2005年12月16日金曜日

「来年はコックピット型の個人サイトが登場」

Medialab 日本経済新聞社の研究機関、日経メディアラボは15日、来年のメディアに関する展望をまとめた「メディア予測2006」を発表した。ブログ(日記風の簡易型サイト)などの更新情報を配信する規格「RSS」が普及し、インターネットから必要な最新情報を選別して個人のサイトに表示する「コックピット(操縦席)型」=イメージ写真=情報収集が一般化すると予測する。 









ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)はブログだけでなく、ニュースサイトなどからもRSS配信の仕組みを使って幅広くコンテンツ(情報の内容)を集められるようになると見ている。SNSの利用者が持つ個人サイトは気圧や飛行高度などが計器板に表示される飛行機の操縦席のように情報が集まるため、利用者は仕事や生活に必要な情報をチェックしながら、日程管理や行動の意思決定が可能になる。





操縦席型の個人メディアが普及する影響については、ポータル(玄関)サイトから情報を検索するネット利用者が減少し、検索エンジンの影響力が減少する可能性があると分析。個人サイトが発信した情報が別の個人サイトに伝わる口コミを活用したマーケティングも活発になると見ている。操縦席型の個人サイトを外出先で閲覧する需要が増えることから高速通信機能を備えた携帯情報端末(PDA)もヒット商品になると予測している。


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2005年12月15日木曜日

楽天、10代の若者向け販促サイト

Girls 楽天は10代の若者向け販促サイトを相次いで開設する。14日に15-19歳の女性を対象にインターネットで衣類や装飾品を販売する「楽天市場girls」をオープン。来春にも男性向けサイトを立ち上げる。雑誌と連携して、顧客を販売サイトに誘導するなどネットと他媒体を組み合わせた販促活動も展開する。テレビとの連携については「TBSに限らず、可能なところがあればぜひ、やりたい」(三木谷浩史社長)としている。










「楽天市場girls」は300-1万円の低価格商品を1万5000品目そろえた。これまで同社の顧客は30代が中心だったが、若者のネット利用が携帯電話を中心に増えているため、新たな顧客層として開拓できると見ている。10代の顧客層への販売額は現在、月間5億-6億円程度。新しい販促サイトの展開により、30億円以上にしたい考えだ。



新サイトでは10代の女性モデルを起用し、衣類やカバンの組み合わせを提案するコーナーも用意した。三木谷社長は同日の記者会見=写真=で「コンテンツ(情報の内容)とショッピングを絡め合わせる手法は特定のターゲットを絞るならば向いている」と述べた。






2005年12月8日木曜日

慶大DMCなどがクリエイティブ産業政策フォーラム開催

Ko 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは6日、コンテンツ(情報の内容)産業に関連した政策を共同研究する「クリエイティブ産業政策フォーラム」を開催した。初会合ではコロムビアミュージックエンタテインメントの廣瀬禎彦社長=写真=が「メディア融合と音楽業界」をテーマに講演。金正勲慶大DMC助教授、コンテンツ政策研究会幹事の中村伊知哉スタンフォード日本センター研究所長らがコンテンツ政策のあり方をめぐって議論した。























コロムビアの廣瀬社長は「メディアの枠組みがコンテンツを決める」と強調。インターネットがメディアの変化をもたらし、ネット配信が普及したことに関連して「P2P(ピア・ツー・ピア)がコンテンツ流通にとっては進んだ方法になる」と指摘した。慶大の金助教授は「クリエイティブ産業政策フォーラムを通じて、コンテンツ政策を議論するための理論的なフレームワーク(枠組み)を提供する」と表明。中村氏は米国、韓国など各国のコンテンツ政策を比較し、日本が政策的な基本スタンスを明確にする必要があると主張した。





日経メディアラボの坪田所長はコンテンツ流通を活発にさせて、コンテンツの創造活動を循環させる社会モデルを提言した。フォーラムの初会合には産学官の関係者50人が参加した。













2005年12月6日火曜日

韓国サイワールド、日本上陸 初年度売上高は4億円

Yu_1  ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の韓国最大手「サイワールド」が5日、日本でのサービスを開始した。SNSを運営するSKコミュニケーションズ(ソウル)の日本法人は2006年12月末までに200万人の会員を獲得する計画。収益の柱はユーザーのミニホームページを装飾する壁紙やBGM(バック・グラウンド・ミュージック)の販売収入で、初年度に4億円の売上高を見込んでいる。バナー広告は掲載しない方針。広告収入が中心の日本企業とは異なる戦略で、「ミクシィ」など国内の先行SNSを追撃する。



















SKコミュニケーションズの兪賢午(ユ・ヒョンオ)社長=写真=は5日、東京都内で記者会見し「最終的には米ヤフーや米グーグルを乗り越えて世界のトップレベルを目指したい。この夢に向かって進むときに日本市場は重要だ」と述べた。同社は韓国のほか、6月には中国でもサービスを開始しており、11月末時点で100万人の会員を獲得している。来年は米国、台湾でもサービスを開始するほか、香港、東南アジア、欧州でもサービスの準備に入る方針だ。





日本ではSKコミュニケーションズの日本法人、日本サイワールド(東京・渋谷)が今夏にベータ版(試作版)のサービスを始めていた。同社の李東炯(イ・ドンヒョン)代表は「実生活をそのままネットに移したゲーム感覚があり、人間の感情に訴えるサービスが既存のSNSとは一線を画する」と強調。見せたい人にだけコンテンツ(情報の内容)を閲覧可能にする「フォルダ別公開管理機能」、スキンと呼ばれる壁紙やBGMを好みに合わせてミニホームページに装備できる機能などが日本の先行SNSに対する優位性だとしている。





SKコミュニケーションズは韓国の携帯電話最大手、SKテレコムのグループ会社。サイワールドは1600万人の会員を獲得しており、韓国では国民の3人に1人が使っているといわれるほど浸透している。自分の「個人メディア」であるミニホームページを演出するために、電子マネーを使って仮想ギフトショップで買い物をする感覚は電子商取引になれた日本のユーザーには理解しやすい面もあり、日本のSNSに影響を与える可能性もある。日本サイワールドはバナー広告の掲載はしないものの、ミニホームページを企業のプロモーション手段として提供するとしており、企業の販促ツールとして活用される場合もありそうだ。













2005年12月1日木曜日

TBS、楽天を寄り切る

Picture_2 TBSと楽天は30日、両社の経営統合提案をめぐる問題で和解し、資本・業務提携の協議を開始することで合意した。両社トップが別々に記者会見=写真=して発表した。楽天は経営統合の提案を取り下げた。100ページ以上の提案書を用意して臨んだ業務提携についても、オンライン放送、電子商取引、ポータル(玄関)サイト、その他事業の4項目について協議するという内容に集約された。ライブドアに続いて楽天が仕掛けた「メディア攻防戦」の第2幕はTBSが楽天を寄り切る格好になった。













「来年、インターネットと放送の融合が100%進むわけではない。まずはゆっくり話し合いたい」。スピード経営を標榜する楽天の三木谷浩史社長は同日の記者会見で、普段の三木谷氏らしくない発言に終始した。「誠意として10%分の株を(楽天がみずほ信託銀行に)信託するが、本当は全部、(楽天が保有する)株は手放して欲しい」などと本音を織り交ぜる余裕を見せるTBSの井上浩社長とは対照的だった。





20%近いTBS株を取得して主導権を握る格好で臨んだ経営統合の交渉だったが、楽天は具体的な話し合いに入ることもできず、ひとまず経営統合の提案を撤回することになった。近く両社は「業務提携委員会」を発足させて、提携を模索するが、楽天のTBSに対する出資比率の駆け引きが続くため、事業提携が具体化するかは不透明だ。ライブドアとフジテレビが和解の条件として設置した「業務提携推進委員会」は大きな成果もなく、今月ひっそりと解散した。





三木谷社長は両社で提携協議が始まることを「前進」と強調しているが、業務提携の検討は2月にTBSの井上社長と会談してから着手しており、50日間の攻防を経て振り出しに戻った感もある。業務提携委員会では楽天側のチーフ役を三木谷社長自らが務めるなど、TBSとの協業には意欲的だが、複数企業との提携を進める方針のTBSに対して、楽天が提携交渉で主導権を握れる可能性は低いと見られる。





「融合といいたいところだが……」。三木谷、井上両社長が調印した覚書はまず「放送とインターネットの連携を実現するために真摯に協議・検討を開始する」と書いてある。ネットと放送の「融合」という三木谷社長の持論は封印されていた。メディアの将来像をめぐる見解すら一致せず、出資比率問題を抱えたままでは両社が現実的な戦略を打ち出せる可能性は高まらない。「世界に通用するメディアグループ」を提案した楽天が、その目標を実現するためにはTBSだけに固執してはいられないはずだ。




























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