2009年8月29日土曜日

ITベンチャー、アイデアと技術競う・TechCrunchが都内でイベント

Techcrunch  IT最新情報を紹介し人気を集めているブログ形式のニュースサイト「TechCrunch」の日本語版を運営するDESIGN IT!(日本支店:東京・新宿、篠原稔和代表)は8月28日、ITベンチャーが独自の技術を紹介するイベント「TechCrunch Japan 東京Camp」を東京・北青山のTEPIA(機械産業記念事業財団)で開催した。



 ソフトウエア開発のホットリンク(東京・千代田、内山幸樹社長)は、東京大学工学部総合研究機構と共同で取り組んでいる衆議院総選挙の結果予測「クチコミ@総選挙」をデモ展示した。ブログや掲示板の書き込みなどネット上の口コミ情報を収集し、過去の口コミと選挙結果の相関関係から各選挙区の当選者を予測する。内山社長は「ネット上には様々な口コミがあるが、選挙に関してはブログの存在が大きいようだ」と話した。予想の的中率についても手ごたえを感じているという。


 AR(拡張現実)技術を使ったユニークなコミュニケーションを研究している「AR三兄弟」は、Tシャツにプリントしたマーカーをウェブカメラで撮影し、ミニブログTwitterのIDを入力すると、画面上ではTシャツ上のプロフィール写真が何やらつぶやいて見える、という仕組みを紹介。AR三兄弟の川田十夢氏は、「最近はAR技術も進歩し、マーカーを使わないものも出てきた。だがまだARは一般的とは言えない。そのギャップを埋めるために、あえてマーカーを使うことで、どのような面白いことができるかを考えた」と語る。


Sociomedia  DESIGN IT!は、情報システムのユーザーインタフェース設計などを手がける、ソシオメディアのグループ会社。今年4月から、TechCrunch日本語版を運営している。イベント前の会見で、両社の代表を兼ねる篠原氏(=写真)は「今後、米国TechCrunch本社との連携を強化していくとともに、日本オリジナルのコンテンツを掲載するなど、日本から情報を発信していくことにも力を入れていきたい」と抱負を述べた。




■関連リンク


東京Camp公式サイト


TechCrunch Japan


2009年8月27日木曜日

ネット時代の「マニュアル」あり方探る・TC協会がシンポ

Tcwg1  情報機器の操作マニュアルなど、機能的な文章や図表、ドキュメントの制作にかかわる専門家や研究者で組織しているテクニカルコミュケーター協会(TC協会)は、8月25日・26日の2日間、東京・新宿の工学院大学でシンポジウムを開催した。



 無印良品や、NTTドコモの「らくらくホン」を手がけたグラフィックデザイナーの原研哉氏の基調講演に始まり、執筆やデザインなどに関する実践的なノウハウ、関連する技術動向などを伝えるセミナーや、各種の研究発表など、40を超える多彩な分科会が行われた。


Tcwg2_2   TC協会でWebマニュアルのあり方を議論している「Webコミュニケーション調査・研究ワーキンググループ(WG)」の発表では、クラウド・コンピューティングやアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」のように電子ペーパーを搭載した端末の登場など、インフラや機器の変化がマニュアルの制作にどのような影響を与えるかについての調査結果を報告した。WGリーダーを務める職業能力開発総合大学校の大野邦夫教授(=写真)は発表の中で「デジタル情報は、読んだり考えたりするものから、感性に訴えるようなものになってきた」と分析。いわゆるコンシェルジェ的な、有用な情報をプッシュ型で提供する情報サービスの広がりや、近づいてくる人をカメラで認識するデジタルサイネージの登場など、コミュニケーションの形が多様化しているのに伴い、Webマニュアルは今後さらに柔軟な発想で考える必要があることを訴えた。


■関連リンク


テクニカルコミュニケーター協会


http://www.jtca.org/


2009年8月23日日曜日

重み増す地域メディアの役割と意義・米子で合宿討論会

20090822_4  慶應義塾大学地域情報化研究コンソーシアムは8月21日、22日の2日間、地域メディアの将来について話し合う討論会「地域メディアを再構築しよう!米子合宿」を鳥取県米子市の米子コンベンションセンター・ビッグシップで開催した。全国の新聞社、ケーブルテレビ局など地域メディアの関係者や、このテーマに関心のある研究者ら50人以上が参加し、熱心な議論を繰り広げた。



 最初に、地元・米子市のケーブルテレビ局、中海テレビ放送がその活動について発表した。中海テレビは独自の番組制作に力を入れていることで知られる。一人の社員が取材、撮影、編集まで行うビデオジャーナリスト方式を採用することで、少人数で6チャンネルにも及ぶ独自番組の放送を支えている。


20090821  単に事実を報道したり、問題提起をしたりするだけでなく、地域の課題解決に積極的にかかわっていく姿勢を重視しているのも中海テレビの大きな特徴のひとつ。交通事故が連続して起きている地域に関する報道では、警察による事故原因の調査検討や、地元の対策協議会、そこから役所への陳情などをたんねんに追い、紹介することで、事故撲滅への動きを支え続けた。その結果、この地域での交通事故発生はゼロになったという。また、鳥取と島根の県境にある汽水湖、中海の浄化プロジェクトでは、企業や地元住民グループなどによる清掃活動を毎回テレビ番組で紹介するなど、放送とボランティア活動を融合させた試みを行い成果を挙げている。中海テレビの高橋孝之専務(=写真)は「今後は、実際に起きている問題ではなく、これから起こりうる課題を発見し、解決するような放送をしたい」と力強く語った。


 続いて、最新のネット技術を駆使している事例として、佐賀新聞社の牛島清豪デジタル戦略チームリーダー、紀伊民報社マルチメディア事業部の上仲輝幸係長が各社の取り組みを紹介した。佐賀新聞は、新聞社としていち早くSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を導入したことで知られているが、その後も積極的に新しいサービスに乗り出している。今年は動画共有サイトのYoutubeに公式チャンネルを開設し、ニュース番組の放映を始めたほか、ミニブログのツイッターにも公式アカウントを設置した。一方の紀伊民報は、ニュースサイトである「AGARA」、地元の店舗を紹介し、クーポン券なども発行するエリアガイドの「Kii Life(キーライフ)」、そしてSNSの「みかん」を連動させることで、効果的な情報発信と他の新聞社にはないビジネスモデルを実現している。


 2人の講演を受けたディスカッションでは、兵庫県で地域SNS「ひょこむ」を運営しているインフォミームの和崎宏社長が「我々のようなコミュニティー側から見ると、新聞社など地域のメディアはパートナーになりたい存在。自社ですべてを手がけるのもいいが、もっと外と連携することも必要ではないか」と意見を述べた。


 2日目のセッションでは、「シビック・ジャーナリズムの挑戦」の著書、河北新報社の寺島英弥編集局次長兼生活文化部長が、地域メディアに求められるジャーナリズムのあり方について事例をまじえて講演した。寺島氏は「マスに対して情報を発信してきたマスメディアだが、そこで働く記者はいつの間にかマスに守られた存在になろうとしている」と指摘。その上で「そうした『内なるマス』から自らを解放し、一人ひとりが取材を通じて得た様々な声を地域社会につなげていく『つなぎ手』とならなくてはいけない」と主張した。


 最後に、発表者のほか、地域SNSを研究している国際大学GLOCOMの庄司昌彦主任研究員、全体の司会を務めた「ガ島通信」ブロガー・藤代裕之氏と坪田知己日経メディアラボ所長らが総括討論を行った。この模様は中海テレビが番組化し、10月に放送を予定している。


■関連リンク


地域情報化研究コンソーシアム


2009年8月11日火曜日

あらたにす、自民・民主党首討論をネットで生中継――8月12日午後4時半から

あらたにす
 日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞社の共同サイト「あらたにす」(http://allatanys.jp/)=写真=を運営する日経・朝日・読売インターネット事業組合は、8月12日に開かれる自民・民主党首討論の模様をネットで生中継する。中継時間は午後4時半~6時。中継終了後にも動画を見ることができる。



 党首討論は経済界、労働界、特定非営利活動法人(NPO法人)などから有識者約200人が参加する「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」の主催。


◇ ◇ ◇


 党首討論はドワンゴ子会社、ニワンゴ(東京・中央)も動画サイト「ニコニコ生放送」で生中継する予定。


■関連リンク
プレスリリース原文(あらたにす)
http://allatanys.jp/pdf/20090807press.pdf
新しい日本をつくる国民会議-21世紀臨調オフィシャルホームページ
http://www.secj.jp/
8/12 麻生VS鳩山 党首討論生中継!(ニコニコニュース)
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2009/08/004019.html


2009年8月5日水曜日

Interop「再生」へ、村井純教授ら意欲示す

09080401  デジタルサイネージ事業などを手がけるナノオプト・メディア(名古屋市中区)は4日、インターネット関連技術の展示会「Interop Tokyo」の営業権を取得したと発表した。イベント企画・運営のCMPテクノロジージャパン(東京・千代田区、クリストファー・イブ社長)から譲り受けた。



 ナノオプト・メディアの社長は、インターネット総合研究所の藤原洋所長。これまで実行委員としてInteropの企画に携わってきた。藤原氏は会見で「Interopの特色は、会場内で行うネットワーク相互接続実験『ShowNet』に代表されるように、各メーカーが新製品を持ち寄り、実際につながるかどうかをユーザーも交えて検証する、という目的があること。近年は商業性が重視されがちだったが、この本来の意義を見つめ直したい。そこから新たなビジネスモデルも生まれる」と述べた。


09080402  藤原氏と同様、長く実行委員としてInteropを支え続け、次回から実行委員長に就任する慶應義塾大学の村井純教授も会見に出席した。「Interop Reborn(再生)」と題してスピーチし、「Interopは、市場に受け入れられる製品のあり方を各社とユーザーが議論する、いわば『マーケット・スタンダード』を模索する展示会。日本の市場はガラパゴスとも言われるが、日本のユーザーの『使いこなし力』やクオリティーに対する高い要求こそ、世界の市場に受け入れられるマーケット・スタンダードを作り出せるはず」と意気込みを示した。


 来年のInterop Tokyoは6月9日から11日まで、千葉の幕張メッセで開催される。


■関連リンク
Interop Tokyo
http://www.interop.jp/


朝日が携帯CGM、”自前主義”捨て短期間で新サービス立ち上げ

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 朝日新聞社は携帯電話向けのCGM(消費者発信メディア)、「参考ピープル」を7月30日から始めた。まず先着1000人を対象にベータ版として運営
し、9月1日から正式サービスに移行する。
(写真は会見風景。左から芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役CEO、朝日新聞社の洲巻圭介プロデューサー、手嶋屋の手嶋守代表取締役)



 ベンチャー企業の芸者東京エンターテインメント(東京・文京)、手嶋屋(東京・新宿)と組み、両社の技術を活用することで、少人数・短期間で新サービスを立ち上げた。朝日新聞グループがニュース素材などを提供しない、携帯サービスで無料広告モデル、ベータ版から公
開――など、新聞業界のなかでは異例づくしの新サービスといえる。


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 Twitterのようなミニブログ機能や、ソーシャルブックマーク機能などをあわせたサービス。利用者が参考になるウェブページを自由に登録し、みんなで共有する。携帯でも簡単にウェブページを登録できるよう、参考ピープル内のウェブ検索結果ページからクリック1つで登録作業ができるよう工夫している。


 朝日側の担当者は3人。芸者東京エンターテインメント、手嶋屋と組むことで約1年で新サービスを立ち上げた。今後も少人数で運営していく考え。新聞離れが進む35歳以下の世代に向けてアピールし、3年後に利用者100万人、広告売り上げ2億円を目指している。


(右の写真は画面の例。「参考ピープル」パソコン向けサイトから抜粋)


■関連リンク
「これまでと真逆」――朝日新聞が携帯専用「ソーシャルブクマ+ミニブログ」、「ARis」開発元も協力
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0907/30/news088.html
朝日新聞のモバイルSNS「参考ピープル」の記者発表に行ってきたよ(世界中の1%の人々へ)
http://www.dakiny.com/archives/event/35people_sns/
参考ピープル記者発表解説 (手嶋屋社長BLOG)
http://www.tejimaya.com/archives/3049



「玉石混交の情報から”玉”を集める」――神奈川新聞の「メディアジャム」
http://nikkeimedialab.jp/blog/2007/06/post_c92b.html


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