2005年8月31日水曜日

水面下で使われるネット調査--衆院選スタート

「郵政解散」に伴う総選挙は30日に公示を迎え、本格スタートした。企業のマーケティング活動にはインターネットが不可欠になったと言われるが、選挙活動にネットを利用することは、法の制約が大きいためまだ難しい。だが実は、水面下でネットが活用され始めている。(関連記事「メディアラボの目」









「郵政民営化に重点を置いて投票する人は24%」――。ネット調査大手のマクロミルが15日にまとめた「政治に関する意識調査」では、ネットユーザーの醒めた意識が浮き彫りになった。郵政民営化を争点にしようという首相の思惑とは裏腹に、政権与党に期待する重点 課題としては「年金・福祉」(71%、複数回答)と「景気回復」(68%)が多い。





現時点で政党の支持率をネットで調査すると、民主党の支持率が高めに出る傾向が強く、ネット調査は各政党の支持率を比較する世論調査には利用できないことは多くのネット調査会社が認めている。マクロミルの調査も支持率を探る世論調査ではない。





それでも「調査対象者の地域別、年齢別の構成比を国勢調査の比率に合わせて回答を回収するなど工夫をした」としており「ある程度は正確に政策への国民の意識を把握できる」と同社は強調する。





あるネット調査会社の担当者は「選挙情勢の把握にネット調査を使う話が、最近は広告代理店からよく持ち込まれる」と打ち明ける。ネット調査会社の多くは全国に数十万人規模の調査パネルを保有し、20問程度の設問でも1日でアンケートを集計できるノウハウがあるからだ。





短期決戦の選挙では短期間で民意を把握できるネット調査が重宝される。有権者の意向を把握するためのネット調査は2年ほど前から増え始めており、ネットによる民意のマーケティングは密かに、選挙という「情報戦」を勝ち抜く手段になりつつある。





新聞社などのマスメディアは通常、乱数番号を使った電話の世論調査を実施する。各陣営はこうしたデータも参考にしながら選挙の戦術を組み立てるが、世論調査は数百万円規模の費用が必要で、集計にも時間がかかる。





ネット調査は質問事項を作って、即日、結果を分析できるメリットがある。「企業の市場調査でも選挙目的でも値段は同じ」(ネット調査大手のインフォプラント)なので、通常の調査ならば100万円程度で可能だ。公表を前提とする世論調査ではなく、戦況を把握するための情報収集の一環として使われる。「ネット調査で当落予測をしても、NHKの出口調査に匹敵する精度の結果が出せる」と評価する関係者もいる。





現行の公職選挙法では立候補者が政策を訴えるホームページさえ更新できず、政策や意見を伝える手段として使うには大きな壁がある。一方で民意を把握するためのマーケティング活動に応用する研究はさらに先に進んでいる。





「『2ちゃんねる』に書き込まれている内容を分析すれば選挙の行方も把握できます」――。企業向けに掲示板サイト「2ちゃんねる」の監視サービスを提供しているガーラの菊川暁社長は昨夏の参院選で、ある政党に掲示板に書き込まれる有権者の本音を分析する調査を売り込んだ。だが、1年前はネットで語られる言葉の持つパワーへの認知が低く、手応えはなかった。





その後、ブログ(日記風の簡易ホームページ)が急速に普及し、ネットで語られる言葉が伝播する「口コミ」の力が見直され始めると状況はガラリと変わった。掲示板で語られる本音の言葉をもとにマーケティングをするノウハウを蓄積しているガーラに目をつけたのは電通だ。アンケートによる定量調査ではなく、ネットを使った定性調査をマーケティング戦略に活用しようと考えた。電通はガーラに出資し、10月から掲示板やブログに書き込まれた消費者の意向を調べるサービス「電通バズリサーチ」を開始する。





大企業の経営者が社内で周囲に「イエスマン」だけを配置していると、消費者の本音を聞きだせる相手は「妻と子供となじみの飲み屋の女将(おかみ)さんの3人しかいなくなる」という冗談のような話が現実にある。首相官邸が実は「情報の過疎地」というのも有名な話だ。自分についての悪い評判も含めて、世情を読み誤らないための本当に有益な情報を入手するということはトップの悩みのタネだ。





ガーラと電通の試みが選挙の実践ですぐに通用するかは未知数。ただ菊川社長は「昨夏の参院選の結果は、掲示板から読み取った予想と一致していた」と説明する。今回の総選挙をめぐっても、ブログなどを通じてネットで政治について語ろうという運動は若者を中心に活発になっている。ネットによる選挙運動は公選法による制約があるが、ネットで語られる有権者の言葉を統制することは不可能だろう。





もちろん、ネットで語られる言葉が民意の全てと誤解することは危険だ。ソーシャルネットワークサービス(SNS)大手、グリー(東京・港)の田中良和社長はネットを通じて若者らに投票を呼びかける運動に参加するが、ネットを使った政治活動については「衆愚政治の歴史もあり、難しい面もある」と指摘する。





ネット選挙はネットによる扇動という危険と隣りあわせでもある。今後、盛んになる可能性がある公選法の改正議論は「民意をマーケティング」するノウハウの蓄積と並行して進める作業になるだろう。

























































メディアラボの目 ネットの言葉は「落書き」か

インターネット調査は特定の商品を購入した人を探し出して、消費者がどんな感想を抱いたかなどを調べる目的で普及した。有権者の意向をネットで探る「民意のマーケティング」についても「特定の層にターゲットを絞り込んで、政策についての意向を探る目的では有効な手段になる可能性がある」(ネットリサーチ総合研究所の朝倉康文研究員)と専門家は指摘する。









例えば、都市部で生活する身体障害者、郊外から通勤するパート労働者など特定の層に福祉や雇用対策についての民意を探るといった使い方も考えられる。本来ならば選挙の戦況把握よりも、マニフェスト(政権公約)という政党にとっての「目玉商品」の企画段階でネット調査を活用する方が有効かも知れない。





ネット調査の市場は2年前、120億円規模に過ぎなかったが、ネットの普及に伴い拡大基調が続き、2年後の07年度には500億円規模になるとの試算がある。ネット調査会社は新興企業が多かったが、定性調査の領域では電通など大手の参入事例も出てきており、市場拡大は加速しそうだ。





電通のパートナー企業となったガーラはライブドアとも提携して、ネットユーザーの考えていることをマイニング(採掘)するビジネスをブログの分野にも広げる。米ダウ・ジョーンズと英ロイターが共同出資するファクティバダウジョーンズ&ロイターも「電通バズリサーチ」と類似のサービスを展開しようとしている。





アンケートに答えてもらい、消費者や有権者の意向を探る手法は質問の設定次第で調査結果がぶれる可能もある。一方、電通などが手掛ける定性調査の領域はネットという限定された世界とはいえ、本音で語られている言葉から消費者の意向を探ろうとする試みであり、メディアから見ても興味深い。





インターネットに書き込まれる言葉は「便所の落書き」に例えられることが多く、価値の低いものとされてきた。ただ、落書きが世相を映すことは、建武の新政における混乱を風刺した『二条河原の落書』などの例もある。ウェブで語られる言葉をマイニングすることで世相を読み解くノウハウが蓄積できれば、過去のウェブ情報を蓄積する作業に歴史的な価値を見出すことができるかもしれない。





米国ではウェブを勝手に保存する「ウェイバック・マシーン」というシステムが登場して物議を醸したことがあった。日本でも国立国会図書館が情報源を選択しながらウェブ情報のアーカイブ(記録資料)化に取り組んでいる。ウェブで語られる膨大な量の言葉から金鉱を採掘できるのか。「便所の落書き」が「宝の山」になると気づき始めた人たちの挑戦は始まったばかりだ。

























2005年8月27日土曜日

ブログ選挙に公選法の壁 

ブログ(日記風の簡易ホームページ)が本格的に普及して初めての総選挙。インターネットで自分の意見を発信するのが好きなブログ愛好者にとって総選挙は格好の話題だ。ブログサービスやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を提供する企業は「総選挙ネタ」でネットのコミュニティーを活性化させようと目論むが、公職選挙法の制約を意識して、選挙運動とみなされる発言を削除するなどの対応も迫られる。政治や選挙について自由に語りたいユーザーとのあつれきも予想され、「ブログ選挙」の試行錯誤が続いている。









25日夜。東京・永田町の自民党本部にネットエイジグループ(東京・渋谷)の西川潔社長、グロービス・グループ(東京・千代田)の堀義人代表、はてな(東京・渋谷)の近藤淳也社長らネット関連企業の経営者ら30人が集まった。「ブログを手掛けている皆さんが総選挙に及ぼす影響は大きいと思っています」。自民党の武部勤幹事長はブログ選挙を意識して、解散になった経緯やマニフェスト(政権公約)をブログ執筆者である西川氏や堀氏らに丁寧に説明した。





グロービスの堀氏はブログやSNSを使って投票を呼びかける「YES!プロジェクト」を起業家157人で立ち上げたと武部幹事長らに力説した。自民党だけではなく、民主党にも接触しており「若い世代が声を出していこうという運動への支持を両党から得た」と胸を張る。ただ、こうした試みで問題になるのは公選法の制約だ。堀氏は「特定の政党を支持する政治運動ではなく、選挙に行こう、もっと発言しようと呼びかける市民運動」としており、法令順守は徹底する考え。





「パソコンで日本地図のある県をクリックすると各選挙区の候補者を比較できる画面が出てきて、選挙民が自由に意見交換できる」――。こんな仕組みを作れば総選挙を身近に感じることができると考え、堀代表は衆議院の解散直後に「YES!」運動のサイトを開設するためのURL(アドレス)を取得した。ただ、「ネット禁止」を定めた公選法について調べて、すぐにこの構想は断念。ネットで若者に投票しようと呼びかける運動に切り替えた。





「YES!」にはSNS大手のグリー(東京・港)も参加し、SNS内での発言を呼びかける。SNSは匿名で意見を書き込む掲示板とは異なり、発言者を特定できるため単純な誹謗(ひぼう)中傷は書き込まれにくい。それでも「落選運動の呼びかけなど法令順守できない発言は削除する」(グリーの田中良和社長)としている。悪意を持たずに、意見交換のなかで特定の政治家を批判したような発言でも即削除なのか線引きは難しい。削除が続出した場合、せっかくの議論の雰囲気が壊れる懸念もある。





ブログや掲示板などで総選挙の話題は数多く登場しており、はてな、テクノラティジャパン(東京・渋谷)などネット関連事業の企業も「総選挙ネタ」を導入している。「政党の人気を競うような『はてな総選挙』はかなりのグレーゾーンだ」(ネット関連企業の経営者)などとささやかれているが、「取り締まりようがないのでは」といった意見も出ている。広島6区から無所属で立候補するライブドアの堀江貴文社長は著名なブログ執筆者の一人だが、すでにブログでは断筆を宣言しており、選挙態勢になっている。





YES 堀氏は26日、東京都内で「YES!プロジェクト」の設立について記者会見=堀氏は写真中央=した。「韓国の大統領選挙ではネットが大きな影響力を持った。日本でもできないかと思った」と述べながらも、「公選法の壁」で当初の構想を断念せざるを得なかったことに悔しさをにじませた。会見にはデジタルハリウッド大学の杉山知之学長も出席。堀氏と杉山氏は構造改革特区を使った株式会社による大学・大学院設立を手掛けているという共通点もある。株式会社による大学設立をめぐり「行政の壁」を感じていた杉山氏はこうまくし立てた。「ネットが世界で一番高速で、一番安く使える日本で、ネットが使えないなんておかしい。法律を変えるしかない」。

























2005年8月25日木曜日

無線LAN列車がデビュー 移動中の使い心地は?



lan つくばエクスプレス(TX)が24日開業し、移動中の車内で無線LAN(構内情報通信網)を利用する実験がスタートした。無線LAN接続は最新の情報技術を駆使した「ITエクスプレス」を標榜するTXの目玉サービス。「興味があったので初日から使ってみようと思った」という乗客らが早速、ノートパソコンを開いて高速で走る列車内でのネットの使い心地を確かめていた。



無線LAN対応の列車は24日、上下合わせて12本運行。実験用の車両は無線LANが利用できることを知らせるステッカーが窓の横に張ってある。夕刻の車内では携帯電話を操作している乗客の方が目立つが、ノートパソコンをネット接続している会社員の姿も見られた。車内で天気予報サイトなどを閲覧していた会社員(36)は「通信が途切れることなくオフィスのパソコンと同じ感覚で使えた」と合格点をつける。





ただ、列車内での無線LAN接続は現在、秋葉原-北千住の5駅4区間(所要11分間)に限定されており、ネット接続は「全線開通」してはいない。首都圏新都市鉄道(東京・台東)は「今年度中に全線の全編成車両で利用可能にする」(経営企画部)としている。ある実験参加者は「通勤時間にネットを使えれば、メーリングリストをチェックしてニュースを読むという朝一番に職場ですることを列車内で済ませることができる」と早期の商用化を期待していた。





これまで公衆無線LANは駅構内やホテルのロビーなど点としての展開が中心だったが、ライブドアが山手線の内側エリアを対象とした新サービスを計画するなど面として広がる兆しを見せている。TXが時速130キロで移動する列車内での無線LAN利用を商用化すれば、線としての展開も広がりそうだ。





実験は首都圏新都市鉄道、インテル、NTTブロードバンドプラットフォーム(東京・中央)の3社が来年3月末まで実施する。無料で無線LANを使える実験参加者を募集しており、実験期間中に300人が実験に参加する見通しだ。




















2005年8月20日土曜日

HBO、「ファイヤーフォックス」を利用して新番組のキャンペーンを展開

米ケーブルテレビ局のHBOは、非営利のモジラ財団が無料提供するブラウザー「ファイヤーフォックス」を利用し、歴史ドラマの新番組「Rome」のプロモーションを開始した。ユーザーはファイヤーフォックスの「テーマ」機能を使い、古代ローマをテーマにした仕様に自分のブラウザーをカスタマイズすることができる。



HBOは8月28日から放映開始する同ドラマを盛り上げるために、ネットユーザーが必ず利用するブラウザーに着目。先進的なユーザーが利用しているファイヤーフォックスは、シェアが10%に満たないものの、ユーザーが自分好みに上部のデザインとボタン類を変更できる機能を評価した。「テーマ」をダウンロードし、更新すると、ブラウザーの上部に「Rome」のロゴ、放映時間、HBOのロゴを常時表示し、ユーザーの認知度をアップできる。


ローマ仕様のブラウザーはRome」のサイトかファイヤーフォックスのサイトからダウンロードできる。他にプロモーションで利用した例として映画「Batman Begins」があり、こちらもワーナーブラザーズのサイトからダウンロードできる。HBOもタイムワーナーグループのケーブル局。同グループは傘下のAOLがインスタントメッセージのアイコンをカスタマイズしてユーザーの支持を得た成功事例にならって、「テーマ」を積極活用しているようだ。 


ブラウザーのツールバーを利用するキャンペーンは、ファイヤーフォックス以外でも実用例がある。リッチメディア広告のUnited Virtualities(本社:米国ニューヨーク州)が「Ooqa-Ooqa」というソリューションを提供。英国で子供向けの映画「シャーク・テイル」のキャンペーンで採用されている。サイトにアクセスすると自動的にツールバーがスポンサー仕様になるようになっている。ただ、米国での採用実績は伸びず、ユーザーの了解なしにツールバーを入れ替える行為が広告主にも受け入れられなかった可能性がある。


ファイヤーフォックスのテーマはユーザーの意思で変更できるため、ユーザーからの苦情を心配せずに、一定規模のマーケティング効果を望めそうだ。今後この手法が新たな販促ツールとして定着するか注目したい。


<参考>
HBO enlists Firefox for series promotion CNET: August 15, 2005
HBO series Rome to feature Firefox theme Spread Firefox: August 15, 2005


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2005年8月17日水曜日

映像を使う口コミマーケティング--ガーラの戦略

電通と共同でインターネットの口コミ情報調査を手掛けるガーラはネットを通じて口伝えに商品を消費者に浸透させる新しいマーケティング事業に乗り出す。ガーラの口コミマーケティング「バイラルプラン」は若者がネットで話題にしやすい題材の映像「バイラルムービー」をネット配信して、ブログ(日記風の簡易サイト)などを通じた口コミ情報を発生させる仕組み。マスメディアを活用した従来型のマスマーケティングが通用しなくなったとされる若年層向けの新手法として売り込む方針だ。









口コミ情報の調査・分析は電通と提携し、「電通バズリサーチ」として10月にサービスを開始する。掲示板サイトの「2ちゃんねる」、ライブドアが提供する「ライブドアブログ」などに書き込まれた文章の内容を調査して、消費者の意向を分析する。3年間で300社の顧客を開拓する計画だ。ガーラは電通バズリサーチなどでネットから得られた口コミ情報の分析結果を活用して、逆にネット経由で顧客企業の商品を消費者に認知させるマーケティング事業も展開できると判断した。





口コミ情報を発生させる手段として「バイラルムービー」を活用する。一見、商品とは関係ないものの、消費者の関心を抱かせる内容にする。米国では、ファストフード大手バーガーキングが「サブサービエント・チキン(従属するニワトリ)」というサイトを使った「口コミマーケティング」を成功させている。ニワトリに対して「飛べ」「踊れ」などと命令するとニワトリの着ぐるみが命令に従うという映像の内容が人気を呼び、結果的にチキンサンドの販促に一役買ったという。





ガーラは日本でもバイラルムービーを使い、ネットに口コミ情報を発生させれば、消費者がブログや電子メールで映像の存在を連鎖的に伝えてゆき、顧客企業の商品なども効果的に消費者に浸透していくと見ている。バイラルとはウイルスの意味で、ウイルスが感染するように口コミ情報が伝わっていく効果を狙っている。テレビやラジオを使った宣伝戦略を練るメディアプランニングに加え、ブログやコミュニティーサイトを通じた口コミ情報戦略を策定する「バイラルプラン」も企業の販促活動として定着するとしている。













2005年8月13日土曜日

はてな総選挙、愛好者から「待った」





情報サービスのはてな(東京・渋谷、近藤淳也社長)が始めた選挙関連の情報を扱うインターネットサービス「総選挙はてな」が波紋を広げている。11日に始まった同サービスは各政党を株式になぞらえて取引をする「ゲーム」。株式購入数や取引価格に応じた時価総額によって「選挙後の議席数を予測する」と説明している。ただ、人気投票の公表を禁じた公職選挙法に抵触する恐れがあるのではとの疑問がユーザー側から投げかけられ、同社は対応に苦慮している。広報担当者は「顧問弁護士と協議して15日には対応を決める」としている。














同社は「総選挙はてな」の開始前に公選法に抵触する可能性について特に確認はしておらず、総務省などにも問い合わせはしていないという。国民の関心が高い総選挙が有力なコンテンツ(情報の内容)になると判断したようだが、はてなの愛好者が公選法をめぐる問題を憂慮して「待った」をかけた格好だ。総務省は「当該サービスについて内容を把握しておらず、コメントはできない」(選挙課)としている。





今回の総選挙はブログ(日記風の簡易ホームページ)愛好者の関心も高く、政治を題材にしたブログを書く人が増えている。総務省選挙課によれば、ホームページは「法定外の文書図画」に当たるため選挙運動には使用できず、個人的に自分のホームページに書き込んだ内容であっても、選挙運動とみなされれば公選法に抵触するという。韓国ではネットを使った「落選運動」が影響力を持った事例があるが、日本ではネットを使って政治について語り合う場合、選挙運動にならない範囲に配慮する必要がありそうだ。









2005年8月10日水曜日

メディア懇談会「新しいメディアづくりを考える」

nikkei001 日経メディアラボは7月28日、「新しいメディアづくりを考える」と題したメディア懇談会を開いた。企業と生活者をつなぐメディアのあり方をめぐっては、インターネットを起点にした情報発信が企業戦略の軸になるとの見方で一致したものの、企業のブログ(日記風の簡易型サイト)活用については見方が分かれた。生活スタイルや嗜好が近い生活者同士のコミュニティーを形成する効果があるとの指摘があった一方で、広告メディアとして活用するためには情報の信頼性をどう担保するかが課題になるとの意見も出た。









講師を務めた博報堂DYメディアパートナーズの中村博メディア環境研究所長、三越の金沢春康ネットワーク企画部ゼネラルマネジャーが企業の情報発信などに関する問題を提起し、これを受けてブログを含むネットを使った企業のメディア戦略などについて議論した。中村氏は企業と生活者のコミュニケーションが双方向型になり、個人の情報発信量が飛躍的に増大するため、企業に批判的な情報が発信されるケースも増えると指摘。金沢氏は顧客と双方向につながるメディアとしてブログを活用している実例を紹介しながら「ブログでコミュニティーをおこし、百貨店の再成長を仕掛けたい」と語った。





参加者からはブログによる仮想空間のコミュニティーを活用して「仮想」と「現実」の相乗効果を追求すべきだとの意見が出た。金沢氏は「ブログはいろいろなトライアル(試行)の一つ。ネットを起点にして、いかに企業のブランド価値を高めるかが重要だ」と強調した。中村氏は批判的な情報が自社ブログを通じて発信される可能性があるため「ブログが広告メディアになるのは難しい」との見方を示した。





新しいメディアの活用方法に関連して中村氏は携帯電話がカギを握ると強調。従来のマスメディアと携帯電話を連動させるキャンペーン手法などを紹介した。金沢氏は顧客とのコミュニケーションのために店舗を「メディア」として活用できると説明。富裕層を囲い込むための「口コミ」によるマーケティングを本格化させる考えを示した。













メディア懇談会(詳報)

メディア懇談会「新しいメディアづくりを考える」の主なやり取りは以下の通り。









P1030210  【問題提起1】 中村氏「デジタル化で生活者に変化」



メディア環境研究所はネット社会の変化に伴うメディア環境の変化に関する考え方を発信している。メディアが提供する情報の形はどうなるのか、メディアはどんな新しい使い方が可能かを提案したい。活動コンセプトは「メディアおこし」、「コンテンツおこし」だ。広告メディアとして認知されていないものでも、企業と生活者のコミュニケーションの場をメディアととらえるとき、どんな使い方があるのかを考える。広告は企業にとってマーケティング活動の一要素であり、生活者とのコミュニケーション手段だ。企業が自らの戦略に基づいてコントロールできることが重要で、予算を管理できることは大きな要素だ。生活者にとって広告は生活情報であり、企業の商品やサービスを知る重要な手段だ。マスメディアに接することで自然に情報を入手できる。これがマスメディアと広告と生活者のビジネスモデルだが、この先どこまでやっていけるのかを考えたい。



日本の家庭を中心にデジタル化の進展を予測する年表を作ると、2008年か09年にはデジタル機器が半分の世帯に普及するようだ。北京五輪の時期にメディアのデジタル環境は一般化する。来年のサッカーワールドカップでデジタル機器の普及に弾みがつき、08年か09年にはデジタル化が一気に進む。これに伴い生活者の情報接触や購買行動は大きく変化するだろう。



すでにその兆しがあり、デジタルビデオレコーダーが登場してテレビの視聴スタイルが変化した。いわゆるタイムシフト視聴、CMスキップだ。野村総合研究所が「CMスキップによる広告費の損失は540億円」というセンセーショナルな発表した。540億円というのは乱暴な計算だが、CMスキップという視聴行動は間違いなく進む。メディア環境研究所が調査してみると、デジタルビデオレコーダーの購入者は半年で非常に上手くCMをスキップするようになる。「この番組はこれだけCMが入る機会があるから3回(スキップ機能の)ボタン押せばいい」と心得ており、それは見事なものだ。



購買行動の変化で顕著なのは、マス広告に刺激されて商品に関心を抱き、店頭でその商品について調べた後、ネットで買うという行動だ。ネットでの商品購入は当初、書籍や旅行、株などが主だったが、最近は家電やゴルフクラブなどにも広がっている。また、携帯電話は情報伝達だけでなく、決済や販売促進のツールとしても使われている。携帯電話にクーポン券を送付すれば、携帯電話はプロモーションのための「メディア」になる。購買の直近に情報を送ることもできるので、携帯電話にクーポン券を送るプロモーションはかなり一般化するだろう。マスメディアと携帯電話を連動させる新たなキャンペーン手法も生まれる。情報提供と購買が連動するメディアである携帯電話をどう使うかが非常に重要だ。



広告メディアの将来を考えたとき、企業と生活者を結ぶコミュニケーションは決してなくなることはなく、広告のビジネスモデルも不変だろう。ただ、生活者の情報収集行動と商品の購買行動は劇的な変化を遂げる。ネットによる検索型の情報収集はもっと一般化する。現在も広告主サイト、価格サイト、商品情報サイトなどが登場しており、こうしたサイトからの情報収集が購買行動に影響を与える。



マーケティングコミュニケーションの環境は一方通行から双方向型を含めた形になる。生活者の情報接触行動の基本は受け身だろうが、個人の情報発信量は飛躍的に増加する。企業にとって都合の良い情報提供型のコミュニケーションだけでは生活者との真のコミュニケーションはできなくなる。ネットによって生活者が情報発信手段を持つ。これは重要なテーマだ。企業にとってのマイナス情報もあっという間に流布してしまう。そういう中で企業はどういう情報戦略をとればいいのか。これも広告会社の大きな仕事になる。



企業と広告会社は広報と宣伝広告の一体化がマーケティングコミュニケーションの基本になるということを考える必要がある。広告主の多くは、広報と宣伝・プロモーションの部門が別組織になっており、我々の観察によると両者は余り仲が良くない。これからはネットでどんな情報が流れるかわからないので、広報と宣伝・プロモーションを一体化して進める体制が重要になる。



従来型のキャンペーン告知などの分野はなくならないだろうが、ネットへの誘引が必須になる。そしてあらゆる局面で携帯電話をどう使うかがカギを握る。どのようにプロモーション活動に携帯電話を活用するかだ。今、ネットは広告メディアの一部だが、やがてネットが企業から発信される情報のすべての起点になる。ネットで情報収集しながら、全てのコントロールタワーをネット側においておかないと、どこからマイナス情報が拡大するかわからない。マスメディアのビジネスはそう簡単には崩れないが、ネットを起点にモノを考えて、広報、商品情報、プロモーション情報など企業の情報戦略の根っこにネットを置くことが重要だ。



【問題提起2】 金沢氏「ブログで〝コトおこし〟」



mr 三越は超オールドエコノミーの呉服屋出身。前身の越後屋は江戸で延宝元年(1673年)に商売を始めた。百年ほど前に経営危機に陥り、創業家から切り離されることになった。三井越後屋から三越になり、1904年に三越は呉服商の将来像として「デパートメントストア宣言」をした。百年前の宣言と21世紀に向けたデパートメントを考えたとき、ブログに着手しようと考えた。呉服屋にデパートメントの概念を導入した時代は洋服部や靴部などをつくり、モノのカテゴリーでデパートを拡大してきた。昨年、百周年を記念した日本橋の新館を開業するときにも、三越だけの限定品を集めようという議論があったが、もはやモノで競争する限界を感じていた。切り口をモノからコトに変える必要があると考えた。



コトで顧客を束ねていくのがこれからの百貨店。ブログで形成するコミュニティーを成長戦略の中核に位置づけている。例えば、米国では消防士の協会が年1回、ブラックタイ着用のダンスパーティーを開く。「今年はどんなタキシードを着ていこうかな」と楽しみにしながら、毎年、消防士が夫婦で服を新調する。日本で、ただフォーマル衣料を売り込んでも、顧客は着ていく場がないという。あくまでモノは道具に過ぎず、生活を豊かにするコトを作らなければモノは売れない。だからパーティーが好きな人、アウトドアを好む人というようにライフスタイルごとに人を束ねていく必要がある。百年前は不可能だったが、今はIT(情報技術)を活用すれば可能だ。ITを使い顧客を生活スタイルごとに束ねていくのが21世紀の百貨店だとの仮説を立てた。



まず、日本橋三越の新館に人が集まれるサロンを作った。ネットではブログによる情報発信をして、バーチャルでも同じライフスタイルの人が情報を共有できる場を作ろうと計画した。昨年10月からリアルのサロンで料理教室や情報交換できるパーティーを開き、その様子をブログで伝えて、参加を呼びかけている。集まった人はその情報をリアルとバーチャルの両方で共有できる。中村所長は「メディアおこし」について話したが、我々は「コトおこし」をしようとしている。顧客に感動してもらい、結果としてモノが売れるようにしたい。



コミュニティーサロンで展開するブログは大きく分けて「感動百貨店日記」、顧客同士の情報発信ができる「倶楽部日記」、それぞれの個人ページの3つがある。会員は480人。まず参加者は自分のページで情報発信をしてもらう。ショップのページでは(三越側の)25人がブログ書いている。本店の売り場でのモノの動きなどを書いて情報を出している。顧客と交流できるように、ショップのブログ担当者に対しては2カ月に1回は講習をして「コミュニティーおこし」の仕掛けをしている。



ブログを展開しながらわかったことは、店舗は「メディア」として価値があるということだ。サイトから店舗に来て、そしてまたサイトに戻るサイクルがある。例えば食のページには菜食主義の料理の先生がいる。三越で料理教室を開き、その先生を囲んでツアーやパーティーも考えている。写真家の先生を中心にした「写真倶楽部」でもブログを通じた交流がある。ブログには写真を貼ることが可能なので、写真を展示してもらっている。リアルではパーティーや写真の即売会を開き、写真によるコミュニティーをつくろうとしている。こうした「コトおこし」を中心に百貨店の再成長を仕掛けたい。



さらに一例を挙げれば、シニアの富裕層は百貨店にとって重要な顧客だ。最近、この顧客層によるフラダンスの発表会を三越で開いてもらった。こちらは実費でワインなどの接待をして、ムームーを着た60代の主婦層がフラダンスを楽しんだ。その中には影響力がある人がいて、いろいろな経営者の奥さんを知っている人がいる。こういう人が起点になって「お茶会を三越でやりましょう」と連鎖的に人がつながっていく。広告業界でいうインフルエンサーに「口コミ」によるバイラルマーケティングの手法で人を紹介してもらいながら三越のファンを作る仕掛けをしている。



ブログで若い人を中心にコミュニティーを作る一方、リアルのサロンでは富裕層のコミュニティーもつかみたい。同窓会などのコミュニティー運営を支援し、自己実現を支援して場の提供もする。「アソシエイト」と呼ばれる影響力のある人にキーパーソンになってもらい、周りの人をどんどん呼んできてもらう。この手法はマスマーケティングではない。富裕層には「これはいいですよ」と売り込んでも、なかなか商品を買ってもらえない。しかし、友人の口から「三越で扱っているあの商品はいいみたいよ」と言ってもらうと買ってもらえるようになる。



こうしたことはリアルを補完する形でブログでも可能だろう。ブログは導入から1年足らずで、効果については何ともいえない段階だ。あくまでリアルが中心で、それを補完する情報交流の場としてブログを使っている。三越は売り上げが8年連続で減少しているが、次の成長を実現するためのトライアルをしているところだ。



【討論】



参加者(金融情報会社) 今後、リタイアが本格化する「団塊の世代」へのアプローチを考えるとき、携帯電話やネット、ブログといったIT活用が本当に有効なのか。



中村氏 私は「団塊の世代」だが、高校の同級生との連絡はほとんど電子メールだ。10年後には高齢者はかなりネットが使えるという層になるだろう。両親が孫の顔をなかなか見ることができないというので、ブログを立ち上げて子供の写真を掲載している人もいる。両親は孫の写真を見るためにパソコンを覚えたそうだ。これかも高齢者のITリテラシーは高くなる。ただ、予測が難しいのは携帯電話の使われ方だ。2010年のメディアを考えるときに、1995年に2000年を予測した本などを調べてみたが、最も予想がはずれていたのは携帯電話だった。95年にカメラが携帯電話に付くと予測した人はいない。買い物ができると予測した人もいない。メディア環境研究所の調査では、15-19歳の女性が最も長く接触しているメディアは1番がテレビで、2番は携帯電話だ。1日平均77分接触している。しかし、これが20代になるとガクッと減る。社会人になったからなのか、この5年間で携帯電話が根付いたからなのかわからない。



参加者(携帯電話向け広告会社) 三越の場合、「アソシエイト」になりうる人の特徴は?



金沢氏 想定しているのは富裕層の主婦。多趣味でいろいろな会合に顔を出している人だ。ここに働きかけて会合ごと三越に持ってきてもらうことを企画している。都内のあちらこちらで、富裕層の奥さんが交流する会合は開かれている。例えば日本画家のある先生を囲んで日本画を楽しむ会が料亭や骨董品店、フランス料理店などで開かれる。そういう会合ごと三越に連れてきてもらい、担当者を付けて、お世話していく。会合の幹事役を引き受けた人は自分が中心になって会をまとめて、メンバーへの連絡やパーティーのメニューを決めるといったことに張り切っているので、我々がサポートしていく。



参加者(携帯電話向け広告会社) こうした取り組みにデジタル技術を活用するのか。



金沢氏 そこは(ブログのようにオープンではなく)クローズド。今は表に出ていない部分だ。ネットの方は料理教室の先生中心に集まる動きや写真家の先生を囲む会の動きがある。しかし、(口コミの)バイラルでつなぐ手法はハイエンドな層を囲い込むトライアルをしている。これはブログの話とは切り分けている。





司会(日経メディアラボ所長) 販売員がブログで応答しているということは、販売員のキャラクターも商品になっているのでは。そういう販売員をどれだけ育てられるかがポイントだろう。



金沢氏 ブログサイトにそういう魅力的な販売員がいないのは問題だ。ブログ担当者向けに研修を実施しているが、なかなか上手くいっていない。ただ、ブログに取り組みながらSEO(検索エンジン最適化)についてはわかってきた。検索サイトの画面に載る何万件もの記事のうち、1本目に掲載されるためのポイントがある。ブランド名や商品の使い方を含んだタイトルを使うことなどを徹底している。



参加者(電機メーカー) 三越のブログサイトは販売員の顔が見えてこない。もっと売り場にいる担当者の顔が見えるようにして「この人に化粧品の相談に行ってみよう」という気持ちにさせるやり方にしたほうがよい。実際に来店した人の体験がわかるようなトップページになれば、リアルの店舗との相乗効果も大きくなる。



金沢氏 ブログサイトは発展途上だ。例えば、検索サイトから当社のブログサイトに来る人がいるのに、何階の売り場に商品があるということを書いていない場合がある。トップページからではなく、(検索サイト経由で)横から入ってきているのに、それを徹底できていない。優秀な「スーパー販売員」のような人は忙しくてブログを毎日書く時間もない。こうした現状のなかでサイトの内容もレベルアップしようとしているところだ。



参加者(検索サイト運営会社) バーチャルな場によるつながりがリアルの動きになる効果は出ているのか



金沢氏 オフ会で初めて日本橋の三越に来店したという人がいた。ブログによって形成したコミュニティーをマーケティングの場として使いこなしたいが、まだ「持ち駒」としては貧弱だ。





中村氏 ブログが広告メディアになるのは、なかなか難しい。口コミツールとしては強力な影響力を持ち、マーケティングツールとして、コミュニティーをつくるのにも有効だ。ただ、ツールとして使うとき、プラスに作用するかは疑問だ。企業が広告で良いことをいっても、誰かがブログにマイナスのことを書き込むと広告の情報は消されてしまう。ブログに広告を配信してお金をもらっている人はいる。人が集まれば広告メディアになるのだろうが、広告メディアの一番のポイントは信頼性があるかだ。広告主は安心できなければ、そのメディアを使わない。ネットはコントロールできないのが前提であり、その最たる例がブログだ。これから本当に問われるのは書き手のメディアリテラシーだろう。ブログは気になる存在だが、広告のビジネスにはならないだろう。



司会 新聞社がブログを使うとき、信頼性の問題、誹謗中傷を書き込まれる問題にどう対処するのか。



参加者(新聞社) 2月からブログサイトを展開している。ニュースに対するコメントにスパム(迷惑メール)のようなものが集中したことがあり、これを削除するのに往生した。一般の人がライターになって運営しているコンテンツは上手くいっている。イレギュラーな書き込みがあってもコミュニティー参加者が排除していく。企業としてはブログサイトによるビジネスモデルを作っていく必要があるので、何かやりませんかという話をあちこちにするのだが「ブログはマイナスの影響が恐い」という反応は確かにある。ただ、新聞社の看板の中でブログ展開して、新聞の記事体広告のようなものができないかという話も出ている。(誹謗中傷などの)マイナスの書き込みに対応するのは運営者の毅然たる判断と行動だ。



司会 パソコン通信のシグオペレーター(シグオペ)を務めた経験では、場の雰囲気をメンバー間で共有していれば、変な書き込みがあっても、無視するなどして対処すれば最後はそういう連中はいなくなる。中核となる人たちのコミュニティーがしっかりして、良いファンがついていれば恐がることはないと思う。



参加者(新聞社) 三越のようにブログを使って企業と生活者がつながると、生活者と企業をつなぐメディアとしての広告の役割を脅かすのか。



中村氏 脅威かもしれないが、ブログを使って1対1でつながるだけでは済まない話だ。広告活動は需要を掘り起こすことが非常に重要だ。ターゲットを絞り込んだ広告についての議論があるが、むしろ、投網で情報を(マスに向けて)流せるものの方が有効だ。企業の情報発信はネットが起点になるが、情報提供の仕方としてはマスメディアの比重はそれほど減らない。ブログが出てきて、コミュニティーを作ることはマーケティングとしてありうるが、基本としては(マス広告で)知ってもらわないとだめだろう。新聞社のブログについては、新聞の持つメディアの信頼性がブログの中で生きるのではないか。メディアの信頼性、企業の信頼性はどこからできるのか。もうごまかしは効かないわけで、良い商品を正しく伝えることしか勝ち残る手はない。



金沢氏 ブログはいろいろトライアルしているうちの一つだ。企業からの情報発信がネットを起点にするという話が出たが、マーケティング推進体制のなかで企業の情報発信をネットに集約して、いかにブランド価値を高めるかが重要だ。eビジネスを所管する部署として一番コストをかけているのもこの部分だ。もう1回、サイトを使ってブランド価値を考え直す。そのためにサイトの運営体制を全面的に見直しているところだ。



司会 かつてのサイレントマジョリティーは、いまやネットでいろいろなことを言う。その人たちと企業は付き合っていかないといけないのは厳しい時代だ。しかし、片方ではチャンスでもある。





中村氏 企業のブランド構築は顧客とどう向き合うかだ。その結果がブランドだ。そこはマーケティングリサーチャーが決めることではなく、経営者が決めることだ。














































































2005年8月4日木曜日

アップルCEO「ポッドキャストは日本で大ヒットする」

nikkei002 米アップルコンピュータのスティーブ・ジョブス最高経営責任者(CEO)は4日、東京都内で開催した音楽配信サービス「iチューンズ・ミュージックストア」の告知イベントで、同サービスを応用したインターネット配信型のラジオ放送「ポッドキャスティング」が日本でも急速に普及するとの見通しを示した。ジョブス氏はポッドキャストを導入しているエフエムインターウェーブ(東京・港)の「インターFM」、日経ラジオ社の「ラジオNIKKEI」を紹介しながら、「ポッドキャストは大ヒットするだろう」と強調した。









ジョブス氏は「ポッドキャスティングによって誰でもラジオ番組を作ることができる。すでに1万もの番組があり、ラジオNIKKEIなどを聞くことができる。日本でも、これから大きな動きになるだろう」と述べた。ポッドキャストは「音声版ブログ」とも呼ばれ、米国では急速に普及している。番組を収録した音声ファイルをパソコンに取り込み、携帯音楽再生機「iPod(アイポッド)」などで聞くことができる。





4日に開始した「iチューンズ・ミュージックストア」は100万曲の音楽ファイルをそろえた。1曲あたりの価格は150円から。iチューンズのみで購入できる楽曲も用意したという。ジョブス氏はユーザーが選んだ曲目リストを公開して、人気投票できる「iMix(アイミックス)」などのサービスも紹介。告知イベント後には会場内に設けたiチューンズのデモ展示コーナーも視察した。









2005年8月3日水曜日

米ヤフー、ソーシャルメディアにも注目--ヤフーメディアは人材強化を急ぐ

米ヤフーは、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの「ソーシャルメディア」の事業を強化するため、Elizabeth Osder氏を8月1日からソーシャルメディア担当のシニアディレクターとして採用した。ソーシャルメディアは指揮系統ではヤフーニュースの傘下となる。同社は05年3月29日に、ブログとSNSを組み合わせた新サービス「ヤフー360」のベータ版を開始し、この分野に力を入れ始めていた。



Osder氏は、1995年からニューヨークタイムズに4年間在籍、黎明期のネットビジネスを経験し、採用時は南カリフォルニア大学の客員教授を勤めていた。また、94年には、日経メディアラボのサイトでも特集した「EPIC2014」の作者が在籍したポインター研究所でも学び、99年にはオンライン・ニュース・アソシエーション(ONA)を設立、今でもボードメンバーに名を連ねている。ONAはオンライン媒体にニュースを提供しているジャーナリストを主体とした業界団体。


ヤフーメディアのScott Mooreバイスプレジデントは「ソーシャルメディアはブロードバンド、ユーザビリティーと並んで今年の3大重要課題」としており、Osder氏の採用は同社のソーシャルメディアに対する期待の現れとしている。ヤフー360、Flickrなどのユーザー向け情報発信ツールを組み合わせて、ユーザーが良質のコンテンツを発信できる環境を整えることが、Osder氏の最初の課題となる。


ヤフーのコンテンツ部門であるヤフーメディアは4月に組織が発足、シリコンバレーからハリウッドに近いサンタモニカにオフィスを移したばかり。Mooreバイスプレジデントも5月にMSNから移籍した。ヤフーメディアはニュース、ファイナンス、ゲーム、スポーツ、エンタテインメント、ミュージックなどのコンテンツを扱っている。


ヤフーメディアの人材獲得は目を引いており、04年11月には、ABC
Entertainment
の会長だったLloyd Braun氏をヤフーメディアの責任者として採用。同月、ダウ・ジョーンズのウォールストリートジャーナル・オンラインの「産み、育ての親」として有名なNeil Buddeをヤフーニュースのエグゼクティブ・プロデューサーとして東海岸から呼びよせた。05年7月にはCBSでオンラインを担当していたDavid Katz氏も採用している。Katz氏はCBSのウェブサイトCBS.comを人気サイトとしたことが評価され、スポーツとエンタテインメントの責任者となった。


米国ではネット企業の成長に伴い、新聞やテレビなどからの中堅・大物の移籍が相次いでおり、今後も既存メディアの大物人材の引き抜きには注目したいところだ。


<参考>
PaidContent.org: August 01, 2005


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