インターネット関連システムの開発やアート作品の制作を手がけるチームラボ(東京・文京区)は4月、新しいWEBデザインのコンセプト「SKETCH PISTON(スケッチピストン)」を発表した。情報を掲載したWEBサイトであると同時に、その画面がゲームにもなっているというざん新な手法で、すでに第一弾として都市開発を手がけるアイディーユープラス(大阪市、田端知明社長)の企業サイトを構築した。
アイディーユープラスのサイトを開くと、「会社概要」「採用情報」などと描かれた雲が画面の中を流れていく。そして背広姿の小さなキャラクターが次々と上から降ってきて、画面の中を歩き回り始める。そこにマウスで線を描き、道を作ってあげるとキャラクターたちはもくもくとそれに沿って歩く。画面内に自動車を走らせたり、気球を浮かべたりすることもできる。
この不思議な感覚のWEBサイトを、チームラボはなぜ作ろうとしたのか。そして何を目指しているのか。社長の猪子寿之氏と、同社マーケティングプランナーの渡部憲一氏に話を聞いた。
――どういうきっかけで開発に着手されたのですか。
(猪子)
もともと、WEBにラクガキができたらおもしろいんじゃないか、という発想がありました。しかも、ただ図形を描くようなものじゃなくて、描いたものがアニメーションのように動き出したりして、自分が描いた世界で遊べるようなものだったらおもしろい。そんなことをチームの中で話し合って作っていきました。
真っ白なキャンパスに絵を描くのって意外に難しい。でも、ある程度完成された世界がそこにあって、そこにイタズラするような感覚で絵にしていくのなら誰でもできます。
(渡部)
ゲーム性を入れよう、という考えもありましたね。
(猪子)
そう。それもルールはシンプルで、自分で目的まで作れるようなゲームです。
どんどん画面に出てくる「ジャパニーズビジネスマン君」は、基本的にまっすぐ前を向いて歩きます。そこにビルを建てると方向転換して反対側に歩き出すし、坂道を描けばがんばって登ろうとする。ボールを置いておけば転がしていきます。各要素には物理的な法則だけがパラメーターとして与えられているだけなので、それらが重なったときにどう動くかは、僕たちも完全には予測できません。現実の物理法則とは一致しないので、ビルが飛んでいってしまうとか、あり得ないことも起きますけど、まあおもしろいからいいか、って(笑)。
ただ何となく動かしている人もいれば、ゴールのようなものを作って遊ぶ人もいる。絵を描く人もいます。みんな勝手に遊んでいます。
(渡部)
ひとつ具体例を見せましょう。ボールは普通に置いておけばジャパニーズビジネスマン君に押されて転がるだけですけど、坂道を作って、たくさんのジャパニーズビジネスマン君が協力して押し上げていけば、ボールを宙に浮かすこともできるんじゃないか。そう思って試してみたらできたので、「大玉ころがし」のようなゲームにしてみました。(下記動画参照)。でも、なかなかうまくゴールに玉が入ってくれない。
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