2008年12月7日日曜日

テレビ番組のネット活用促進へ、新たな制度提案・コンテンツ学会

Shingikai  コンテンツにかかわる産業や政策などを総合的に研究するコンテンツ学会は、映像コンテンツのネット利用に新たなルールを提言するプロジェクトチームを設置した。有識者の意見交換を社会に公開しつつオープンに進める「民間審議会」を開催し、2009年2月に政策提言を取りまとめる。5日にその第一回会合が東京の早稲田大学で行われ、8人の委員が出席し議論した。



 世話役を務める早稲田大学大学院の境真良客員准教授は冒頭、民間審議会という手法を掲げたことについて「国の政策決定プロセスでは審議会を開くが、民間でももっと議論の場を設けるべき」とねらいを語った。対抗軸になろうというのではなく「一種のオマージュ」だという。また「もう話し合っているだけの時期ではなく、早急にオプション(選択肢)を提示しなくていけない」とも述べ、スピーディーな政策立案にもこの手法で貢献したいとの考えを示した。


 続いて境氏は「コンテンツのネット利用調整制度」を提案した。この制度は、膨大な映像コンテンツを管理し、影響力が大きいテレビ局に注目したもので、その所蔵コンテンツを無理なくネット上に流通させ、社会全体で共有することを目論んでいる。


 そこでは、テレビ局に対し既存の番組コンテンツのネットでの利用に関する許諾権(利用管理権)を与えるとともに、テレビ局が許諾権を行使しないコンテンツについては、オークションにかけて利用者を募り、その流通を促すというもの。将来的には、それぞれの番組についてテレビ放送前にネット利用管理権の所在が明確にされることを期待しており、そうした仕組みが定着すれば廃止される、時限立法的な制度だという。


 テレビ局への権利付与という考え方は、今年3月にデジタル・コンテンツ法有識者フォーラムが提案し話題となった「ネット権」の発想に近いように思われる。これについて境氏は「私たちの提案は、各テレビ局が守るべき収益の公正配分の基準を明確にしようとしている点や、許諾されないコンテンツを半ば強制的に流通させる仕組みを持っている点などに違いがある」と説明した。


 議論の中では「NHKと民放とは分けて考えるべきではないか」「パソコンではなく、携帯で見ることを前提にすればインパクトも大きく、課金ビジネスも行いやすいのではないか」など、制度設計やビジネスの視点から多くの意見が出された。出席した東京大学の玉井克哉教授は「いいコンテンツを日本人が創り、海外に打って出られる仕組みにしなくては」と新たな制度に期待を示した。次回は1月に開催予定。


■関連リンク


「ネット利用調整制度に関する民間審議会」のWEBサイトhttp://www.sakaimasayoshi.com/net_rule/index.html



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