2005年12月1日木曜日

TBS、楽天を寄り切る

Picture_2 TBSと楽天は30日、両社の経営統合提案をめぐる問題で和解し、資本・業務提携の協議を開始することで合意した。両社トップが別々に記者会見=写真=して発表した。楽天は経営統合の提案を取り下げた。100ページ以上の提案書を用意して臨んだ業務提携についても、オンライン放送、電子商取引、ポータル(玄関)サイト、その他事業の4項目について協議するという内容に集約された。ライブドアに続いて楽天が仕掛けた「メディア攻防戦」の第2幕はTBSが楽天を寄り切る格好になった。













「来年、インターネットと放送の融合が100%進むわけではない。まずはゆっくり話し合いたい」。スピード経営を標榜する楽天の三木谷浩史社長は同日の記者会見で、普段の三木谷氏らしくない発言に終始した。「誠意として10%分の株を(楽天がみずほ信託銀行に)信託するが、本当は全部、(楽天が保有する)株は手放して欲しい」などと本音を織り交ぜる余裕を見せるTBSの井上浩社長とは対照的だった。





20%近いTBS株を取得して主導権を握る格好で臨んだ経営統合の交渉だったが、楽天は具体的な話し合いに入ることもできず、ひとまず経営統合の提案を撤回することになった。近く両社は「業務提携委員会」を発足させて、提携を模索するが、楽天のTBSに対する出資比率の駆け引きが続くため、事業提携が具体化するかは不透明だ。ライブドアとフジテレビが和解の条件として設置した「業務提携推進委員会」は大きな成果もなく、今月ひっそりと解散した。





三木谷社長は両社で提携協議が始まることを「前進」と強調しているが、業務提携の検討は2月にTBSの井上社長と会談してから着手しており、50日間の攻防を経て振り出しに戻った感もある。業務提携委員会では楽天側のチーフ役を三木谷社長自らが務めるなど、TBSとの協業には意欲的だが、複数企業との提携を進める方針のTBSに対して、楽天が提携交渉で主導権を握れる可能性は低いと見られる。





「融合といいたいところだが……」。三木谷、井上両社長が調印した覚書はまず「放送とインターネットの連携を実現するために真摯に協議・検討を開始する」と書いてある。ネットと放送の「融合」という三木谷社長の持論は封印されていた。メディアの将来像をめぐる見解すら一致せず、出資比率問題を抱えたままでは両社が現実的な戦略を打ち出せる可能性は高まらない。「世界に通用するメディアグループ」を提案した楽天が、その目標を実現するためにはTBSだけに固執してはいられないはずだ。




























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