2009年2月13日金曜日

ロイター、asahi.comなどがネット広告で提携――ビジネス情報サイト束ねて共同受注

都内で会見した新アドネットワークの関係者ら
 米トムソン・ロイターの日本法人、トムソン・ロイター・ジャパン(東京・港)と朝日新聞社、ソネットエンタテインメントのネット広告子会社のソネット・メディア・ネットワークス(東京・渋谷)は2月12日、共同でネット広告を受注する業務提携を発表した。

3社が中心となり、ビジネス情報サイトの広告共同受注ネットワーク(アドネットワーク)を運営する。提携により、初年度3億円の売り上げを見込む。



 アドネットワークには「ロイター.co.jp」「asahi.com」をはじめ、「AFPBB News」(クリエイティヴ・リンク)、「時事ドットコム」(時事通信社)、「ダイヤモンドオンライン」(ダイヤモンド社)、「東洋経済オンライン」(東京経済新報社)、「プレジデントロイター」(トムソン・ロイター・ジャパンとプレジデント社)、「CNN.co.jp」(CNN)の計7サイトが参加する。


 ソネット・メディア・ネットワークスが窓口になって広告を共同受注する。ソネット・メディア・ネットワークスは「バリュークリック」のサービス名で1998年から事業を展開してきたネット広告会社で、2008年7月にソネットエンタテインメントの100%子会社になった。


 7サイトの利用者は、40歳以上が全体の7割、年収1000万円以上が全体の2割を占めるという。年齢や役職、収入が高いビジネスパーソンに広告を見せたい企業の需要を掘り起こす。


 12日の会見に出席した朝日新聞社の大西弘美デジタルメディア本部長は「(朝日、読売、日経の新聞3社で共同サイトを運営している)「あらたにす」の取り組みと今回の提携はバッティングしない」とコメントした。


2009年2月5日木曜日

ネット配信の権利処理、慎重に――コンテンツ学会がNHK担当者からヒアリング

Contents0203  テレビ番組のネット活用を推進する制度を議論しているコンテンツ学会ネット利用調整制度プロジェクトチームは3日、2回目の民間審議会を東京の早稲田大学で開催した。前回の会合で提案した調整制度の修正案を検討したほか、NHKの有料番組配信サービス「NHKオンデマンド」の担当者を招き、実際にテレビ局がネット上のコンテンツ流通にどう取り組んでいるかをヒアリングした。



 この会合の世話役を務める早稲田大学大学院の境真良客員准教授は、前回提出した調整制度の修正案として、テレビ番組ごとにその権利を誰が管理しているか登録するデータベースの設置を提案した。テレビ局が新たな番組を放送する際にこのデータベースに登録することになるが、それを義務とするか、努力規定とするかは検討の余地があるとした。また、すでに放送した番組で、権利の管理者が特定されていないものについては、それをテレビ局が登録することを自動的に認める方法と、一定のルールに基づいた供託などを要請する方法とがある、と説明した。


 ゲストとして参加した、NHK編成局デジタルサービス部の辻俊一副部長と石倉清史副部長は、昨年12月1日にスタートしたNHKオンデマンドについて、委員からの質問に答える形で解説した。


 今年1月8日の会見で、NHKの福地茂雄会長はNHKオンデマンドについて触れ、パソコンで直接契約した人の数は16000人、ケーブルテレビやテレビ向けインターネットサービス「アクトビラ」などを経由しての利用者数は把握できていない、と話している。まだ当初の目標には及んでおらず、辻氏は「オンデマンド事業は非常に難しい」との感触を明らかにした。ただ今後、民法各社の積極展開などによる市場の広がりが、NHKオンデマンドにもプラスに働くことは期待しているという。


 昨年4月に改正放送法が施行され、ネット配信事業が認められるようになってからは、番組づくりの現場でも出演交渉や製作依頼をする際はネット配信に関する許諾を取るようになっているが、まだ抵抗感を示す出演者、スタッフがいるのも事実という。その理由について辻氏は、「やはりネットに流れると自分でコントロールができない部分が大きくなり、不正な利用が広がることを懸念しているのではないか」と分析する。その上で「実演家や作家、あるいはそうした人たちをマネジメントする企業などの立場も尊重していかなくてはならない」と述べ、権利処理の問題については慎重に進めていく姿勢を示した。


 また、過去に放送した番組の多くをネット配信できないのは、権利関係が不明なことが第一の原因であるとした。それを明らかにするためには相当なコストがかかり、ネット配信のためだけに行うわけにはいかないのが実情だ、と述べた。


 現在、NHKオンデマンドはパソコンなどで直接契約する以外に、ケーブルテレビ局やアクトビラを経由して視聴することもできる。そうしたB2B型サービスも拡大しているとの報告があり、委員からは「それならばNHKはあくまでコンテンツホルダーとしての立場を貫き、配信はネットサービス事業者に任せたほうがいいのではないか」という声も上がった。これに対し石倉氏は「どのような人々がどのように視聴しているのか、というところが我々から直接見えなくなり、配信側からの指示だけで番組を作るような立場になってしまうのでは、という恐れがある」と答えた。辻氏は「一般論としては、ネットビジネスではユーザーにコンテンツを届ける下流部分を押さえたほうが収益構造を作りやすいと思う。だからそこを持ちたいという気持ちもあるが、一方でコンテンツを相対(あいたい)で提供していくことに限界があることも承知している」と述べ、テレビ局にとっては悩ましい問題であることを感じさせた。


 コンテンツ学会ネット利用調整制度プロジェクトチームは、政策提言に向け今後も民間審議会を継続して開く予定。


■関連リンク


「ネット利用調整制度に関する民間審議会」のWEBサイトhttp://www.sakaimasayoshi.com/net_rule/index.html 


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