2005年6月14日火曜日

ブログでコミュニティー形成 ニュースに深みを神奈川新聞社 松澤デジタルメディア局長







kanagawa 神奈川新聞社がインターネットのニュースサイトにブログ(日記風の簡易型ホームページ)機能を導入し、読者らが参加するコミュニティーづくりを進めている。2月にサイトを全面更新して「カナロコ」が誕生して4カ月が過ぎ、会員は4千人を超えた。カナロコを仕掛けた松澤雄一デジタルメディア局長にブログを活用した電子メディア戦略を聞いた。











――サイトの全面更新を決断した背景は。





「紙媒体の将来が見えてきているという認識があった。地方紙、特に首都圏の地方紙は先行きが厳しい。ウェブ事業も従来のサイトは1カ月に450万ページビューがあったが、行き詰まってきた。地方紙という性格上、主力のコンテンツ(情報の内容)であるニュースの扱う範囲が狭い。地方紙はローカル情報に強いはずだが、そこに深みもないと感じていた」





――ブログを導入する構想は当初からあったのか。





「例えば、隣の家の猫が子供を産んだというようなローカル情報まで扱うには、その地域に住んでいる人、働いている人から情報を集めるしかない。コミュニティーを作れば、情報が集まり、情報交換ができると考えた。昨年8月に局員からブログの話がでてきて、局員が個人のブログを立ち上げたほか、社内でも閉じた環境のブログを会議室の代わりに使ってみた。9月には局としてはブログを導入しようということになった」





――ブログ導入について社内に抵抗感はなかったのか。





「当時の役員会では『ブログって何だ』という段階の議論だった。ブログにコメントを書き込まれる問題よりも、むしろ役員会から指摘されたのは、しっかりとしたビジネスモデルを描けるのかということだった。バナー広告の収入で1年後には運用経費ぐらいは出せるだろう。まず、やってみて、ビジネスモデルは3年後に構築していくと社内を説得した」





――会員制にした狙いは。





「神奈川新聞社は顧客情報を持っていない。会員制で顧客情報を取り込む仕組みも作ろうと考えた。会員制はユーザーのコミュニティーを形成するということであり、一方ではユーザーを囲い込むという狙いもあった」





――会員4千人のうち神奈川新聞の購読者はどれくらいいるのか。





「会員登録のときに新聞購読についてユーザーに聞くが、自由回答にしてあるため、わからない。ただ、神奈川新聞の紙面を見ながらブログにコメントしている人もいる。現在はカナロコの会員データベースというだけで顧客データベースにはなっていないが、やがて顧客データベースができれば、初めてビジネスに結びつくだろう」





――コミュニティーを形成させるという面での成果は。





「横浜ベイスターズを応援する『ベイスターズフィーバー』のファンブログはコミュニティーが形成された典型例だ。(運営は)社外の人に任せて、好きにやってくださいといっている。ブログには試合終了後、40以上のコメントがつく。あの場面では、こう采配したほうがいいなどと意見を出し合いながら自然にコミュニティーができた。(実際に会って交流する)オフ会も2回やっているようだ」





――コメントを開放すると、誹謗(ひぼう)中傷の書き込みで機能不全に陥るというケースも想定する必要があるが。





「当初、コメントやトラックバックはニュースについては開放を控えていた。ニュース以外のブログについての反応を見ていたが、カナロコのユーザーはいい人が多かった。コミュニティーを勝手に作ってくれた。それで4月15日にはニュースについてもコメント、トラックバックを開放した。当初は徹夜で局員が誹謗中傷などの書き込みを監視していた。幸い大きなトラブルはない」





――ニュースにもコメントを開放して、ユーザーの反応は。





「今は一部のニュースしか開放していないのだが、こちらがコメントがつくだろうと想定するニュースにはほとんどコメントがない。むしろ、生活に密着したゴミ問題、鉄道の話題、神奈川県のゲームソフト規制問題、そして今なら(直立する)レッサーパンダの話題にコメントがつく。県知事の発言を記事にしたニュースには、なかなかコメントもトラックバックもつかない。一般の人が発言したいのは生活密着型の話題のようだ」





――ニュースにコメントしてもらうための工夫は。





「ローカルニュースはストレートにはユーザー側がからみにくい面がある。どこかで何がありましたというだけでは、どう発言していいのかわかりにくい。背景説明や論評がないとだめだ。これとは別に、ニュースを串刺しにして集める方法もある。今はニュースをローカル、スポーツなどに分類してみせているが、ゴミ問題なら小田原市のゴミ問題、横浜市のゴミ問題というように、同じ問題を一括して見せれば、コメントをつけやすくなる。XML(拡張可能なマーク付き言語)形式でメタ情報を使ってニュースを括りだす手法を検討している」





――みなとみらい(MM)線沿線にある街の情報を書き込むエリアライター「ホロホロさん」の仕組みは、ネット新聞に記事を投稿する「市民記者」に近い発想なのか。





「市民記者と比べられることは多いが、ホロホロさんが市民記者という意識はない。市民として情報を発信している。10年ほど前に、紙面で主婦レポーターをやったことがあるが、間もなく行き詰まった。裏づけをとる作業が大変だったからだ。ホロホロさんには全員面接をしており、誹謗中傷やウソはだめと徹底している。ニュース部分は神奈川新聞社が発信するが、MMブログやベイスターズフィーバーは自己責任でご利用くださいということだ」





――参加するユーザーの自己責任という形態に不安はないか。





「ライターのなかにデパートの広報担当の人がいて、自分のデパートのことを書いた。これに対して『新聞社のホームページはこうあるべきだ』と決めつけている人から、ホロホロさんが自分の会社のPRをしているとの批判が出た。しかし、カナロコは新聞社だけでなく、皆で作っていくものだと理解を求めた。神奈川新聞社はコミュニティーを提供します、いや、皆さんで作ってくださいと言っている」





「コミュニティーの雰囲気づくりは難しいと感じるかも知れないが、それを心配するのは読者を信じていないことになる。新聞社をとりまく顧客は悪い人ではない。誹謗中傷を書き込む人に対してはコミュニティーの雰囲気を害して欲しくないということで対応する。具体的には書き込みの削除や議論の場所を変えてもらうことになる」





――カナロコを神奈川新聞の紙面づくりにも活用できるのか。





「カナロコは社外から評価してもらっている半面、社内ではほとんど注目されていないのが実情だ。ブログで市民の意見、情報が集まっているのだから、紙面にフィードバックして紙面に厚みを持たせるという考えもあるが、編集局の反応は鈍い。カナロコを始めるとき、古いジャーナリズムからは離れようと考えた。カナロコの編集担当者は(ニュースの扱いや紙面の見出しを決める)整理部の経験があるが、新聞の伝統的なニュースの軽重の決め方は捨てようと言っている」





――カナロコを事業として軌道に乗せる戦略は。





「ブログを導入したPR効果は大きいが、今は運用コストすらまかなえていない。今後はコメントやトラックバックをする人がより使いやすくなるサイトにしていきたい。ヘビーユーザーへのサービスを強化する一方で、裾野を広げて多くの人をユーザーとして取り込む仕掛けも必要だ。ユーザーごとに権利を定めるピラミッド構造のサービス体系を整えて、薄く広くユーザーに課金できるようにしたい。ただ、課金については読者への嫌味にならないように理解を求めながら進めたい」





松澤 雄一氏(まつざわ・ゆういち)=中大卒、71年神奈川新聞社入社。社会部、報道部などを経て97年編集局次長兼整理部長。01年からメディア局長(現デジタルメディア局長)。神奈川県出身。


















































































































2005年6月8日水曜日

韓国OhmyNews携帯電話向けデジタル放送でニュース番組



携帯電話など移動体通信機器向けのデジタル放送をめぐる動きが韓国で活発になっている。インターネット新聞のオーマイニュースは今年から韓国で普及が始まると見られるDMB(デジタルマルチメディア放送)にニュース番組を提供する。年内にオーマイニュースの市民記者らが登場する映像ニュースなどの放映を始める考えだ。ネット新聞がDMBをニュース発信の手段として使い始めることで、携帯電話を舞台した放送と通信の融合が加速する可能性もある。





DMBは携帯電話などの移動体向けデジタル放送。衛星DMBに加え、地上波DMBも6社の事業者が決まり、各社は順次、試験放送や本放送を始める予定だ。韓国電子通信研究院(ETRI)などの調査によると、衛星と地上波を合わせた韓国のDMB市場は4年後の2009年には5倍の7000億ウォン(約770億円)規模に成長するという。日本でも衛星DMBは2004年10月に移動体向け衛星デジタル放送サービス(略称モバHO!が始まっている。



オーマイニュースは2000年創刊。ネット新聞の記事を再編集した紙媒体のニュース週刊誌、ネットに動画のニュースを配信する「オーマイTV」などに事業を拡大している。呉連鎬社長は「今後、(DMBなど)いろいろなプラットフォームを使いニュースを発信することになる。(他社が運営する)ポータル(玄関)サイトも活用したほうがメリットは大きい」としており、ニュース発信の形態を多角化する考えだ。









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