2006年12月16日土曜日

「来年は分身を使いコミュニケーション」

Media_1 日本経済新聞社の研究機関、日経メディアラボは15日、2007年のメディアについての展望をまとめた。ブログ(日記風の簡易型ホームページ)やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の日記を通じて、自分の体験や考え方を表現する経験を繰り返す消費者がブログなどの個人メディアを自分の「分身」=イメージ写真=として意識するようになると予測している。




















「メディア予測2007」はインターネットの利用者がブログやSNSの日記を頻繁に使い込んでいるうちに、利用者自身の価値観や性格などのパーソナリティーがブログなどに反映されて「分身」のように機能すると指摘する。





日記などに寄せられたコメントに受け答えをするといった「分身」同士のコミュニケーションは企業が開発した新製品の評判、政府や自治体の政策への評価など幅広いテーマを含むと分析。「分身メディア」が発信する個々のコンテンツ(情報の内容)が持つ価値は小さいものの、大量のコンテンツが織り成す「コンテキスト」がブログ解析ソフトなどで把握できるようになり、社会的に大きな影響力を持つようになるとみる。





企業のマーケティング担当者が生活者の消費トレンドを探るために、分身同士のコミュニケーションを分析するほか、マスメディアもネットで本音を漏らす人たちによる「世論」を探る手立てとして、分身によるコンテンツが織り成す「コンテキスト」に着目すると予想。分身が過去にどんな情報を発信していたのかの記録、分身同士の結びつきなどのデータを参考にして、コンテンツの脈絡を読み取り、必要なコンテンツを選び出す「イイトコどり」エンジンの開発も進むと見ている。


 


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2006年12月2日土曜日

東大・九電が福岡で大規模センサーネット実験

東京大学と九州電力は2007年春をめどに、人体に装着したセンサーなどを使った情報網から脈拍や体脂肪率などの健康に関連したデータを収集し、医師らが健康増進を支援するサービスの実証実験を始める。九州大学病院など福岡市内の病院も実験に参加し、糖尿病患者らの健康管理を後押しする。実験が成功すれば、世界最大規模の実用的なセンサーネットワークの構築事例になる。



























東大の須藤修教授らの研究チームによる「健康管理センサーネット福岡実証実験」(仮称)には、九電や九大のほか、沖電気工業や福岡県も加わる予定。九州電力は情報処理子会社のキューデンインフォコム(福岡市)がデータセンターを提供。福岡県は高速通信網の「ふくおかギガビットハイウェイ」を通信インフラとして開放する。





実験は文部科学省の「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」事業の一環。爆発的に増え続ける情報をセンサーネットの技術などで処理し、健康増進や予防医学の分野で役立てるようにする。九電側は糖尿病患者向け健康管理サービスの実用化を視野に実験に参加。「08年をめどに事業化する」(キューデンインフォコム)との目標を掲げる。





須藤教授は1日、情報処理学会や人工知能学会などによる「情報社会のデザイン」シンポジウムで講演し、現在、固まっている実験の概要を明らかにした。センサーを使ったコンピューターの情報網で健康データを管理し、病院の主治医やフィットネスクラブのインストラクターから助言を受けられる環境を整える。同様の実験は首都圏で展開する可能性もあり、KDDIと連携し、センサーチップを搭載した携帯電話を使って日々の健康データを集める構想もある。個人情報の保護や地域ぐるみで健康データを活用する場合のルール作りなども研究課題だ。





センサーを使って、健康データを収集する試みは、米スポーツ用品最大手のナイキと米アップルコンピュータが共同開発した「Nike+iPod スポーツキット」の例がある。センサーを内蔵した運動靴とメモリーを搭載した携帯音楽プレーヤーからランニングの履歴を収集・蓄積し、走行距離や消費カロリーなどのデータを管理して健康増進に役立てるウェブサービスを提供している。





東大などの実験プロジェクトは体温や脈拍、体脂肪など各種の健康データをセンサーで計測し、センサーネットで管理する本格的な健康増進システムになる予定。「アップルとナイキはグローバルにデータを集め始めており、先を越されたが、福岡での実験は地域に密着して取り組む」(須藤教授)としており、糖尿病発症の地域格差なども調べられるという。



























2006年11月21日火曜日

フジテレビ、2011年度に連結経常利益700億円

フジテレビジョンは20日、2011年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。07年秋に新スタジオを稼動させ、番組制作力を強化。12年3月期の連結売上高を05年3月期と比べ18%増の7000億円にする。制作費の管理を徹底し、経常利益は同39%増の700億円を確保する。M&A(企業の合併・買収)や大型投資を積極化し、放送事業に次ぐ柱となる新規事業も開発する。































新スタジオの稼動により、都内に分散していた制作拠点を本社周辺に集約し、コンテンツ(情報の内容)制作の業務を効率化する。自社保有スタジオの面積は倍増し、1万122平方メートルになる。ワンセグ放送は、通常の地上デジタル放送と同一の内容を同一時間に流すことを義務付けた「サイマル規制」解除をにらみ、独自の番組制作を検討する。





放送事業以外では自社映画の動画配信を開始するほか、インターネットと携帯電話を連動させる新規サイトの開設、通販子会社によるネット通販強化などネット関連事業も育成する。中期の経営戦略は昨秋、05-10年度の計画をまとめていたが、11年度に予定されるデジタル放送の完全移行を視野に入れて、06-11年度の計画を練り直した。





 ■キャッチフレーズは「7への階段」





ステアウェイ・トゥ・セブン――。フジテレビジョンの村上光一社長は7000億円(売上高)、700億円(経常利益)という「7」が並ぶ連結ベースの経営目標を盛り込んだ計画について、こんなキャッチフレーズを掲げる。ステアウェイ・トゥ・ヘブン(天国への階段)に引っ掛けた覚えやすい駄洒落で、「7への階段」を一気に駆け上がろうとの意気込みを見せる。





2011年度までの成長戦略は主力である放送事業の売上高を05年度の4100億円から4600億円に拡大することが柱。放送事業を支える広告収入については「テレビ広告の媒体価値・訴求効果への評価は変わらない」ということを前提としており、「7への階段」計画には、テレビ業界で深刻になっているスポット広告の減少問題が長期化する可能性は織り込んでいない。





スポット広告が減少している背景には、広告主の企業が従来型のマスマーケティングの手法を見直していることがあるとの見方もあるが、村上社長は「(スポットは)年明けからよくなる兆しが出ている。インターネット(広告)に流れているというデータはない」と反論。広告収入の先行きについては「タイム、スポット共に持続的に成長する」と強調する。「メディア産業のリーディングカンパニー」を自負するフジテレビの成長戦略は前提条件が崩れた場合、「階段」を踏み外す懸念を拭い去れない。






















2006年11月17日金曜日

日テレ、制作系4子会社を再編 来年4月に

日本テレビ放送網は16日、番組制作を手掛ける子会社4社を再編し、2007年4月に4社の事業を統括する新会社を設立すると発表した。エヌ・ティ・ビー映像センター(東京・千代田)、日本テレビビデオ(同)、日本テレビエンタープライズ(同)、日本テレビアート(同)の4社は制作、技術などの業務が一部重複しているため、新会社の傘下で業務ごとに再編する。新会社は将来、他の連結子会社の管理部門業務を受託するシェアードサービス会社の機能も担えるようにして、経営の効率化を図る。









日本テレビが100%出資する新会社の名称は未定。音楽子会社バップ(東京・千代田)の徳市慎治会長が新会社の社長に就任する。新会社は傘下に技術会社の「日テレ テクニカル」(仮称)、制作会社の「日テレ ドリームコンテンツ」(同)、イベント会社の「日テレ イベンツ」(同)、美術会社の「日本テレビアート」を置く。会社分割によって業務ごとに再編する4社を新会社が統括し、経理、人事、総務などの間接部門も新会社に集約する。



今回の子会社再編は人員の削減などの合理化策を予定しておらず、番組制作コスト抑制の効果は限定的になる。同社は「当面はコストセンターに徹することになるが、ゆくゆくは大きな制作会社に育てる」(能勢康弘執行役員)としている。





2006年11月8日水曜日

孫社長、SNSでミクシィに対抗意識をあらわに

Myspace ソフトバンクは7日、米国最大手のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「マイスペース」の日本版「マイスペースジャパン」の試験サービスを開始したと発表した。ソフトバンクの孫正義社長は同日の記者会見=写真=で「(国内最大手の)ミクシィをいつ抜くのか、やってみないとわからないが、やる以上はナンバーワンになりたい」と述べ、ミクシィに対抗して、日本で最大規模のSNSを構築する意欲を示した。



















フトバンクは同日、米マイスペースを傘下に持つ米メディア大手ニューズ・コーポレーションと合弁会社を設立することで正式合意した。11月中旬にニューズ傘下のエフ・アイ・エム・インターナショナルと折半出資して日本でのSNS運営会社「マイスペース」を設立する。新会社は音楽を通じた利用者の交流を促すことで、日本での知名度を上げる戦略だ。歌手の中島美嘉がマイスペース内に個人サイトを開設し、利用者と交流するほか、英国のロックバンド「オアシス」メンバーのノエル・ギャラガーらによる利用者限定の演奏会を東京都内で15日に開催する予定。





ソフトバンクはSNSを携帯電話でも利用できるようにする。「携帯電話用SNSの開発を続けて、すでにプラットホームがあるので、ソフトバンクの携帯電話での展開が(他社より)早くなるかも知れない」(孫社長)としているが、NTTドコモなど他社との交渉もする方針だ。ソフトバンク傘下のヤフーがマイスペースとは別に日本でSNS事業を展開していることに関して、孫社長は「ソフトバンクを間に挟み、(ヤフーとマイスペースの)ウィン・ウィンの関係ができればよい」と強調するが、ソフトバンクグループ内での調整は進んでいないもようだ。





マイスペースの試験サービスは来春、正式に事業化する予定。アジアには初めて進出することになり、日本を含めて世界7カ国での事業展開になる。ニューズのルパード・マードック会長はソフトバンクがヤフーのポータル(玄関)サイト事業を日本で成功させたことを評価しており、「ソフトバンクはグローバルなサービスの日本でのローカライズを経験しており、日本で大きな成功をもたらすと確信している」と語った。





日本のSNS利用者は1000万人と言われ、約600万人の会員を確保しているミクシィが最大手。同社への対抗意識をあらわにする孫社長は、世界中で1億人以上の利用者を持つマイスペースの実績を踏まえて、急ピッチで若い利用者を掘り起こす考えだが、ミクシィが囲い込む利用者層と重なるため、米ヤフーのサービスを日本で定着させた成功体験が通用しない可能性もある。好きな楽曲ファイルを自分のサイトに添付する使い方も日本では著作権管理団体との交渉が不可欠で、米国での強みをすぐに発揮できない公算が大きい。マイスペースは売上高や利用者獲得の数字目標は明らかにしていない。























2006年11月7日火曜日

閲読履歴を把握できる電子雑誌配信 学研子会社

学習研究社の電子出版子会社、アドマガ(東京・品川、須摩春樹社長)は7日、2007年1月に電子雑誌の配信事業を始めると発表した。企業の商品カタログや販促用フリーマガジンなどをインターネットで配信し、読者の閲読履歴を顧客企業に報告できるのが特徴。顧客企業は読者の閲読履歴をマーケティングなどに活用できるという。アドマガは電子雑誌の配信受託を柱にして、09年3月期に売上高を11億円にする方針だ。




























Admaga 読者は専用の電子雑誌閲覧ソフト「アドマガランチャー」=写真=をパソコンにダウンロードして、フリーマガジンなどを閲読する。電子メールのアドレス、性別、年齢などを読者に登録してもらうため、カタログやフリーマガジンを配信した企業は、どんな属性の読者がどのページを開き、どこをクリックしたのかなどを把握できる。オンラインで読者アンケートの回答を得られるほか、読者を電子商取引サイトに誘導することもできる。





アドマガは11月8日に電子雑誌、カタログなどのコンテンツ(情報の内容)配信テストを開始。1年後には「アドマガランチャー」の利用者を30万人にしたい考えだ。「アドマガランチャー」をコンテンツ配信プラットホーム(基盤)に育て、企業の電子コンテンツ配信受託サービスのほか、一般読者向けのコンテンツ配信サービスも手掛ける。自社のコンテンツを活用してタレントの写真集、ゴルフレッスン用ムックのPR冊子も作成、近く配信を始める。





学研は8月に台湾の新数通(台北市)との合弁企業として、アドマガを設立した。新数通は「Xplus」と呼ばれるコンテンツ配信プラットホームを保有し、台湾や中国で700万人の利用者を獲得しているという。アドマガは「Xplus」の技術を導入し、日本で電子雑誌やカタログの配信事業を立ち上げる。















2006年10月31日火曜日

グリー、「完全招待制」を放棄 KDDIと新サービス

Ezgree ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のグリー(東京・港、田中良和社長)は30日、KDDIと共同で、携帯電話でのSNS「EZ GREE」を11月16日に開始すると発表した。これまでグリーのSNSは既存会員からの招待がないと参加できない「完全招待制」だったが、新サービスは「EZ WINコース」などKDDIの携帯電話「au」の契約者ならば、招待がなくても利用できる。完全招待制を見直し、早期に100万人の会員を獲得する狙いだ。










グリーは「信頼性と安心感のあるサービスを楽しんでもらう」との理由で、パソコン中心のSNS「GREE」に完全招待制を採用していた。「EZ GREE」経由で参加する利用者は既存会員の招待なしでGREE会員になれるようにするが、「au契約者の情報があるので、(会員情報と契約者情報を)つき合わせて、問題がある場合はアクセスを遮断できるようにする」(田中社長)と説明しており、公序良俗に反する行動などをする利用者を抑制できると見ている。



「EZ GREE」は動画の共有、占い、ゲーム、日記やメールなどの装飾、利用者参加型の百科事典「ウィキペディア」など6つの新サービスを提供する。2006年度内には、総合音楽サービス「リスモ」、似たような音楽の趣味を持つ人と交流できる「うたとも」と連携した音楽コミュニティーのサービスのほか、GPS(全地球測位システム)を活用した友人との交流機能なども追加していく方針だ。新サービスは無料(別途パケット通信料が必要)で、広告収入で運営する予定。






2006年10月20日金曜日

ミクシィ、ターゲティング広告を強化へ

Mixi_1 ミクシィの笠原健治社長=写真=は19日、東京ビッグサイトで開催しているパソコンの総合展示会「WPC TOKYO2006」で講演し、「上場後に認知度がかなり上がり、広告の売れ行きが高まった」と述べ、東証マザーズ上場の効果を強調した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)利用者の属性に応じて広告を表示するターゲティング広告などを強化する方針を示し、ページの更新に伴い自動的に広告が変わるローテーションバナーについても「将来的にはターゲティング化する」と表明した。



















笠原社長はターゲティング広告について「あまりお薦めできないが、(SNSに登録している)自分のプロフィールを男性から女性に変えてみるとか、年齢を変えてみると、若干、見えるバナーが変わってくる」などと説明。「必要十分に絞り込んで広告を配信することはユーザーにとっても、広告主にとってもいい話」と語り、ターゲティング広告の需要を開拓する姿勢を示した。ターゲティング広告に加え、SNSのクチコミを活用した広告も強化。「それぞれを組み合わせたミクシィならではの広告展開をやっていく」と語った。







2006年10月5日木曜日

楽天社長、メディア観を大修正 動画は「想定外」

Ceatec_1 楽天の三木谷浩史社長=写真= は4日、情報技術(IT)機器の見本市「CEATECジャパン2006」で講演した。「10年後のメディアは変化する。今までの延長線上にない発展を遂げる」と指摘。メディア戦略に関する説明は大半をCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)への対応策に割いた。映像コンテンツ(情報の内容)については、動画投稿サイト「YouTube」の登場などを引き合いに「この分野では想定外のことが起きている」と述べ、1年前にTBSとの経営統合を画策した経営者と同一人物とは思えないほど、メディアに対する見方を修正していた。



三木谷社長は「楽天の成長戦略とインターネットビジネスの今後」をテーマに講演した。ネットで商品を売りたいと考える人が簡単に仮想商店街でネット店舗を開設できるインフラを提供してきた実績を踏まえ、自社を「UGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)の走りのような会社」と強調した。仮想商店街でショッピングをした顧客が商品についての感想をネットに書き込む「レビュー」記事が750万件あることにも言及し、「ミクシィのようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も一応やっており、強くはないが、CGMはやっている」と述べた。





楽天が2005年10月にTBSとの経営統合を目指し、同社株を買い増した「騒動」から1年が経過した。当時はテレビ局が抱える動画コンテンツに着目し、自社サイトの集客に活用する戦略を描いていたが、TBS側との交渉は難航し、目に見える成果はでていない。市場には交渉の長期化で楽天のメディア戦略が行き詰まったと映り、同社の時価総額は急減している。





このほど三木谷社長は米国を訪れ、シリコンバレーのベンチャーキャピタル関係者らとの意見交換を重ね、ネットビジネスの将来について考えたという。映像メディアについては「動画はすごいスピードで展開している」との認識を深め、4日の講演でも「ファイルシェアリングで、無料でコンテンツを見られる。それが一般的になっている。動画配信でもうけるのは難しい状況だ」と米国の現状を分析して見せた。日本のメディアについても「テレビ中心だが、3-5年後には変わっていく」との見通しを示し、テレビ局の支配への関心が薄れている様子をうかがわせた。













2006年9月28日木曜日

「竹中懇」の舞台裏を明かす元秘書官

Mrkishi_1「懇談会を始めたのは、今だから言うと私の怨念みたいなものでした」――。小泉内閣時代に竹中平蔵総務相の政策秘書官を務め、26日付で国家公務員を退職した岸博幸・慶應義塾大学助教授=写真=が27日、インターネットの新潮流をテーマにした討論会に出席し、総務相の私的懇談会だった「通信・放送の在り方に関する懇談会」の舞台裏を明かした。



















岸氏はネットビジネス支援のデジタルガレージが東京都内で開いた「ザ・ニュー・コンテキスト・コンファレンス2006」に出席。2001年に竹中経済財政・IT担当相の補佐官になり、5年にわたり竹中氏を支えた経緯を振り返りながら「5年前にIT戦略本部で通信と放送の融合問題を出したが、民放を中心に強い反対があり、途中で終わってしまった。そのリターンマッチとしてやった」と述べ、通信と放送の融合が5年来の懸案だったと強調した。





岸氏は6月にまとまった懇談会の最終報告書を実質的に執筆し、通信と放送の融合をにらんだ改革議論のシナリオを裏方で練ってきた総務相の政策ブレーンだった。最終報告書の内容については「対NTTは大変厳しく、対NHKも厳しい。ただ、対民放はすごく甘い内容になっている。民放の皆さんはもっとビジネスを展開してください。自由にやってくれという要素が入っている」と指摘。「放送業界が自分の世界から思い切って(外に)出て行くきっかけを作るつもりで報告書を出した」と述べ、放送局のネット事業に期待感を示した。





岸氏は「今回も民放からは強い反対と根回しがあった。(最終報告書は)100点満点ではなかった」と自己採点。さらに「大臣に民放各社のトップと水面下で議論してもらったが、上(経営者)の皆さんはどういう方向に行かざるを得ないのかをわかっていた。ただ、なぜか業界団体の民放連は強く反対する不思議な構図があったので、緩める部分は緩めてあげた」と述べ、放送業界に対しては譲歩したことを認めた。





最終報告書をまとめた後も、政府・与党が通信・放送分野の改革で合意するまでには調整が難航。NTTの組織形態などをめぐっては自民党側に妥協する面も目立った。岸氏は霞ヶ関を去った立場から「しょうもないのは自民党だ。族議員が残っていて、一生懸命に反対した」と恨み節を漏らしながらも「(安倍内閣の)菅義偉総務相は(小泉内閣で)総務副大臣としてやってきたので、方向性は確実に引き継がれる」と力説した。





岸氏が20年間務めた霞ヶ関を離れ、公の場で「竹中懇」について語るのは初めて。今後については「ケンカを仕掛けるのが仕事になる。相手は自民党かも知れない」などと周辺に語っており、慶大助教授の傍ら、民間主導で政策提言などもしていく考えのようだ。



























2006年9月26日火曜日

ブラックベリー、来春にも日本語対応に

Bb_2 カナダの携帯情報端末(PDA)大手、リサーチ・イン・モーション(RIM)は25日、2007年春をメドに、多機能携帯電話端末「ブラックベリー」=写真=の日本語版サービスを開始する方針を明らかにした。RIMはNTTドコモと組み、ブラックベリーを企業内システムに接続して、外出先で業務をこなせるサービスを26日に開始する。英語版のみのため、現在は国内の外資系企業からの受注が中心だが、日本語に対応することで日本市場の開拓を本格化する。

























Rim_1 RIMのマイク・ラザリディス社長兼共同最高経営責任者=写真=は25日の記者会見で、日本語版サービスの開始時期について「来年の第2四半期に対応する」と表明した。NTTドコモの星沢秀郎取締役も「RIM社が日本語化の対応を検討しているので、もっと(両社が)ウィン・ウィンの関係になり、パソコンや携帯電話を超える日が近くなるように緊密に連携したい」と述べ、ビジネス用途のPDA市場開拓に期待感を示した。現段階では英語版のみのため販売目標を確定できないという。





NTTドコモはブラックベリーを調達し、法人向けにRIMブランドで販売。25日時点で、すでに1400回線分を受注済みとしている。法人向けサービスに加え、個人のビジネス用途を想定したサービスも検討する。日本で販売する「ブラックベリー8707h」の価格は約6万円。1台当たり月額5985円で、企業のグループウエアとブラックベリーを連携させた法人向けサービスを提供する。





ブラックベリーは日本国内ではNTTドコモの「FOMA(フォーマ)」に接続して、携帯電話としても使える。PDAとしては、電子メールの閲覧・作成、スケジュール管理、インターネット、表計算やワープロのファイル閲覧などの機能を備えている。英語版のサービスでもネットのホームページ閲覧などで、日本語のフォントを表示することは可能だ。













2006年9月15日金曜日

ミクシィ社長、EC参入に意欲 コンテンツ販売も

東京証券取引所マザーズに14日、新規上場したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手のミクシィが電子商取引事業への参入を検討している。SNSサイト「ミクシィ」は570万人分の会員登録を確保し、会員同士が日記やメールなどを使って活発にコミュニケーションしているため、「SNSはデジタルコンテンツの販売も親和性が高い」(笠原健治社長)と見ている。音楽や映像などのコンテンツ(情報の内容)のほか、ネット上での自分の分身となるキャラクター(アバター)を販売することも視野に入れている。



















Kasa_3 笠原社長=写真=は同日、上場後の記者会見で、SNSサイト「ミクシィ」を活用した新事業について「EC(電子商取引)的な展開もあり得る。BtoC(企業の一般消費者向け販売・サービス)で、企業からの出品により商品を提供してもらうほか、CtoC(個人間取引)の収益もある」と述べ、EC分野進出に意欲を示した。会員同士によるネットを活用したオークションなどを想定しているという。株式上場で調達した資金を活用して、新サービスを立ち上げるために必要なM&A(企業の合併・買収)も検討するとしている。





ミクシィ株は同日、個人投資家を中心とした人気から買い気配のまま取引が成立せず、最終気配は公募価格の2倍を超える315万円になった。















2006年9月14日木曜日

「オーマイニュース」というメディアづくり

韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」日本版が創刊して2週間が過ぎた。韓国で成功した市民参加型メディアの日本上陸という話題性も手伝い、市民や消費者が情報発信する時代のメディアづくりに関する議論が活発になっている。ネットでブログ(日記風の簡易型ホームページ)を執筆するブロガーの間でも「オーマイニュース」をめぐり賛否両論が沸き立っている。














「要は誰が、ではなく何を書いたか、だ」。駒沢大学の山口浩グローバル・メディア・スタディーズ学部助教授は実名で執筆しているブログで、オーマイニュースが市民記者によるニュースを売り物にしていることについて、読み手の視点を欠いていると批判する。ブログなどの更新情報を受け取るRSSリーダーの利用者は「マスメディア、市民メディア、ブログといった帰属の別が関係なくなっている」と指摘。読み手側は市民記者が書いたということに大きな価値を感じてはおらず、記事の内容次第で評価が決まると見ている。



韓国でオーマイニュースが登場した6年前はブログが普及する以前で、市民が意見表明する機会や情報発信する手段は少なかった。その後、世界的にブログが普及し、CGM(消費者作成メディア)という言葉も定着してきた。市民参加型ネット新聞の日本での草分け的存在である「JANJAN」のある編集者は「ブログがでてきたので、(市民は)自分で自分の意見を言えるようになった。米グーグルの検索サービスを使えば、いろいろな人に見てもらえる。(ネット新聞は)何をしたらいいのかと悩む」と打ち明ける。



人気ブログ「ガ島通信」執筆者の藤代裕之さんはオーマイニュースと著名ブロガーの対話集会を呼びかけた。早稲田大学で2日に開催したシンポジウムでは自ら司会を務め、その後、参加者へのアンケート結果をブログで報告している。参加者の中には「市民記者登録を決心した」という人もいたが、「この程度の内容ならブログでいくらでも読める」、「先行者(JANJAN)から全く学んでいないのは致命的」と批判的な意見も多かった。



一般読者を対象とした新聞記事よりも専門的な内容を扱ったブログが多数存在し、JANJANなどの類似サイトもある状況で、オーマイニュースの日本での「立ち位置」は定まりにくい。これに対し、オーマイニュースの鳥越俊太郎編集長は早大でのシンポジウムで、市民による日常生活の体験談を積み上げれば、既存のメディアと違う視点からの問題提起ができると強調した。例えば、病院で点滴を打ってもらったときの経験から、点滴のミスで被害にあった当事者が次々と体験談を投稿していけば「日本の医療現場がどうなっているのかを検証できる」と市民記者の活躍に期待を寄せている。



一方、既存メディアで働くブロガーの見方は趣が異なる。時事通信社の湯川鶴章編集委員はブログの中で、オーマイニュースの呉連鎬社長から日本での事業展開について相談を受けたことを明らかにしている。「JANJAN」やライブドアの先行事例を分析して、「否定的な見解を述べておいた」と書いているが、むしろ、ソフトバンクがオーマイニュースに出資したことに着目し、ソフトバンクやヤフーがオーマイニュース日本版を集客力のあるニュースサイトを育てる可能性があるのかを呉連鎬社長の姿勢などから見極めようとしていた。



ブログ「竹橋発」を執筆する毎日新聞社の磯野彰彦編集局次長は早大でのシンポジウムに出席し、「タレ込み情報がオーマイニュース側に流れて、抜かれたら困る」と警戒感を隠さなかった。既存メディアに所属する湯川氏や磯野氏は事業と編集の両面からオーマイニュースが競合相手になり得るのかが気になる様子だった。



批判的な意見や警戒感が渦巻くなかで、ブロガーからは「市民記者に自分の住む地域の課題を中心に取材してもらうことから始めたらどうだろうか」(ブログ「talleyrandの備忘録」)との提案もあり、オーマイニュースに期待する声も出ている。例えば、市町村の議会での委員会質疑、地域で開催されるシンポジウムなど既存メディアが記者を配置する手間をかけられない所で、どんな発言があり、何が起きたのかをきめ細かく伝えていけば、既存メディアとの違いも打ち出せる。



消費者や市民がネットなどで情報発信できる時代に、ことさら市民記者が書いたことを強調することに意味はないのかも知れない。「読みたい記事がない」(駒沢大の山口助教授)と感じている読み手の不満に応えるメディアづくりは、既存メディアも市民参加型メディアにも共通の課題になるだろう。



▼「talleyrandの備忘録」


オーマイニュース考 


http://blog.goo.ne.jp/talleyrand_2006/e/7b72987ee2c084e72504125398859847



▼「H-Yamaguchi.net 


オーマイニュースについて(1):現状分析 


http://www.h-yamaguchi.net/2006/09/1_77cc.html#more



▼「ガ島通信」


[イベント]ブロガー×オーマイシンポジウム「アンケート」概要報告


http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20060904/1157375900



▼「湯川鶴章のIT潮流」


日本版オーマイニュースの狙いは打倒権威主義


http://it.blog-jiji.com/0001/2006/02/post_0730.html




































「フォーチュン」編集長を招きメディア懇談会

Eric 日経メディアラボは12日、米経済誌「フォーチュン」のエリック・プーリー編集長=写真=を招き、東京都内でメディア懇談会を開催した。プーリー編集長は1月にインターネットの読者向けサイトを刷新し、「フォーチュン」の記事を経済情報サイト「CNNマネー・ドット・コム」に掲載することで、850万人の読者(ユニークユーザー数)を確保できたと強調。「プレミアムのコンテンツ(情報の内容)として、有力企業500社について詳細に分析した情報を有償で提供することもあり得る」と述べ、広告収入の基盤固めに加えて記事の購読収入確保にも意欲を示した。














同誌は有料の記事をネットで閲読してもらう既存のオンライン事業を全面的に見直した。米タイム・ワーナーが傘下にある「フォーチュン」など4誌とニュース専門局CNNの経済情報を統合した経済情報サイト「CNNマネー・ドット・コム」を1月にスタート。「フォーチュン」も新サイトから無料で記事を読めるようにした。35人の専属記者を新サイトに投入し、ニュース速報にも対応できる編集体制を整えた。



無料の電子媒体で即時に「フォーチュン」ブランドの経済ニュースを読んでもらい、分析記事は紙媒体で購読してもらう流れを作り、無料サイトと有料の紙媒体を組み合わせた戦略を打ち出している。紙媒体と電子媒体をセットにして広告主に売り込む広告営業体制も強化し、「プリントとオンラインをパッケージにしてプラスになった」としている。



プーリー編集長は雑誌が電子媒体への移行期を迎えているとの認識を示した上で、「(電子メディアが主流になる)『新世界』に突入するときに、オンライン雑誌に悲観的な人もいる。オンラインではプリントほど売り上げ規模が大きくならないとの見方があるが、利益率は確保できるので、楽観的だ」と強調した。








2006年9月3日日曜日

「オーマイ」編集長、ブロガーに参加を呼びかけ

Ohmy_1 韓国のインターネット新聞大手、オーマイニュースとソフトバンクが共同出資で設立したオーマイニュース・インターナショナル(東京・港)は2日、東京都内でブロガー(ブログ執筆者)との対話集会を開催した。日本版「オーマイニュース」の鳥越俊太郎編集長=写真=は「コメントを書き込むだけでなく、市民記者と登録して原稿を書いてください」とブロガーに参加を呼びかけた。市民記者の登録者は2日時点で1600人。同社は年内に市民記者を5000人にしたい考えだ。








早稲田大学(東京・新宿)で開催した「ブロガー×オーマイニュース『市民メディアの可能性』」にはブロガーら約100人が参加した。鳥越編集長は「鳥越の名前なら(インタビューなどに)でてきてくれる人もいる。言ってみれば、立ち上げまでの広告塔の存在だ」と述べ、8月に創刊したばかりの「オーマイニュース」のPR役をこなした。ブログを執筆しているタレントの真鍋かをりさん、療養中の王貞治ソフトバンク監督らのインタビューを予定しているという。



鳥越編集長はネット掲示板「2ちゃんねる」を「ゴミため」と揶揄(やゆ)したことで批判が集まったことについて、「インタビューでは『一部の』書き込みについて、言ったつもりだった。『2ちゃんねる』の全体を見たことはない」などと弁明。「本意が伝わっていないとすれば、謝ります」と述べた。掲示板愛好者らの批判が集まったことで、結果的に「オーマイニュース」はアクセス数が伸びたもよう。オーマイニュースは「9月に400万ページビューを稼がないと翌月の広告が入らないが、これはクリアしている」(平野日出木編集次長)としており、広告収入を確保できる程度にアクセス数は伸びていると説明している。



2006年8月18日金曜日

擬似株取引ゲームのSNS カリン・パートナーズ

Geinou ウェブサイト制作のカリン・パートナーズ(横浜市、間辺覚社長)は18日、芸能人の名前を株式の銘柄に見立て、運用成績を競う株取引ゲームサイト「芸★TRADE SNS」を開設した。応援したい芸能人の株式を擬似通貨で購入したゲーム参加者同士が「株主」としてコミュニティーを形成し、メッセージ送信機能を使って交流できる仕組みを用意した。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と株取引ゲームを組み合わせた娯楽サイトに育て、初年度に4万人の参加者を集める考えだ。



















芸能人の「株価」は同社が運営している芸能人の情報サイト「芸能証券」を通じて提供する。「芸能証券」はブログ(日記風の簡易型ホームページ)検索技術を使い、俳優や歌手などを話題にしているブログの数などを分析して「株価」を決める。芸能人の話題性が高まれば、「株価」が上昇する一方で、ブログで話題にされなくなると「株価」も下落するため、ゲーム参加者は芸能人の人気の浮き沈みを予想しながら、「株式」の運用成績を競い合える。





「芸★TRADE SNS」は芸能人の成長性に期待して「株主」になったファンがコミュニティーを形成して、交流できる仕組みが特徴。発行済株式数の三分の一を取得するとコミュニティーの管理者になれる。同社は株取引ゲームによるSNSを「ストック・ネットワーキング・サービス」と呼んでいる。ゲームの参加費用は無料。サイトは広告収入で運営する。











2006年8月11日金曜日

日本のコンテンツ、世界での浸透ぶりをアピール――「世界コスプレサミット2006」から

2006_1 日本のマンガ・アニメ文化をテーマに、世界のコスプレーヤーが頂点を目指して競う「世界コスプレサミット2006」が8月5日、6日の2日間、名古屋市内で開催された。各地の予選を突破した9カ国22名のコスプレーヤーが自慢のコスプレ姿を披露、日本発コンテンツの海外での人気ぶりをうかがわせた。



このイベントはマンガ・アニメ文化を通じた国際親善を目的にテレビ愛知が企画したもので、今年で4回目。今回から、ポップカルチャーによる海外との交流に取り組む外務省や、外国人旅行者の訪日を促進する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開している国土交通省が後援している。特に外務省は、優勝者に外務大臣賞を授与したほか、審査員として職員を派遣するなど、積極的な協力姿勢を見せた。


Cos2_2 初日には「名古屋のアキバ」の異名を取る大須で夏祭りに合わせたコスプレパレードを敢行。2日目に各チームがコスプレでパフォーマンスを行い、世界一を決める「チャンピオンシップ」を東区の立体型庭園オアシス21で開催した。見事優勝したのは、兄妹で参加したブラジル代表のマウリシオ・ソメンザリ・L・オリヴァスさん(20)とモニカさん(18)=写真。2人はマンガ「天使禁猟区」に登場する天使の戦いを幻想的に再現して審査員を魅了した。


イベント終了後に行われた記者会見で、マウリシオさんは日本のアニメの魅力を「アメリカのコミックなどと比べると、日本の作品はより現実に近く、その世界に入り込みやすいという面があると思う」と分析した。妹のモニカさんは同じ質問に「だって、日本のアニメは絵がとってもキレイですもの」と笑顔で答えた。


審査委員長を務めた漫画家の永井豪氏は、日本のマンガ・アニメ文化の発展について「マンガは、戦後の貧しい時期に、お金をかけなくても創り出せるエンターテインメントとして急激に発展した。このコストをかけずに創造できる、という側面が、作家の個性を生かした現在の多様なマンガ・アニメ文化につながったのではないか」と述べた。また、日本のコンテンツが各国で受け入れられている理由について「実写の作品だと、外国の俳優が演技をしていればそれは外国のもの、と思ってしまうが、マンガやアニメだとそれがない。多くの国の子供が、日本の作品を『自国のオリジナルだ』と信じている」と語り、マンガ・アニメなどのコンテンツには国境がないことを強調した。


また主催者でこのイベントを企画した担当者は「予選会のために世界各地を回ったが、みなネットを通じて日本でどのような作品が公開されているか、最新の動きをキャッチしている。そういう意味での『時差』は感じなかった」と話す。以前は日本のコンテンツ、というと「ドラゴンボール」「セーラームーン」「ポケットモンスター」といった、どちらかというと低年齢層向け作品が圧倒的な存在感を誇っていたが、最近はそれらを見て育った世代が青少年向けのコンテンツを求めるようになり、人気作品はより多様化する傾向にあるようだ。マンガ・アニメに加えゲームに登場するキャラクターの人気も高まっているという。



2006年8月1日火曜日

KDDI、SNS大手のグリーに出資 役員も派遣

KDDIは31日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のグリー(東京・港)に出資したと発表した。グリーが実施した3億6400万円の第三者割当増資を引き受けた。出資比率は明らかにしていないが、子会社や関連会社に該当しないよう出資比率を抑える「マイノリティー出資」になっているという。グリーには取締役1人を派遣する予定。携帯電話「au」の利用者向けに全地球測位システム(GPS)を活用したSNSなどを検討する。






グリーはKDDIから調達した3億6400万円のうち、1億8200万円を資本金に組み入れ、資本金は6016万円から2億4216万円になった。携帯電話向けのサービスは2005年6月に「GREEモバイル」を開始しており、「au」利用者向けの新サービスは現行のサービスに上乗せする「プレミアムサービス」の位置づけになると説明している。「au」利用者向けサービスの開始時期は未定。KDDIは携帯電話を使ったSNSを活用して、「au」利用者同士の交流を促進し、利用者の囲い込みを狙うとみられる。



2006年7月21日金曜日

主婦の友社、ヤフーと連携し電子ファッション誌

Ef 主婦の友社(東京・千代田、村松邦彦社長)は20日、ファッション誌の電子化に伴うインターネット事業についての説明会を東京都内で開催した。第一弾として紙媒体の「エフ」を電子媒体に転換し、ネット広告のほか、電子商取引(EC)関連分野にも参入する方針を打ち出した。ヤフーの仮想商店街と連携し、ファッションに関心が強い女性の閲覧者を囲い込む。村松社長=写真=は「広告主とともに市場開発のお手伝いをするほか、Eコマースや紙媒体による通販を通して顧客を獲得するなど多角的に事業展開したい」と述べ、販促支援などの新たな収益源確保に意欲を示した。














紙媒体の「エフ」は休刊し、6月に電子版のサイト「デジタルエフ」を開設。年内にも有料サイトに移行して事業化を目指す。価格は紙媒体時代と比べほぼ半額の300円程度になる見込みだ。20代後半から30代の働く女性の読者を想定した編集方針は引き継ぐ。31日にヤフーの仮想商店街「ヤフーショッピング」との連動企画を展開し、両サイトを相互リンクすることで購買意欲のある閲覧者を増やす方針。米ヤフー傘下のオーバーチュア(東京・港)によるキーワード検索広告も導入する。



主婦の友社は電子雑誌に関連した新事業を「パソマガ事業」と名付け、ヤフー以外にもECなどの分野でパートナー企業を探すとしている。20-30代の働く女性向けメディアを活用してファッション分野のECを展開する手法は、通販サイトと連動したフリーマガジン(無料雑誌)を発行する楽天なども手掛けている。主婦の友社は「『楽天マガジン』は明確に販売促進という目的を打ち出した無料雑誌だが、『デジタルエフ』は有料で購入してもらえるコンテンツ(情報の内容)を作るという違いがある。販促の展開はプラスアルファの部分」(ライツ事業部の渡辺伸部長)と説明している。








2006年7月5日水曜日

PDA型PHSの出荷見通しは50万台 ウィルコム

Zero ウィルコムは4日、携帯情報端末(PDA)型のPHS「W―ZERO3」の出荷台数が2006年度末までに50万台になるとの見通しを明らかにした。27日に発売する薄型の「W-ZERO3 es(エス)」=写真=が同シリーズ全体の出荷量を押し上げるとみている。「エス」はワンセグ放送の受信機、プリンター、プロジェクターなどの周辺機器との接続を可能にして、情報端末としての利便性を高めており、初年度に25万台の出荷を見込む。



























新型の「エス」はウィルコム、シャープ、マイクロソフトの3社が共同開発した。携帯可能な小型パソコンと携帯電話の間に「通信融合端末市場」を開拓できるとしており、すでに15万台を出荷した従来製品がパソコン利用者の需要を掘り起こす一方で、「エス」は携帯電話利用者をPDA型PHSの新規顧客にできるとみている。新型機はインターネットに接続してニュースや電子書籍を閲覧できるほか、別売の受信機を使いワンセグ放送の視聴も可能。漫画のコンテンツ(情報の内容)も閲覧できる「コミックビューア」も開発中で、出版などのメディア企業にとってもエスのようなPDAの普及はデジタル媒体を展開する環境整備に役立ちそうだ。





PDAをめぐっては、すでにソニーがハードディスク駆動装置の代わりに半導体のフラッシュメモリーを搭載したPDA型パソコンを発売している。3万円台の価格帯になるPHSの「エス」と比べて、ソニー製パソコンの価格は5倍以上になるものの、ウィルコムの八剣洋一郎社長は「ソニーの製品は『W-ZERO3』に(類似して)見える」としており、PDA型の商品が増えることで「市場を拡大する相乗効果がある」と指摘している。











産経「イザ!」は8月に正式スタート

Iza 産経新聞社のインターネット事業子会社、産経デジタルの阿部雅美社長=写真=は4日の記者会見で、6月に試作版として開設したニュースサイト「iza(イザ!)」を8月に正式スタートする方針を明らかにした。読者が若年層の男性に偏っているため、中高年層や女性向けのコンテンツ(情報の内容)を拡充して読者を増やすという。昨年11月に発足した同社は「イザ!」のシステム開発費などの投資が膨らみ赤字が続くが「4年目に単年度黒字化したい」(阿部社長)としている。

















「イザ!」はニュースを読んだ感想や意見などをブログ(日記風の簡易型ホームページ)に書き込める無料サービスが特徴。阿部社長は早期に1万人のブログ利用者を確保し「利用者同士が交流できる場を提供する」と強調した。読者が書くブログは韓国の有力インターネット新聞「オーマイニュース」のように編集者が内容を事前にチェックする仕組みにはしていない。「(内容の)正確さは担保しない。変な内容のブログを書けない自浄作用が働く」(産経デジタル取締役の森山雅勝チームラボビジネスディベロップメント社長)と説明している。





産経デジタルに資本参加しているチームラボビジネスディベロップメント(東京・渋谷)はトランスコスモスと情報技術ベンチャー企業のチームラボ(東京・文京)が共同出資で昨年6月に設立。音楽専門SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを手掛けている。利用者参加型サイトの開発をめぐっては、産経新聞社の大株主であるフジテレビジョンとも共同出資会社を設立しており、近く映像の投稿サイトを開設する予定だ。













2006年6月20日火曜日

「栄村TV」のJANIS、地デジのIP送信に意欲

インターネット接続サービスを手掛ける長野県協同電算(JANIS、長野市)は地上デジタル放送のハイビジョン(HD)番組をインターネットプロトコル(IP)で、ADSL(非対称デジタル加入者線)によって難視聴世帯に伝送する構想をまとめた。ワンセグ放送で採用されている画像圧縮技術「H.264」を活用。伝送するデータ量を抑えることで、高速大容量通信が可能な光ファイバーの敷設が困難な地域でも、既存のADSLでHD映像を視聴できるようにする。





























Janis JANISの佐藤千明ネットワーク部長=写真=は19日、日経BP社の専門誌「日経ニューメディア」主催のセミナーで、地上デジタル放送のIPマルチキャスト構想を推進する方針を表明。「放送局側で(番組の)ソースを『H.264』の映像にエンコード(符号化)する協力態勢を得たい」と述べ、テレビ局の協力を求める考えを示した。画像圧縮技術「MPEG2」の映像を地上デジタル放送で受信して、さらに「H.264」で圧縮すると画質が劣化すると見ており、放送局側に「H.264」の映像提供を求めていく。





同社は長野県栄村で地上アナログ放送のIP送信実験を手掛けている。地元の民放が再送信に同意していないため、実験を事業化できないが、2006年度内には実験対象を栄村秋山地区の全戸(160戸)に広げる方針だ。地上デジタル放送のIP再送信構想はアナログ放送の実験で蓄積したノウハウを活用することになるが、地元テレビ局の協力が得られるかなど不透明な部分も多い。





地上デジタル放送の普及をめぐって、日本民間放送連盟は放送波が届かない地域への補完としてIP配信を活用することを容認。著作権問題では、文化審議会法制問題小委がIPマルチキャスト放送の同時再送信を著作権上、有線放送と同じ扱いにする方針を示したため、佐藤部長は「アナログ放送のIPマルチキャスト再送信問題は事実上決着した。このまま粛々と(実験を)続ける」と強調している。





NTTは2010年までに固定電話加入者の半数となる3000万世帯・事業所を光回線にする計画を打ち出している。JANISは秋山地区のような採算性の低い地域に光ファイバーが敷設され、地上デジタル放送のIP再送信が実現する可能性は高くないと見ており、既存技術のADSLを活用したIP再送信の事業化を目指す構えだ。





















2006年6月15日木曜日

IP放送や番組のネット配信 産官学で意見交換

Furu 慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは13日に開催した「クリエイティブ産業政策フォーラム」で、放送番組のインターネット配信などをめぐって産学官による意見交換をした。竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」に参加した古川享(元マイクロソフト日本法人会長)慶大教授=写真=は「懇談会の議論では、放送業界が時代の変化への抵抗勢力であり続けるのか、自ら先取りして改革推進者になるのかが問われた」と述べた。



















光ファイバーなどのブロードバンド(高速大容量)通信網を活用して、インターネットプロトコル(IP)方式で放送番組を伝送する「IPマルチキャスト放送」について、古川教授は「地上波デジタル放送の再送信に偏ってしまった」と懇談会の議論を振り返った。神奈川県の逗子・葉山地域を対象としたコミュニティーFM局の「湘南ビーチFM」が番組のネット配信を推進している例などを挙げ、「(ネットの活用は)FM放送を遠隔地で聞きたいというときに発生している今日の問題だ」と指摘した。





これに対して官庁側は「ネット配信ならIPマルチキャストよりも簡単だが、レコードを全部ハードディスクに溜め込んで、非営利・無料でどんどんネットで流すことになると、音源はどうなるのかと権利者は恐れている」(文化庁)と説明。一方、著作権手続きの簡素化を地上波放送の同時再送信に限定したIPマルチキャスト放送をめぐっては、事業者から「自主放送」の具体的な計画は聞いていないと強調した。産業界からは「同時再送信以外の新しいビジネスが欧米ではどんどん生まれているのに、(日本は)その可能性の芽を摘んでいる状態になっている」などと不満の声もあがった。











2006年6月1日木曜日

韓国オーマイニュースが「旅行業」構想

Ohmy 韓国のインターネット新聞最大手、オーマイニュース(ソウル市)の呉連鎬(オ・ヨンホ)代表=写真=は31日、東京都内の講演で、旅行業に進出する構想を明らかにした。8月に「オーマイニュース日本版」のサイトを開設し、ネットで記事を投稿する「市民記者」を日本に組織するのを機に、日韓両国の市民記者による交流や相互訪問を促進させる考えを表明。そのうえで「『オーマイニュース』ブランドの旅行業を考えたい」と述べた。





毎日新聞社と駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部が主催したシンポジウムで講演した。日本版サイトの展開をめぐっては、4万人の市民記者を集める目標を掲げ、「3年以内に影響力のあるメディアにしたい」と強調。「日韓の市民記者が交流すれば、(市民記者同士が)両国を旅行する機会が生まれる。さらに旅行記を(ネット新聞の)記事にしてもらうこともできる」との見通しを示した。



オーマイニュースは広告収入が売上高の7割を占める。現在は記事と広告の区別を明確にしているが、今後は生活関連の情報を拡充し、広告収入を増やす方針だ。具体的には、サイト内に生活関連情報のガイド役を登場させ、記事に関連した広告を掲載するなどの手法を検討しているという。呉連鎬代表は市民記者らが文章を書くことに強い関心を持っていると指摘。パソコン用のプレゼンテーション資料や文書を作成するノウハウを教えるビジネスマン向けの教育事業などにも意欲を示した。



個人のSNS運営者を新規開拓 サンロフト

システム開発のサンロフト(静岡県焼津市、松田敏孝社長)は6月1日、インターネットで会員組織を運営できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の運用システムを個人向けに提供する事業を正式に開始する。携帯電話から操作できる機能、サイトの更新情報を伝える規格の「RSS」による情報の受発信機能などを順次、追加していく。2月に試験サービスを始め、すでに1500人の利用者を獲得。今回の機能強化により、利用者を12月末までに1万人にしたい考えだ。

















サンロフトの新サービス「ナノティー」は同窓会、PTA、共通の趣味を持つ仲間同士などの200以上のコミュニティーにSNSの運用システムを無料で提供している。ナノティーの利用者はSNSのオーナーとして会員を募集し、会員同士の意見交換、会員が実際に集まるイベントの開催などを通じてコミュニティーを運営できる。SNSのサイトは50種類のデザインを選べるほか、会員の募集形式も招待制や自由参加などを選択できる。





同社はナノティーのシステムを活用するSNSを年内に1000サイトにする目標を掲げている。法人の利用については有料サービスを別途用意する。無料サービスで個人の利用者を増やしながら、法人の顧客を開拓できると見ており、本業である企業の情報システム受注につなげる考えだ。

















2006年5月26日金曜日

NHKアーカイブスの番組ソフト販売も 技研公開でデモ

Nhk NHK放送技術研究所は25日、テレビ番組を受信機に蓄積し、好きな時間に視聴できる「サーバー型放送」を活用し、過去に放送した番組をインターネットなどで販売するシステムの試作品を一般公開=写真=した。番組の著作権処理を済ませて、デジタル保存している「NHKアーカイブス」の番組を視聴者に購入してもらう。ブロードバンド(高速大容量)通信が一般家庭に普及する2010年をめどに普及させる方針だ。



























サーバー型放送のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスとして、前日に視聴できなかった番組を放送日の翌日にも呼び出して見られる「見逃し番組リクエスト」、「アート&クラシック」などの分野別に番組を選べる「NHKセレクション」、埼玉県川口市にある映像ソフトの保管施設「NHKアーカイブス」から好みの番組を選択して、有料で視聴できる「NHKアーカイブスオンデマンド」の3つを用意した。番組の価格は「100円程度を想定している」(NHK放送技研)としている。





一般公開した展示では、祖母が購入しておいた番組を孫にプレゼントとして伝送する利用方法も紹介。番組は受信機に内蔵したハードディスク駆動装置(HDD)や光ディスクに蓄積する。メモリーカードを介して、携帯情報端末(PDA)に番組を取り込み、外出先で見ることも想定している。伝送路については「電波の隙間を使って送り込む方法とブロードバンド通信回線を使って個別に番組を呼び出す方法を検討している」としている。





サーバー型放送の実現には放送法改正が必要になるが、NHKは2007年度にサーバー型放送を開始したい考えだ。















2006年5月25日木曜日

グーグル、ネットCM放映参入 日本が台風の目に?

米グーグルが動画広告のインターネット配信事業に参入した。広告主は「コンテンツネットワーク」と呼ばれるグーグルの提携サイト向けに、消費者が閲覧しているサイトのコンテンツ(情報の内容)に関連した動画広告を配信できる。米国、カナダ、日本の3カ国で動画広告事業を展開する。高額なテレビCMを展開できなかった中小の広告主を開拓し、ロングテール型の広告事業を強化する。

























動画広告の「クリック・トゥ・プレイ」はネット検索の利用者がパソコン画面をクリックしなければ動画が再生できない仕組みになっており、強制的にネットCMがパソコン画面に放映される不快感を与えないように工夫した。広告主はアドワーズ広告と同じような入札方式で、予算に応じてグーグルに動画広告配信を申し込める。動画広告を視聴した消費者を広告主のサイトに誘導できた回数に応じて、広告料を支払う。





グーグルの動画広告は米国、カナダよりも、ブロードバンド(高速大容量)通信のネットが普及している日本の広告市場に与える影響が大きいと見られる。ネット広告業界の中には「日本最大のビデオ広告ネットワークが出現する」との指摘もある。日本ではUSENの動画配信サービス「GyaO(ギャオ)」などがネットの動画広告分野を開拓している。グーグルは得意の検索連動型をテコに、文字が中心だった広告に動画を加え、広告事業を日本でも強化する。






テレビCMを放映できなかった地方の中小企業、飲食店などが、コストを抑えながらネットCMをパソコン画面に放映できるようになることで、特定の消費者に動画を使って広告を配信する市場が広がる。全国の映像作家とのネットワークを持ち、動画配信事業を手がけるオーエン(高松市)の東浩司社長は「有名タレントを使って全国的にイメージを売り込むようなテレビCMとは異なり、地方の旅館が旅行に関心のある人向けにキャンペーンを告知するなどの使い方が広がる。各地の映像制作の担い手にとっては追い風になる」と見ている。













2006年5月24日水曜日

日テレ、PSP向けにニュース番組配信

Ntv24 日本テレビ放送網は23日、ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」で視聴できる番組のインターネット配信=写真はイメージ=を6月1日に開始すると発表した。無線LAN(構内情報通信網)経由でニュース番組をダウンロードして、外出先で視聴したいビジネスマンらの需要を開拓する。ネットを含めた「あらゆる伝送路」を使って映像コンテンツ(情報の内容)を供給する戦略の一環。放送外収入の拡大につなげる考えだ。



























「日テレNEWS24 Portable」の視聴料金は月額525円。これとは別に、ニュースごとに課金(1件当たり105円)する方式も用意する。1日に3回更新する20分程度の「定時ニュース」のほか、企業経営者へのインタビュー番組を柱とした「ビジネス・ニュース」、記者会見などでの要人の発言を編集せずに配信する「ノーカット工房」で構成する。当面は3000人の利用者を獲得するのが目標としている。





新サービスは米アップルコンピュータの携帯型音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」向けに番組配信をする「ポッドキャスティング」の応用事例になる。すでに日テレはポッドキャストとしては7番組を手がけている。11月に発売予定の次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)3」と連携した新サービスも検討中だ。同社はニュース専門チャンネル「日テレNEWS24」で放送したテレビ番組をネット配信用に高速変換するビデオエンコーダー(映像信号圧縮)を導入。ネットを介して音楽プレーヤーやゲーム機などに番組を送り込む体制を整えている。





個人向けだけでなく、法人向けサービスも拡充する方針。6月から街頭の大型ビジョン向けに「日テレNEWS24」を放映開始するほか、海外ホテルチェーンと組み、ホテルの客室で好みのジャンルのニュースを選んで視聴できるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス「日本語チャンネル」も計画している。





同社は既存の放送事業でスポット営業が苦戦し、広告収入が減少しており、今後の中期的な成長戦略としては放送外収入の拡大が課題になっている。コンテンツ利用に対する課金が可能な業態への転換を模索しており、「コンテンツをあらゆるルートに流通させる巨大なプロバイダー(接続業者)に変貌する」と強調している。



















2006年5月23日火曜日

ガーラ、クチコミマーケティングの研究所開設

ガーラは23日、消費者の「クチコミ」を活用したマーケティングの専門研究機関、ガーラ総合研究所(東京・渋谷)を設立する。インターネットのクチコミで伝わる企業や商品の評判を把握し、自動車や食品などの業界別に動向を分析。「自動車クチコミ白書」(仮称)などにまとめる。消費者がブログ(日記風の簡易型ホームページ)や掲示板などに書き込んでいる情報を分析し、顧客企業のマーケティングを支援する事業の強化につなげる。



























所長には同社の村本理恵子会長が就任する。村本氏は6月にガーラ会長を退任、ガーラ総研所長として研究活動を統括する。村本氏は時事通信社出身。ネットのコミュニティーについての研究者として知られ、専修大学教授などを経て、1998年からガーラ会長を務めていた。新会社のガーラ総研はネットで広がる評判を販促に結びつける手法だけでなく、悪い評判が広がり、企業のブランドイメージが損なわれないようにする危機管理も研究対象にする。





ガーラは電通と業務提携し、昨秋からネットのクチコミを自動分析する「電通バズリサーチ」の新サービスを開始しているが、システムの不調などを背景に受注は伸び悩んでいる。ブログの更新状況を短時間で把握して、即時に分析結果を出せるように自動分析システムを改良するほか、ブログを自動収集し、内容を分析するテキストマイニング技術を研究するホットリンク(東京・品川)と提携し、同社の技術を導入した新システムも9月に稼動させる予定だ。





ネットのクチコミに関する研究機関の設立やクチコミを分析するシステムの改良などにより、ガーラは「電通バズリサーチ」事業を強化し、2007年3月期には80社から200件の受注を見込んでいる。















「出稿経験者の9割が継続意向」――広告主のモバイル広告利用動向調査

日経広告研究所、ディーツー
コミュニケーションズ、日経メディアラボの三社は、携帯電話によるモバイル広告について広告主企業の利用動向を調査した。それによると、05年度にモバイル広告を出稿した企業の42.9%が06年度のモバイル広告費を「増やす」とし、46.4%の「変わらない」をあわせると、9割弱が継続して利用する意向を示した。



この調査は2005年2-3月に実施。日経広告研究所の「有力企業の広告宣伝費」の上位1500社に聞いたところ、299社の回答を得た。


モバイル広告の評価について、回答企業全体に聞いたところ、「ターゲットを絞り込みやすい」「目的に合わせた利用がしやすい」「制作費が安い」が上位に並んだ。モバイル広告出稿経験企業に絞ると「効果がすぐに把握できる」がトップとなり、未経験者と比較すると「費用対効果が高い」「商品の購入喚起に効果的」が大きく上昇した。出稿経験者は、他のメディアと比べても、「効果がすぐに把握できる」ことを高く評価しており、ROI(費用対効果)に敏感になった企業にも受け入れられていることが、継続意向の高さにつながっていると言えるだろう。


一方、出稿経験者の不満点は「文字数・情報量などに制約が多い」「伝えられる情報量が少ない」「表現力に乏しい」と、ディスプレ-の大きさが制約となるモバイル広告独特の課題と重なっている。今後の成長を考えると、これらの不満を超える広告効果が求められることになる。


モバイル広告の未出稿企業も、今後の出稿予定は「現在利用を検討している」企業が10.7%、「検討までいたっていないが今後利用したい」企業が21.9%と、利用意向企業が32.6%を占めた。出稿経験者の継続意向企業とあわせると、全体の4割弱が今後モバイル広告を利用する意向があり、広告媒体としての価値も高まりそうだ。


 


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2006年5月19日金曜日

第2日テレ、初年度の収入は1億5000万円

日本テレビ放送網は18日、インターネットによる番組配信サービス「第2日本テレビ」の事業収入が初年度に1億5000万円だったことを明らかにした。昨秋のサービス開始当初は動画コンテンツ(情報の内容)の有料視聴サービスを目指したが、広告を配信して無料で視聴できる業態に転換したため、収入の大半は広告料だった。初年度に投じた費用は8億円。当面は赤字が続くが、2009年3月期の黒字化を目指している。





第2日本テレビは「第二の創業」との位置づけで、昨年10月28日未明にスタート。「商店街」をイメージしたサイトで好きな映像を選べるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを展開している。すでにサーバーなどの設備投資に8億円を投じているが、2年目の07年3月期も16億円の投資を予定。番組内容も拡充し、USENの「GyaO(ギャオ)」など先行組を追撃する。同社は第2日本テレビ開局を記念し、前期配当を60円上積みして115円の期末配当(年間配当は165円)を実施する。





同日に発表した09年3月期を最終年度とする「中期経営計画」の長期経営ビジョンには「あらゆる伝送路を総合した市場で、ナンバーワンのコンテンツ供給企業であること」との目標を盛り込み、放送だけでなくインターネットも番組を供給する手段として活用する方針を強調した。同計画によると、09年3月期の売上高は4280億円、経常利益は430億円になる。テレビ放送事業収入の売上高に占める比率は前期の80.0%から09年3月期には72.4%に低下する。















2006年5月18日木曜日

楽天との協業「ネット競売は期待はずれ」 TBS幹部

マスメディア企業とインターネット企業が連携するビジネスの可能性を占うとされているTBSと楽天の業務提携交渉が難航している。3月末としていた交渉期限を6月末に延長したが、具体的な内容は固まっていない。両社の協業をめぐっては、TBSが今春放送した「オールスター感謝祭」でのチャリティーオークションに楽天が協力した例があるが、「期待した以上の結果にならなかった。いきなり結果が出るとは思わないが、意外に難しいという印象だ」(平本和生TBS常務)との慎重な見方も根強い。

















「オールスター感謝際」では、番組内のミニマラソンに参加した芸能人のサイン入りユニフォームを楽天で競売し、落札金を交通遺児らに募金したという。番組とネット競売の連携は成果が小さかったものの、平本常務は「いろいろな実験をして『鉱脈』に当たることもある。一つうまい結果が出ないといって全体的に提携が阻害されるとは思わない」と強調する。両社はTBSの番組と楽天のネット競売を連携させる案も含め、10以上の「メニュー」を検討しているもよう。





業務提携の内容が固まらない背景には、楽天によるTBS株の扱いをめぐる駆け引きが続いていることがある。平本常務は「業務提携は大株主(である楽天)の意向なので、たくさんのメニューが出てきた以上は、6月いっぱいということではなく、長期的に考える」とも語っており、協議が先延ばしになる可能性もにじませた。





TBS株をめぐっては、村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が保有比率を上昇させていることが明らかになっている。TBSは3月末時点で村上ファンドが2.74%を保有し、第9位の株主だったことを確認しているが、4月時点で保有比率は5.65%になっている。TBSは村上ファンド側と接触しているが、「意見を伺うにとどめている」としている。村上ファンドが運用拠点をシンガポールに移したことについては、外資が放送局の株式を直接保有する場合の出資比率を規制している電波法を引き合いに「電波法第5条に沿って(規制が)適用になる」と見ている。













2006年5月16日火曜日

電通と博報堂DY、ネット広告が成長 課題は収益性

広告代理店大手は2007年3月期にインターネット広告の売上高が前期よりも3-4割増加する見通しだ。電通はグループ全体で前期比30%増の585億円を見込む。博報堂DYホールディングスは今期後半に新会社を設立し、ネット広告を強化。同分野の売上高を前期比45%増の204億円程度にしたい考えだ。両社とも利益水準については、明確な説明を避けている。ただ、粗利率が既存分野よりも低いことを認めており、今後はネット広告の市場開拓を進めながら、収益性を向上させることも課題になりそうだ。



















電通は06年3月期のネット広告が前の期よりも58%伸び、同分野の売上高はグループ全体で450億円になった。05年に全体のネット広告費は54.8%増加しており、同社は市場全体の成長率を上回るペースで売上高を拡大させている。博報堂DYはネット広告の売上高が141億円で、前の期よりも38%増えた。ただ、増加率は市場全体の伸びを下回っており「今期は何とか50%近い伸びを目指したい」(保科伸夫専務)としている。





ネット広告の収益性をめぐっては「粗利率は(全体の)14.1%を若干下回っている」(博報堂DY)という。電通は「各案件の利益水準は低いが、グループ会社と本体で二重に利益を得ているケースもあり、全体としてはマス4媒体の広告と同じレベル」と説明している。















2006年5月10日水曜日

楽天、動画配信で「オープン」な姿勢を強調

楽天の三木谷浩史社長は9日、決算説明の記者会見で、インターネットを使った動画配信事業について「動画配信の業界構造はどうなるか流動的だ。できるだけオープンな形でやっていきたい。コンテンツ(情報の内容)は囲い込むよりもオープンな形を目指したい」と述べた。同社は昨年、約1100億円を投じてTBSとの関係強化を目指したが、動画配信などの業務提携交渉は難航している。三木谷社長はTBSとの交渉については「発言を差し控えたい」と述べる一方で、「オープン」な姿勢を強調。TBSを囲い込む形での動画配信強化の戦略を修正する考えをにじませた格好だ。



















USENとの協業による有料の動画配信事業「ショウタイム」については「枠組みを変えず、USENと協力してやっていく」との方針を示した。「Web2.0」の発想をネットの事業に反映させる取り組みが不十分との指摘に対しては「リテーラーとしての顔からは(取り組みは)十分で、Web2.0からトラフィックを持ってくる仕組みがある。ただ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログは強化が必要だ」との認識を示した。







2006年5月2日火曜日

大学に無料コピー登場 学生狙いの広告媒体に

Tadacopy 東京都内の大学で、コピー用紙の裏に広告を掲載してコピー代を無料にしている複写機がお目見えしている。仕掛けたのは慶應義塾大学や中央大学の学生グループが設立したオーシャナイズ(東京・港)というベンチャー企業。慶大三田キャンパス=写真、法政大市ヶ谷キャンパスに続き、5月中に東大の駒場キャンパスと本郷キャンパスにも無料コピーサービスを展開する。大学生に的を絞った広告媒体として売り込み、就職支援サイト運営会社などを広告主として開拓している。



























オーシャナイズの「タダコピ」は裏面に掲載する広告の基本料金がA4判のコピー用紙1万枚で31万5000円。広告に掲載したQRコード(2次元コード)から広告主の携帯電話サイトに大学生を効率的に誘導できるという。東京以外の大学関係者からも問い合わせがあるため、「夏休み明けには、コピー機の設置場所を20大学にしたい」(太田英基取締役)との目標を掲げている。





広告を掲載して、無料でコンテンツ(情報の内容)を配布する紙媒体はフリーマガジンやフリーペーパーが若年層に浸透している。「タダコピ」は学生のキャンパス生活を支援する目的で学生ベンチャーが発案したサービスだが、コンテンツを利用者の学生が決められる新しい広告媒体になりうる。コンテンツが講義のノートなどならば、広告も読み捨てられる可能性は少ない。





オーシャナイズはコピーする前に学年を利用者に入力してもらい、学年別に広告対象を絞り込む手法も研究しているという。1、2年生を対象としたアルバイトの求人広告、3年生を対象にした就職支援サイトの広告、4年生を対象にした卒業旅行パック商品の広告など属性に応じた訴求が可能ならば広告価値も高まりそうだ。















2006年4月29日土曜日

朝日新聞社、W杯速報でRSS配信実験

Feed 朝日新聞社はサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会に関連した記事の更新情報を記した「RSSフィード」をインターネットで提供する実証実験を始めた。GMOアドネットワークス(東京・渋谷)、サイボウズ子会社のフィードパス(東京・文京)と組み、RSSフィードの記事配信による広告の効果や閲覧ユーザー数などを測定する考えだ。利用者はフィードパスが提供するRSSフィードの閲覧画面=写真=でW杯の速報記事を読むことができる。

















朝日新聞社のニュースサイト「asahi.com」はRSSフィードによる記事の情報提供を始めているが、今回の実証実験では、フィードパスの画面に限り、W杯に絞った情報を閲覧できる。GMOアドネットワークスのRSSフィード配信管理システム「フィードバーナー」を使い、朝日新聞の記事を加工。閲覧ユーザー数の推移、利用者が使う閲覧ソフトの種類なども把握できるようにしたうえで、フィードパス側に情報を提供する。実験期間はW杯の閉幕までの2カ月間。





2006年4月28日金曜日

アスキーとIT資格試験の問題集配信 デジタルブティック

Onsen_1 ウェブサイト運営のデジタルブティック(東京・渋谷、安西正育社長)はアスキーと組み、「ITコーディネータ」の資格取得を支援する携帯電話による遠隔教育を5月1日に始める。携帯電話の学習サイト「実力温泉」から資格試験対策の問題集を配信する。問題集のコンテンツ(情報の内容)をアスキーから調達。デジタルブティックが配信・課金を担当する。問題集のコンテンツを保有する出版社との協業を拡大しながら、「実力温泉」を試験問題集のポータル(玄関)サイトにしていく考えだ。









「ITコーディネータ」は企業経営者と情報システムを販売する企業をつなぐ人材の民間資格。政府の「e-Japan重点計画」のなかで「ITコーディネータ」を育成する施策が盛り込まれ、資格取得を目指す人が増えている。資格認定の試験は年2回で、5月28日にITコーディネータ協会(東京・港)が2006年度最初の試験を実施する予定。デジタルブティックとアスキーは受験者の需要を見込み、電車での移動中など時間の合間を見つけて、携帯電話で問題を解きながら知識が身につく補助教材を用意した。KDDI(au)の携帯電話向けに提供する。





問題集は「経営系」と「IT系」の2種類があり、各50問。利用料金はそれぞれ315円。アスキーは資格試験の問題集を出版しているが、携帯電話を活用した「eラーニング」分野を手がけるのは初めて。デジタルブティックは医学看護系出版社のメディカ出版(大阪府吹田市)と組み、看護師国家試験向けの問題集も配信している。出版社以外にも学習塾や専門学校とも組み、問題集のコンテンツを拡充する。提携先を100社程度にして、1年後には1カ月に1000万円の売り上げを確保する方針だ。
















2006年4月27日木曜日

「NHKアーカイブスの開放義務化」論も 慶大DMC

Dmc 慶應義塾大学のメディア研究者らが25日、竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」の議論を踏まえて、メディア融合政策について話し合う「緊急産官学オープン・フォーラム」を同大三田キャンパス(東京・港)で開催した。NHKが過去に放送した番組を保管している「NHKアーカイブス」の映像をインターネットで広く国民に公開することを義務付ける提案などについて、行政や産業界からの参加者と研究者が意見交換した。

























フォーラムを呼びかけた慶大デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)の金正勲助教授は「テレビ番組の多メディア展開が懇談会の目玉の議論」と指摘。映像コンテンツ(情報の内容)の流通促進をめぐる意見を求めた。中村伊知哉スタンフォード日本センター研究所長は「(ネットなどの)二次利用の比率が低いのは(放送局の)やる気がないからだ。NHKにはアーカイブスの開放を義務付けるべきだ」と提言。田中辰雄・慶大助教授も「受信料の支払い義務化とのバーターでアーカイブスを開放する交渉が可能」と支持した。





同フォーラムでは放送のハード(電波送信)とソフト(番組)分離、テレビ番組のIP(インターネットプロトコル)による配信をめぐる著作権問題などについても意見交換をした。慶大の金助教授は「抜本的な改革を目指していた懇談会が最後まで、その姿勢を貫けるのか真価が問われている」と述べ、産官学の意見を集約して、政策提言に結び付ける考えを強調した。









2006年4月22日土曜日

パノラマ写真で駅を確認 gooが地図サイト強化

NTTレゾナント(東京・千代田)がポータル(玄関)サイト「goo」の地域情報サービスを拡充している。地図の画面から、探したい場所の最寄り駅の出入り口をパノラマ写真で表示する新サービスを19日に開始。駅周辺の風景を把握できるようにして、利便性を高めた。地域の店舗などの広告主を対象にした広告販売はNTTグループで電話帳を発行するNTT番号情報(東京・港)と連携。地図による地域情報サービスの利用者を増やして、地図連動型広告の拡販を狙う。



東京都心の駅を中心に300カ所以上のパノラマ写真を用意した。今後、大阪など都市部の地図についてはパノラマ写真の表示を増やしていく。場所を検索する利用者が地図上のカメラの形をしたアイコンをクリックするとパノラマ写真が表示される。駅を出たところでの風景を確認できるため、出口を間違えずに目的地に向かえるという。同社は地図を「ローカルサーチの重要なインタフェース」(国枝学メディア事業部長)と位置づけ、利便性を向上させたとしている。



地図を使った地域情報サイトのサービスはヤフーやグーグルなどの検索サイトによる広告を収入源とするネット企業がしのぎを削る。NTTレゾナントは地図機能の強化して集客力を高める一方で、電話帳広告で地域の広告主と太いパイプを持つNTT番号情報と連携し、地域情報サイトの広告収入を増やす考えだ。地域情報サイトをめぐっては、インターネット事業の拡充を狙う地方紙との競合も予想される。ただ、NTTレゾナントは「記事のコンテンツを提供してもらう協力関係を築いている新聞社もあり、むしろパートナーになれる」(国枝部長)と説明している。


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