在のコンテンツ政策について討論した。



 



<パネリストは以下の通り>


  • 小笠原陽一・総務省コンテンツ流通促進室長

  • 川瀬真・文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室長

  • 小糸正樹・経済産業省文化情報関連産業課長

  • 杉田定大・内閣官房知的財産戦略推進事務局参事官

  • 金正勲・慶應義塾大学DMC機構 助教授(コーディネーター)


 まず各省庁のコンテンツ政策についてパネリストが順番に説明した。総務省・小笠原氏は「テレビ番組などをDVDやインターネット配信など向けに再利用するマルチユースについては、テレビ局各社がそれぞれ考えているので、各社の方針に任せる」と、民主導でコンテンツの流通を促進することを説明。文化庁・川瀬氏は「コンテンツの流通を促すには著作権法改正で著作物に対する権利を引き下げるべき、という意見も一部の人々から出ているが、流通はビジネスの話。著作権法ではなく契約で対処する問題だ」と文化庁のスタンスを話した。




 経産省・小糸氏は「コンテンツの市場規模は世界的に拡大しているなか、国内市場は頭打ち。成長のカギは海外進出にある」として、東京国際映画祭を活用した映画の国際取引市場づくりの取り組みなどを紹介した。内閣官房・杉田氏も「関連業界の近代化・合理化を進めたり、世界中の人材やコンテンツが日本に集まるようにして、世界で勝負できるコンテンツづくりを目指す」と語った。




 その後の会場参加者との質疑応答では、「情報通信省」設立構想についての質問に対し、「我々(今回参加した4省庁)は見た目以上に仲良くしている。一緒に働くのは問題ない」(経産省・小糸氏)との声がある一方で、「産業政策をやる組織が著作権をいじるといびつな制度になる危険がある。著作権関連は統合すべきではない」(文化庁・川瀬氏)といった温度差を感じさせる場面もあった。



2007年3月21日水曜日

慶大DMCなど、「情報産業省」構想の是非を議論

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 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは3月19日、コンテンツ産業に関連した政策を共同研究する「クリエイティブ産業政策フォーラム」を慶大三田キャンパスで開いた。今回は7回目。「情報通信省構想、その是非を巡って~メディア融合時代の規制機関の制度設計」と題し、省庁再々編の論議のなかで浮上している経済産業省や総務省などの情報通信部局の統合構想について議論を交わした。






  <パネリスト>


  • 岸博幸・慶應義塾大学DMC機構 助教授

  • 楠正憲・マイクロソフト最高技術責任者補佐

  • 境真良・早稲田大学国際情報通信研究科客員助教授

  • 宿南達志郎・慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授

  • 田川義博・マルチメディア振興センター専務理事

  • 坪田知己・日経メディアラボ所長

  • 中村伊知哉・慶應義塾大学DMC機構 教授

  • 藤元健太郎・ディー・フォー・ディー・アール社長

  • 金正勲・慶應義塾大学DMC機構 助教授 (コーディネーター)




 冒頭、岸氏が「現在、IT政策やコンテンツ政策は総務省、経済産業省、文化庁、内閣府など様々な省庁がかかわっている。例えば、音楽業界は規制について相談したいときに、どこの省庁に行けばいいか分からず困っている」と現在の組織の問題点を指摘。もし「情報通信省」に関連部局を統合するなら、「産業振興と規制という異なる業務を一つの役所にまとめてしまっていいのか、分けるべきなのか」と問題提起した。






 関係部署を統合することに対しては、肯定派からは「知識や情報が産業になる時代に重要なのは流通。インフラを考える情報通信省ではなく、情報流通産業省だ」(藤元氏)、「情報通信分野について、日本独自の世界戦略を考えるためには、情報通信省が必要」(坪田氏)との意見が出された。






 一方、慎重派からは「情報通信の用途や利用者は広くなっている。一元化は必要なのか」(田川氏)と統合自体に疑問を投げ掛ける意見に加え、「様々な省庁や民間などで業務を経験した柔軟な人材を育てる仕組みがないと、省庁の看板をかけかえただけでは意味がない」(楠氏)、「現在の役所では、専門的な知見のない人が専門的な問題に取り組んでいる。公務員の人事制度を開放的にする議論が必要」(境氏)と、組織の”箱”よりも人事制度の改善が優先課題だとする意見が出た。






 中村氏は「5年、10年と期間を区切って設置するなら、情報通信省があってもいい。通信と放送の融合やNTTの完全民営化、デジタル時代の著作権など、枠組みをつくらなければならないことがたくさんあり、期間を区切って取り組むのはどうか」と提案。宿南氏は、公正取引委員会や人事院のように独立性を持った組織形態である「独立行政委員会」で設立する方式を支持した。






 産業振興と規制の業務を別々の省庁に分けるべきかについては、「業務の線引きが難しい」(中村氏)、「規制の業務は一元化すべきだが、産業振興は複数の省庁が競争してもいい」(岸氏)といった意見が出た。






 独立行政委員会にする案については、中村氏と境氏が否定的な見解を示した。一方、「専門家など外部の人材を活用しやすい面がある」(岸氏)、「業界とのしがらみが切れる」(宿南氏)といった利点を指摘する声があった。





2007年3月20日火曜日

著作権保護期間の延長、賛否両派が議論


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 「著作者の死後50年まで」とする現在の著作権に対し、日米の権利者団体17団体が20年の延長を求めている。この問題を考える有識者らでつくる「著作
権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」が3月12日、慶應義塾大学三田キャンパスで公開トークイベントを開いた(慶大DMC機構、コンテンツ政策研究
会が共催)。



 


 



 賛成派・慎重派の双方の立場から4人のパネリストを招き、「なぜ今、著作権の延長が問題になっているのか」「著作権延長はクリエイターのインセンティブになりうるのか」「現代のクリエイターを守るにはどのような制度が必要か」などについて、討論した。




<パネリスト>


  • 佐野眞一氏(ノンフィクション作家)

  • 瀬尾太一氏(写真家、有限責任中間法人日本写真著作権協会常務理事)

  • 林紘一郎氏(情報セキュリティ大学院大学副学長・教授)

  • 三田誠広氏(作家、社団法人日本文藝家協会副理事長)

 <コーディネーター>


  • 津田大介氏(IT・音楽ジャーナリスト)

 延長賛成派の瀬尾氏は「欧米諸国は『死後70年』に延長済み。日本発のコンテンツの海外展開を考えると、日本の著作権も国際ルールに統一すべき」、同じく賛成派の三田氏は「著作権が切れて自由に著作物を利用できるようになると、文学作品を勝手に書き換えた作品が出回るかもしれない。著作物の”人格権”を守るために、できるだけ長いほうがいい」と訴えた。




 一方、慎重派の佐野氏は「著作権を延長する理由として、クリエイターの創作意欲が増すと言われているが、物書きの立場からすると、本当にそんなことがあるのかと思う」と延長を求める声に疑問を呈した。林氏は「一律に著作権を延長するのではなく、自分の作品の延長を望む人がお金を払って定期的に更新する仕組みがよいのではないか」と説明した。




 フォーラムでは今回のトークイベントの模様を動画配信している(http://thinkcopyright.org/resume_talk01.html)ほか、今後も開催していく計画。次回は4月12日。





「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」ホームページ
http://thinkcopyright.org/


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