2005年8月27日土曜日

ブログ選挙に公選法の壁 

ブログ(日記風の簡易ホームページ)が本格的に普及して初めての総選挙。インターネットで自分の意見を発信するのが好きなブログ愛好者にとって総選挙は格好の話題だ。ブログサービスやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を提供する企業は「総選挙ネタ」でネットのコミュニティーを活性化させようと目論むが、公職選挙法の制約を意識して、選挙運動とみなされる発言を削除するなどの対応も迫られる。政治や選挙について自由に語りたいユーザーとのあつれきも予想され、「ブログ選挙」の試行錯誤が続いている。









25日夜。東京・永田町の自民党本部にネットエイジグループ(東京・渋谷)の西川潔社長、グロービス・グループ(東京・千代田)の堀義人代表、はてな(東京・渋谷)の近藤淳也社長らネット関連企業の経営者ら30人が集まった。「ブログを手掛けている皆さんが総選挙に及ぼす影響は大きいと思っています」。自民党の武部勤幹事長はブログ選挙を意識して、解散になった経緯やマニフェスト(政権公約)をブログ執筆者である西川氏や堀氏らに丁寧に説明した。





グロービスの堀氏はブログやSNSを使って投票を呼びかける「YES!プロジェクト」を起業家157人で立ち上げたと武部幹事長らに力説した。自民党だけではなく、民主党にも接触しており「若い世代が声を出していこうという運動への支持を両党から得た」と胸を張る。ただ、こうした試みで問題になるのは公選法の制約だ。堀氏は「特定の政党を支持する政治運動ではなく、選挙に行こう、もっと発言しようと呼びかける市民運動」としており、法令順守は徹底する考え。





「パソコンで日本地図のある県をクリックすると各選挙区の候補者を比較できる画面が出てきて、選挙民が自由に意見交換できる」――。こんな仕組みを作れば総選挙を身近に感じることができると考え、堀代表は衆議院の解散直後に「YES!」運動のサイトを開設するためのURL(アドレス)を取得した。ただ、「ネット禁止」を定めた公選法について調べて、すぐにこの構想は断念。ネットで若者に投票しようと呼びかける運動に切り替えた。





「YES!」にはSNS大手のグリー(東京・港)も参加し、SNS内での発言を呼びかける。SNSは匿名で意見を書き込む掲示板とは異なり、発言者を特定できるため単純な誹謗(ひぼう)中傷は書き込まれにくい。それでも「落選運動の呼びかけなど法令順守できない発言は削除する」(グリーの田中良和社長)としている。悪意を持たずに、意見交換のなかで特定の政治家を批判したような発言でも即削除なのか線引きは難しい。削除が続出した場合、せっかくの議論の雰囲気が壊れる懸念もある。





ブログや掲示板などで総選挙の話題は数多く登場しており、はてな、テクノラティジャパン(東京・渋谷)などネット関連事業の企業も「総選挙ネタ」を導入している。「政党の人気を競うような『はてな総選挙』はかなりのグレーゾーンだ」(ネット関連企業の経営者)などとささやかれているが、「取り締まりようがないのでは」といった意見も出ている。広島6区から無所属で立候補するライブドアの堀江貴文社長は著名なブログ執筆者の一人だが、すでにブログでは断筆を宣言しており、選挙態勢になっている。





YES 堀氏は26日、東京都内で「YES!プロジェクト」の設立について記者会見=堀氏は写真中央=した。「韓国の大統領選挙ではネットが大きな影響力を持った。日本でもできないかと思った」と述べながらも、「公選法の壁」で当初の構想を断念せざるを得なかったことに悔しさをにじませた。会見にはデジタルハリウッド大学の杉山知之学長も出席。堀氏と杉山氏は構造改革特区を使った株式会社による大学・大学院設立を手掛けているという共通点もある。株式会社による大学設立をめぐり「行政の壁」を感じていた杉山氏はこうまくし立てた。「ネットが世界で一番高速で、一番安く使える日本で、ネットが使えないなんておかしい。法律を変えるしかない」。

























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