2007年8月9日木曜日

サイボウズ・ラボ、サイト閲覧履歴の共有サービス

サイボウズ・ラボの畑慎也社長
 サイボウズの研究開発子会社、サイボウズ・ラボ(東京・千代田、畑慎也社長)は8月8日、多くの利用者からサイト閲覧履歴を集めるサービス「パストラック」を始めた、と発表した。利用者は専用ソフト(ブラウザーのプラグイン)をインストールして閲覧履歴情報を提供する代わりに、パストラックのサイトで人気ランキングなどの統計情報を共有できる仕組みだ。



 専用ソフトが自動的に閲覧履歴をパストラックのサーバーに送る。8日会見した畑社長はパストラックの専用ソフトについて「目標インストール数は1カ月後に1万人」と話した。インターネット視聴率の調査会社、ネットレイティングス(東京・渋谷)の調査モニター数が約7000世帯(約2万人)であることを参考に、1万人集めればある程度の説得力を持つデータになると判断したという。


パストラックの画面例
 利用者はクリック1回の操作で履歴の送信を止めたり再開したりできる。「プライバシーに配慮し、利用者の行動を追跡するようなことはしない」(畑社長)という。専用ソフトをインストールしなくてもパストラックのサイトを見ることは可能だが、インストールを薦める画面が煩雑に表示されるため、インストールしないと円滑にサイトを見ることができない仕組みになっている。


■関連リンク
パストラック http://pathtraq.com/
サイボウズ・ラボ http://labs.cybozu.co.jp/
ネットレイティングス http://www.netratings.co.jp/


2007年8月6日月曜日

日中比較・20代のメディア利用(3)――利用時間帯、ネットで日中に違い

 日経メディアラボと清華―日経メディア研究所(北京)の共同調査では、メディアごとに1日の生活シーンの中での利用時間帯を質問。日中の違いを比較してみた。



(1)パソコン(ネット)
 中国では1日のなかで、「勉強中・仕事中」と「休憩時」に使う人が多い。これに対し、日本で多いのは「就寝前」と「夕食時・夕食後」。中国では「職場での私的ウェブ閲覧などの規制が未整備で使い放題なのが現状」(崔保国・清華―日経メディア研究所所長)といった要因が、日中の差を生みだしているようだ。=グラフをクリックすると大きくなります


パソコン(ネット)利用時間帯


(2)テレビ
 「夕食時・夕食後」と「就寝前」に多いのは日中に共通しているが、日本は「起床後~通勤・通学まで」の朝の時間帯の利用が突出しているところが大きな違いになっている。


テレビ利用時間帯


(3)新聞
 日本では「起床後~通勤・通学まで」が突出しているのに対し、中国では「通勤・通学時」「勤務先・学校などに着いてすぐ」「休憩中」など昼間の時間帯に満遍なく利用者が多い。宅配制度が普及している日本と異なり、中国では宅配よりも街中の売店で新聞を買う人が多いという販売方法の違いが利用シーンの違いになっているようだ。


新聞の利用時間帯



■「日中比較・20代のメディア利用」記事一覧
(1)ネット依存強い中国、日本はネット+TV併用
(2)信頼度、中国ではポータルが首位
(3)利用時間帯、ネットで日中に違い



日中比較・20代のメディア利用(2)――信頼度、中国ではポータルが首位

 日経メディアラボと清華―日経メディア研究所(北京)の共同調査では、仕事や学業に必要な情報収集手段としての各メディアの位置付けも聞いた。



(1)メディアの使い分け
 仕事や学業の情報収集に使うメディアの比率を「1人100%のうち、テレビはだいだい○%、新聞は○%…」といった方法で答えてもらった。日中とも首位はパソコン(ネット)で、中国では6割、日本でも過半数を占めた。日本は中国に比べ、テレビと雑誌の割合が高い。新聞と携帯電話(ネット)は日中の差がなかった。=グラフをクリックすると大きくなります


メディアの使い分け


(2)メディア信頼度
 各メディアに対する信頼度を尋ねた質問で、「とても信頼している」「だいたい信頼している」と答えた人の割合を合計して比較した。中国の首位はポータルサイト。以下、企業のホームページ、報道機関のサイトとネットメディアが続いた。日本は新聞、企業ホームページの順だった。


メディア信頼度


(3)仕事・学業でのネット活用
 仕事や学業のために、ネットを使って毎日頻繁に行っていることを聞いた。日中ともに「検索エンジンの活用」が首位だが、中国は日本に比べ利用者の多さが際立っている。日本では仕事・学業目的ではほとんど使われていない「チャット」が、中国では2番目によく利用されている。


仕事・学業でのネット活用


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■「日中比較・20代のメディア利用」記事一覧
(1)ネット依存強い中国、日本はネット+TV併用
(2)信頼度、中国ではポータルが首位
(3)利用時間帯、ネットで日中に違い



日中比較・20代のメディア利用(1)――ネット依存強い中国、日本はネット+TV併用

 日経メディアラボと清華―日経メディア研究所(北京)は、日中の20代のメディア利用実態を比較した調査結果をまとめた。「中国=ネット依存型、日本=ネットとテレビ併用型」といった傾向の違いや、メディアに対する信頼度の違いなどが明らかになった。(8月6日付の日本経済新聞朝刊にも記事)



 調査は2007年5―7月、日中の大都市(東京、大阪、北京、上海)に住む二十代男女を対象に実施。ネット調査会社のヤフーバリューインサイト(日本)、インフォブリッジ(中国)の協力を得てアンケートを集め、千二百の回答をもとに分析した。


(1)メディア利用時間
 平日の一日当たりの平均時間を比較した。中国はパソコン(メールやウェブ)利用時間が突出、日本はネットとテレビがそれぞれ長い。中国は携帯の通話時間が長いのも特徴的だ。「決して中国の通話料金が安いわけではない」(崔保国・清華―日経メディア研究所所長)にもかかわらず、日本に比べ2.5倍になっている。=グラフをクリックすると大きくなります


メディア利用時間


(2)パソコンでのネット利用
 利用頻度を尋ねた設問で「毎日頻繁に使っている」「たまに使っている」と答えた人の割合を合計して比較した。「検索エンジンの活用」「ブログ・掲示板の閲覧」は日中とも多いが、中国では「チャット」利用者の高さが目立つ。一方、日本は「ネットオークション」が中国を上回った。


パソコンでのネット利用


(3)携帯電話でのネット利用
 中国ではSMS(電話番号をアドレス代わりにする簡易メール)とゲームの利用が多い。日本は電子メールに加え、携帯サイト閲覧と写真撮影の利用者が多いのが特徴だ。


携帯電話でのネット利用


(4)ニュースを知るメディア
 日中とも首位はニュースサイト。日本はテレビがニュースサイトとほぼ同水準の高さになった。中国では「会話の口コミ」「ネットの口コミ」がどちらも高く、リアル、ネットを問わず口コミを重視していることが分かる。


ニュースを知るメディア




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■「日中比較・20代のメディア利用」記事一覧
(1)ネット依存強い中国、日本はネット+TV併用
(2)信頼度、中国ではポータルが首位
(3)利用時間帯、ネットで日中に違い


 


2007年6月22日金曜日

「玉石混交の情報から”玉”を集める」――神奈川新聞の「メディアジャム」

神奈川新聞社の松澤雄一氏
 神奈川新聞社が6月4日開設した新サイト「メディアジャム」が注目を集めている。インターネット上の多くのサイトに掲載されたニュースの情報を自動収集してサイトをつくる。自社のニュースを載せる他の新聞社サイトとは全く異なる新しい取り組みだ。新サイトを統括する神奈川新聞社の松澤雄一デジタルメディア局長(兼メディアジャムLLC業務執行責任者)=写真=に、メディアジャムの狙いや今後の見通しなどを聞いた。



――どんなサイトなのか


 74のニュースサイト(2007年6月22日時点)を自動巡回してニュースを集め、独自に分類・整理して見せる「ニュース・アグリケート・サイト」だ。神奈川新聞社のニュースサイト「カナロコ」に掲載された地元ニュースと共同通信ニュースに加え、「山陽新聞」「岩手日報」など他の新聞社のサイト、「ITmedia」「J-CAST」などネットのニュースメディアなどから情報を集めている。


メディアジャムのトップページ
   「巡回拒否」の意思表示をしたサイトは自動巡回の対象外。見出しを含め120字の上限を設けて収集している。サイトの利用者は情報源となった各サイトに移動して続きを読む。独自のアルゴリズムを使い、自動的にニュースの表示順位を決めている。


――新サイトを立ち上げた経緯は


 2006年7月にカナロコの全面リニューアルが一段落。それを契機に、新しいネット事業を議論してきた。ちょうど同じ時期に、カナロコのリニューアルを手がけたウェブ制作会社、ミツエーリンクス(東京・新宿、高橋仁社長)から、「一緒に何かやらないか」と誘いを受けた。共同で実験的なプロジェクトを立ち上げることにした。


 共同出資で合同会社(日本版LLC=出資者が出資額を限度に有限責任を負う一方で、出資者全員の合意に基づいて組織運営、利益配分を自由に決められる)のメディアジャムを設立し、意思決定のスピードを速めることにした。動画配信技術やRSSリーダーなどを開発するユビキャスト(東京・千代田、呉英仁社長)も開発に加わってもらうことにした。


 新事業のコンセプトは(1)ネット上に氾濫する玉石混交の情報のなかから、「玉」の情報を集める(2)ニュースとつながる(3)SNSや個人ブログのように個人が情報発信できるもの--の3つ。新会社のメンバーでメッセンジャーを使って熱く語り合ううちに、いつのまにか形になったのが「メディアジャム」のサイトだ。「こんなサービスがあると便利だよね」という風に、利用者の視点から発想した。


――今後の展開は


 今年秋にマイページ的な機能を追加する。詳細はまだ詰めている最中だ。メディアジャムのサイトはメールアドレスで会員登録できるが、マイページを使いたい人は、属性情報をもっと詳しく登録する仕組みににするつもりだ。


■関連リンク
メディアジャム
「ネットが「スクープ」を生む時代に既存メディアが行く道は?」(NIKKEI NET)
「ブログでコミュニティー形成、ニュースに深みを」(カナロコ開設時のインタビュー)



2007年5月29日火曜日

「検索連動広告への期待が大きく」――広告主のモバイル広告利用動向調査

日経広告研究所、ディーツー
コミュニケーションズ、日経メディアラボは、モバイル広告について広告主企業の利用動向を調査した。それによると、06年度にモバイル広告を出稿した企業のうち56.8%が07年度に「検索連動型」を利用したいとの意向を示し、37.8%が配分を06年度より増やすとしている。これは調査した5つの広告タイプの中でそれぞれ最高の数字となる。



この調査は2007年2-3月に実施。日経広告研究所の「有力企業の広告宣伝費」の上位1500社に聞いたところ、274社の回答を得た。


 


07年度におけるモバイル広告の利用意向について、回答企業全体に聞いたところ、「検索連動型」が16.4%と最も高く、「掲載期間保証型」「アフィリエイト」と続く。パソコンのインターネット広告では、「検索連動型」が46.0%と、他のタイプを大きく引き離しており、モバイル広告もパソコンのインターネット広告での実績に影響されている可能性もある。


 


パソコンのインターネット、モバイルを問わず、06年度に「検索連動型」を出稿した企業の評価では、「ターゲットを絞り込みやすい」「費用対効果が明確」が上位となり、母数が少ないものの、モバイル検索連動広告の出稿経験者の約4分の3が「ターゲットを絞り込みやすい」としている。


 


パソコンのインターネット広告の流れを追うモバイル広告


 


06年度に出稿したモバイル広告のタイプでは、「露出保証型(広告表示回数保証)」と「掲載期間保証型」がともに64.3%で主流となっている。05年度と比較すると「露出保証型」が40ポイント弱伸びているのが目立つ。パソコンのインターネット広告では一般的な「露出保証型」がモバイル広告にも浸透したということは、定額性の普及によりモバイルサイトの閲覧数が増え、表示回数で販売することが可能な在庫が増えてきているといえるだろう。


 


06年度のモバイル広告出稿経験者は効果測定にも力が入ってきた。「特に測定していない」が15ポイント下がり、ほとんどの企業で測定するようになったが、クリックに関連する測定方法(クリック数、クリック単価、クリック率)が全て大幅に上がった。パソコンのインターネット広告で一般的となっている測定方法が定着し始めており、モバイル広告が普及期に入ったとみるサインになるのではないか。


 


モバイル広告の特徴を生かし、評価は上がる


 


モバイル広告の評価について、回答企業全体に聞いたところ、「ターゲットを絞り込みやすい」「目的に合わせた利用がしやすい」が昨年度の調査と同様に上位を占めた。他の理由を含めて、全体的に昨年度よりは高い数字となっており、モバイル広告自体の評価が高まっているといえるだろう。モバイル広告出稿経験企業に絞ると「ターゲットを絞り込みやすい」が56.8%でトップとなり、昨年トップだった「効果がすぐに把握できる」が48.6%で続く。


 


一方、出稿経験者の不満点は、昨年と同様に「文字数・情報量などに制約が多い」「伝えられる情報量が少ない」「表現力に乏しい」が並ぶが、昨年度と比較すると、全体的に低い数字となっている。特に「文字数・情報量などに制約が多い」は10ポイント強下がっており、ディスプレイの制約内での工夫が進み始めたと考えられる。違う見方をすれば、ディスプレイ内で広告が占有する割合は、パソコンのインターネット広告と比較しても、かなり大きくなるので、注目率は高くなるともいえる。


 


詳しいリリースはこちら


2007年5月10日木曜日

「ネット・ガバナンス、利害超えた議論が大切」

マーカス・クマーIGF事務局長
 インターネットの管理体制(インターネット・ガバナンス)をテーマに活動している国連インターネットガバナンスフォーラム(IGF)。米国主導のインターネット運営に対する批判が高まるなか、国連が設けた組織で、2005年の世界情報社会サミット(WSIS)で設立が決まった。来日中のマーカス・クマー事務局長に、2006年秋にギリシャ・アテネで開いた第1回総会の成果や、今後の活動などについて聞いた。



――アテネの第1回総会の成果は


 「政府、企業、NGO(非政府組織)、技術者など、様々なステークホルダー(利害関係者)が一堂に会し、丁々発止の議論で盛り上がった。議論のテーマも著作権、サイバー犯罪など多岐にわたった。インターネット関連の会合はたくさんあるが、こんな議論の機会を持てたのはIGFが初めてだと思う」


 「なかでも、政府、企業、市民社会など様々な利害関係者が協力する「ダイナミック・コアリション」(積極的な連携)の重要性が指摘されたことは大きな成果といえる」


 「『(インターネットの)開放性』『セキュリティー』『多様性』『アクセス』などの議題のうち、最も刺激的だったのは『開放性』。特定の国や企業を名指しして責めるような外交的な議論ではなく、民間企業がどういう役割を果たせるか、そもそもネット上の表現の自由とはどういうものか、といった議論できた」


 「世界情報社会サミットでは、ここまで突っ込んだフランクな議論はできていなかったと思う。(特定の利害関係者による議論と違い)既存のビジネスモデルを超えた解決方法があるかもしれない、という段階まで議論を深めることができた。また、インターネット自体が、ダイナミックに進化し続けていることも、強調された」


――今後、議論していくテーマは


 「2007年11月に第2回IGF総会をブラジル・リオデジャネイロで開く予定。議論のテーマはこれから決めるが、幅広いテーマについて話し合う姿勢は続けていく。第1回総会で議論された途上国支援や、(スパム対策などに取り組むうえで)国内法と国際協力の兼ね合いをどうするか、などが重要になるだろう」


 「スパム対策などの国際ルールをつくるとすると、「国際条約をつくろう」という人もいる。しかし、国際条約をつくるのは、時間がかかりすぎる。ようやく条約ができたと思ったら、技術が進んで、もうその問題は存在していない…といった事態も十分考えられる」


――IGFでのクマー氏の役割は


 「私は国際社会のために働く公僕だ。いろいろな人の貴重な意見に耳を傾けることが重要だと思っている。IGF以外にも様々な会合に参加し、そこで知り合った各国の人々から招待を受けて説明に出掛けることも多い。様々なステークホルダーの方々に会い、IGFの議論に参加してもらうのが私の役目。インターネット・ガバナンスの問題は政府だけでなく企業や市民社会、技術者らが一体になって、取り組むことが重要だ」


――日本の政府や企業、市民社会に望むことは


 「日本はICT(情報通信技術)にとっても、インターネットにとっても、国際的に重要な国。あらゆる人々にIGFに参加してもらえるよう、切に願っている。政府関係者だけでなくビジネスリーダーにもどんどん参加してほしい」


――通信の標準化を進めているITU(国際電気通信連合)、インターネットアドレスを管理しているICANNと、IGFはどう違うのか


 「IGFは意思決定をする組織ではない。様々な立場の人々が同じ屋根の下に集まって話し合う中立的なプラットフォームだと考えてほしい。どんな立場の人でも、恐れずに議論に参加できる」


 「IGFは意思決定の機能がないのが弱点だと言われることもある。しかし、様々な立場の人々が交渉ベースではなく自由に議論できる利点がある。毎年開催される世界経済フォーラム(ダボス会議)も、意思決定の機能が弱いが、世界各国の人々から高い関心を集めている。IGFも同様だ。ITU、ICANNはそれぞれ本来の活動があり、活動範囲を超えた広範なテーマの議論は難しい。IGFと補完関係になれる」


■関連リンク
「インターネット界のダボス会議を目指す」(NIKKEI NET)
インターネットガバナンス」(ウィキペディアの用語解説)
IGFのホームページ(英文)


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