2005年10月29日土曜日

ユーザー志向の果てに 「グーグルゾン」の予感

アマゾン・ドット・コムは「顧客第一」。グーグルは「ユーザーの役に立つために」。10月28日、日経BP社が主催する「WPC EXPO 2005」の基調講演に米国を代表するインターネット企業の両雄が登場し、両社の講演者はそれぞれこんな企業理念を力説した。ネット社会の未来を描いた短編映像「EPIC 2014」で「グーグルゾン」という言葉が紹介されてから1年。両社を結びつける共通のキーワードとして「ユーザー志向」が浮かび上がった。



P1000005_1アマゾン・ドット・コムは①価格②利便性③品揃え――を向上することにより、ユーザーが快適にショッピングできる環境を整えることに注力している。「この原則は社員全員のDNAに入っている」(カル・ラーマン上級副社長=写真)としており、社内でも顧客第一の考え方を徹底している。「送料を無料にすることはかなりの経費増になっている」(ラーマン副社長)としながらも、送料無料の条件を満たすことがリアルな店舗に対抗するための重要なポイントになっている。 


P1000021_bグーグルは「世界中のあらゆる情報を整理し、世界のどこからでもアクセス可能にして、ユーザーに役立つようにする」(マグラス・みづ紀エンジニアリング・ディレクター=写真)という使命を自らに課して、多様なサービスを開発している。ユーザーの利便性を最重要視して開発した登録者向けのサービス、多言語に対応するグローバルなサービスはこの使命に基づくものだ。マグラス氏は「個人情報の問題があり、パーソナルなサービスは全てオプションだが、ユーザーから受け入れられた」と強調。ユーザー志向のサービスのためにユーザーが個人情報を開示することを気にしていないとの方を示した。


両社が合併して誕生するというグーグルゾンの物語は「EPICは私たちが求めたものであり、選んだものである」と語りかける。現実に両社は共通のキーワード「ユーザー志向」を掲げて成長中だ。「EPIC2014」はユーザーの限りない欲望を技術革新によって満たし続けた結果、創り出される「EPIC」というモンスターの姿を逆説的に描き出していた。グーグルとアマゾンが掲げる企業理念に改めて耳を傾けると、「EPIC」が現実に登場する日を思い起こさせる。


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