2008年10月13日月曜日

日中比較・北京五輪のメディア利用(2)――大イベントでは依然強いテレビ

 日経メディアラボは中国の清華大学、東京大学と共同で、日中の20代のメディア利用比較調査の結果をまとめた。調査は2007年に続き2回目(前年の結果はこちら)。今回は2008年8月の北京五輪に関する情報収集をテーマに調査・比較した。

 ここでは調査結果のなかから、調査に参加してもらった東大大学院情報学環・橋元良明教授が注目したポイントを紹介する。



 調査は北京五輪閉幕後の8月下旬に、ウェブを使ったアンケートを実施。ネット調査会社のヤフーバリューインサイト(東京・港)などの協力を得て、日中の大都市(東京、大阪、北京、上海)に住む20代の男女ネットユーザー計1200人から回答を得た。同じ条件で30代(日中200人ずつ)、40代(同)からも回答を集め、世代間の違いを判断する材料にした。


 調査結果に対し、橋元教授は「ネット調査であり、調査対象者に偏りがあることを認識した上で結果をみる必要がある。特に中国の調査対象者は、平均よりかなり高学歴・高所得でIT慣れしている」という前提を指摘したうえで、「それを差し引いてみても、いくつか注目すべき点がある」とみている。


 





(1)中国20代のネット利用時間の長さ


 「自宅でも自宅外でも、日本人に比べ、ネットの利用時間が極めて長い。半数以上が自宅で1週間10時間以上、約半数が自宅外でさらに10時間以上ネットを利用。平日1日平均5時間パソコンに接している」(橋元教授)



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(2)中国20代、メディア接触の中心はネット


 「日常的にも、メディア接触で中心的な地位を占めるものは、テレビからパソコンに移行している。日本ではテレビとパソコンがほぼ拮抗している」(橋元教授)


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(3)大イベントではネットよりテレビ


 「それでも五輪競技については、情報収集の中心は日本と同様にテレビであり、大きなイベントに関する情報伝達手段としてのテレビの重大性は減少していない。五輪で最も印象に残ったシーン(中国では開会式)は、ほとんどテレビで見ており、テレビがもつインパクトの大きさは、まだ他のメディアでは追いつかない」(橋元教授)


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(4)携帯活用、中国のほうが活発


 「携帯電話がマルチ機能化しているのは日本と同様であるが、日本以上に動画撮影、動画再生が活発である。一部の人の携帯の利用法は、日本以上に多彩で先進的である」(橋元教授)。ゲームや音楽ダウンロードでも中国の利用率の高さが目立っている。


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 橋元教授は今回の調査結果を見た印象として、「中国の20代のネット利用層においては、日本以上に、ネットからの情報収集が中心的なものになっており、情報接触の側面で、ネットを利用していない層との格差が増大している。ただし、五輪のような大きなイベントについては、まだテレビの影響力はずば抜けたものがあり、『メディアの王様』としての地位は不動である」と総括している。



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