2006年12月2日土曜日

東大・九電が福岡で大規模センサーネット実験

東京大学と九州電力は2007年春をめどに、人体に装着したセンサーなどを使った情報網から脈拍や体脂肪率などの健康に関連したデータを収集し、医師らが健康増進を支援するサービスの実証実験を始める。九州大学病院など福岡市内の病院も実験に参加し、糖尿病患者らの健康管理を後押しする。実験が成功すれば、世界最大規模の実用的なセンサーネットワークの構築事例になる。



























東大の須藤修教授らの研究チームによる「健康管理センサーネット福岡実証実験」(仮称)には、九電や九大のほか、沖電気工業や福岡県も加わる予定。九州電力は情報処理子会社のキューデンインフォコム(福岡市)がデータセンターを提供。福岡県は高速通信網の「ふくおかギガビットハイウェイ」を通信インフラとして開放する。





実験は文部科学省の「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」事業の一環。爆発的に増え続ける情報をセンサーネットの技術などで処理し、健康増進や予防医学の分野で役立てるようにする。九電側は糖尿病患者向け健康管理サービスの実用化を視野に実験に参加。「08年をめどに事業化する」(キューデンインフォコム)との目標を掲げる。





須藤教授は1日、情報処理学会や人工知能学会などによる「情報社会のデザイン」シンポジウムで講演し、現在、固まっている実験の概要を明らかにした。センサーを使ったコンピューターの情報網で健康データを管理し、病院の主治医やフィットネスクラブのインストラクターから助言を受けられる環境を整える。同様の実験は首都圏で展開する可能性もあり、KDDIと連携し、センサーチップを搭載した携帯電話を使って日々の健康データを集める構想もある。個人情報の保護や地域ぐるみで健康データを活用する場合のルール作りなども研究課題だ。





センサーを使って、健康データを収集する試みは、米スポーツ用品最大手のナイキと米アップルコンピュータが共同開発した「Nike+iPod スポーツキット」の例がある。センサーを内蔵した運動靴とメモリーを搭載した携帯音楽プレーヤーからランニングの履歴を収集・蓄積し、走行距離や消費カロリーなどのデータを管理して健康増進に役立てるウェブサービスを提供している。





東大などの実験プロジェクトは体温や脈拍、体脂肪など各種の健康データをセンサーで計測し、センサーネットで管理する本格的な健康増進システムになる予定。「アップルとナイキはグローバルにデータを集め始めており、先を越されたが、福岡での実験は地域に密着して取り組む」(須藤教授)としており、糖尿病発症の地域格差なども調べられるという。



























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